【第31回】「ちゃらい」や「無茶振り」も日本語認定! 新・広辞苑に追加された単語、あなたはいくつわかる?
こんにちは! 突然ですが、次にご紹介するのは、ある中学生の女子の発言。読んでみてあなたはどんな印象を抱くでしょうか?
「ねぇママ聞いて~、今日は新しい家庭教師の先生来るっていうから、勝負服でがっつり決めてみたの。でも先生が何だかちゃらくていらっとしてたら、実は超いい人で、無茶振りな質問にもすぐに答えてくれるんだ。まじリスペクトしちゃう~」
良く言えばイマドキですが、ひょっとすると「もっときちんとした日本語を使いなさい!」と叱りたくなるかもしれませんね。
でも、実は……セリフ中の緑色の単語はすべて、今月10年ぶりに改定版発売となった『広辞苑(第7版)』に新しく収録された言葉なんです。広辞苑とは、みなさんご存じの通り、50年以上の歴史をもつ「国語辞典」であり「百科事典」。だから、ここに採用されるということは「正式に日本語認定された言葉」も同然と言えるでしょう。
確かに「言葉は生もの」。時代の移ろいとともに変わっていくものなんですよね。どんなに伝統を重んじる人だって、平安時代と同じしゃべり方をする人はいないじゃろう? マロはしゃべらないでおじゃるよ。(あ、さすがに無理がありますね)
ごほんっ、では気を取り直して――、
ほかにはどんな言葉が新しく採用されたのでしょうか?
オリコンニュース(2017年10月24日)に掲載された新語の一部をのぞいてみると、まずは「安全神話」「ブラック企業」「名ばかり」「ブロガー」「メアド」「ビットコイン」「自撮り」「オスプレイ」など、ここ10年以内にあった災害や原発事故、急激なIT分野の発達や雇用問題など、世相を反映した言葉が目立ちます。
「え、こんなのも?」という変化球としては、「ハニートラップ」「卒乳」「加齢臭」。また、意外に遅かった採用に「今さら?」と驚いたのは「クールビズ」です。もしかしてうっかり入れ忘れたのかい、困るねオイオイ……と出版社にツッコミを入れていたところ(いわゆる「上から目線」というやつですね。これも今回の新語です)、案の定、まったくの見当違い!
岩波書店辞書編集部の平木靖成さんは、インタビュー記事でこう語っています。
「クールビズという言葉は、05年頃に環境省などが公募して生まれた。経験上、お役所が提唱した言葉はあまり定着しない傾向にあるため、第6版にはあえて掲載しなかった。しかし、11年の東日本大震災を機に認知度が大きく広がった。節電対策の影響で『当社はクールビズだから、夏場はノーネクタイです』などと当たり前に言われるようになり、日本語として定着したと判断した」(2017年11月16日「ITmediaビジネスオンライン」より引用)
広辞苑採用の大きな基準は、「日本語として定着したかどうか」。すべての言葉は、長い目で熟考を重ねて取捨選択されているのですね。まっこと恐れ入りました。
変化していく日本語の世界、奥深いですね。最後に今回の新語の中で、ちょっとマニアックな単語をご紹介しておきますね。あなたはいくつわかりますか?
「庭前の柏樹子」
「四つの口」
「八角墳」
「ベッケンバウアー」
ちなみに、最後は人名。スポーツ好きのお子さんなら知っているかもしれませんよ。あえて意味は書きませんので、みなさん広辞苑や辞書で調べてみてくださいね~!
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