日別アーカイブ: 2017年6月20日

【第17回】ウチの子が学校に行きたがらない――もしものために知っておきたい不登校児のための新法律

yasuko_top

第17回 ウチの子が学校に行きたがらない
――もしものために知っておきたい不登校児のための新法律

みなさん、こんにちは! ヤスコです。
早いものでもう6月。進学やクラス替え、引っ越しなどで生活が変わった子たちは、だんだん落ち着いてくるころですよね。環境にがんばって慣れたぶん、疲れが出やすい時期でもあります。そんなタイミングで、今回は「不登校」について考えてみたいと思います。

うちの子は大丈夫――というご家庭も、ちょっと待って!

「不登校」は成績や友だちの数に関わりなく、どんな子にも起こり得る状況。もしものときのために、子どもたちを取り巻く現状を知っておけば、うろたえることなく子どもをサポートしてあげられるかもしれません。

■中学校では36人に1人が不登校、本人も原因がわからないことも

そもそも「不登校」の定義って何でしょう? わたしたちは普段何気なくその言葉を使っていますが、文部科学省は、不登校を「病気と経済的な理由を除いて30日以上学校を欠席した生徒」という目安で考えています。

不登校の子はどのぐらいいるのかというと、平成26年度の同省の調査では、小中高校(国公私立)の不登校児童生徒数は、17万人以上。中学では、生徒の36人に1人の割合だそうです。これはもう「特別なケース」ではなく、身近な問題と考えていいでしょう。

小学校=2万5866人(255人に1人)
中学校=9万7036人( 36人に1人)
高校=5万3154人( 63人に1人)

理由としては、いじめや先生との関係などなどさまざまですが、「無気力」や「情緒的に不安定」など子ども自身も「原因がわからない」ことも少なくないとか。

では、不登校になってしまった子は、普段どう過ごしているのでしょう。小中学生の場合は、約半数が「教育支援センター(適応指導教室)」などの公的な施設に通って学習の援助を受けているそうです。そして、残りの子たちは自宅にいるのですが、彼らの多くが通っているのがフリースクールです。

また、集団や他の子と過ごすのがストレスになる子は、家庭教師を自宅に呼んでいるケースもあります。家庭教師が大学生などの場合は、「先生」というよりは「親しいお兄さん、お姉さん」という感じで気楽に質問ができるからです。またそういった先生は、ご近所やお友だち、学校関係のしがらみもありませんので、お子さんはもちろん親としても気兼ねなく相談できるのかもしれませんね。

■昨年末に、不登校児をサポートする「教育機会確保法」が成立

不登校の子をサポートする態勢は一見整っているように見えますが、実は今、問題になっているのが「学校復帰」を大前提とした不登校対策そのものなんです。「学校がイチバン」と解釈していた自治体は、「フリースクールは不登校を助長する」と敬遠し、うまく連携がとれていなかったんですね。また、「学校に戻らなければならない」というプレッシャーは、子どもにとっては相当な重荷となるでしょう。

果たして学校だけが、本当に「唯一の学びの場」なのか――?

その流れを受けて、昨年12月、「教育機会確保法」という法律ができました。学校に通えなくなった子どもたちも充分な教育を受けられるよう、国や自治体が責任をもって、その機会を確保するということです。

これは、国が「不登校=休養の必要性」ことを認め、「学校以外の義務教育」についても可能性が現れたということになります。まだ具体的なことは決まっていませんが、今後は不登校の子を持つご家庭の「社会での居心地の悪さや不安」が軽減していくはずです。

ニュースなどで「教育機会確保法」という言葉が出てきたとき、少し気にとめて経過を追ってもいいのかもしれませんね。

=================
【第1回】はじめまして、「ヤスコ」です
【第2回】オリンピックを境に「学校の授業」も変わる!?
【第3回】オリンピックを境に「学校の授業」も変わる!?(後編)
【第4回】東大を受験したロボットが、人間に勝てなかった「能力」って?
【第5回】東大を受験したロボットが、人間に勝てなかった「能力」って?(続編)
【第6回】一年のスタート、子どものやる気を引き出す「子ども手帳」はいかが?
【第7回】冬から増える「進路の悩み」への処方箋
【第8回】みんなの給食メニューを「民主主義」で決める!?
【第9回】学校授業、バージョンアップの詳細がついに明らかに!(前編)
【第10回】学校授業、バージョンアップの詳細がついに明らかに!(後編)
【第11回】春のお出かけで、子どもの「教科書アレルギー」を撃退!?
【第12回】新学期、オトナの本棚に「あえて」置きたい一冊
【第13回】小6の男子が考えた「分数ものさし」で、苦手な分数を一発攻略!
【第14回】ついうっかり勉強しちゃう!? ゲーム感覚で遊べる「学習アプリ」(前編)
【第15回】ついうっかり勉強しちゃう!? ゲーム感覚で遊べる「学習アプリ」(後編)
【第16回】禁断の「あの言葉」で、子どもを夢中にさせる漢字ドリルとは?
【第17回】ウチの子が学校に行きたがらない――もしものために知っておきたい不登校児のための新法律
=================