【第74回】日本初開園!ユニバーサルデザインの公園が、子どもたちに「背中で」教えてくれること


日本初開園!ユニバーサルデザインの公園が、子どもたちに「背中で」教えてくれること

今年は新型コロナウイルスの影響で、屋外でのびのびと遊べる公園にも注目が集まりましたね。

東京都世田谷区に今年3月オープンした「みんなのひろば」は、全遊具がユニバーサルデザインという日本ではまだ珍しい公園。障がいの有無や体力などの違いに関わらず、そんな子でも楽しめる工夫が満載で、大人が見ても面白い!と唸ってしまうほどなのです。

それはただ楽しいだけでなく、子どもたちに無言で「豊かな社会のカタチ」を教えてくれています。今日はそんな「公園」について、ちょっと考えてみませんか?

砂場に飛び出すデッキやお皿型のブランコ

「みんなのひろば」は、地面のデザインや遊具がとてもユニーク。地面は車イスでも走り回れるように段差のないフラットな設計で、視覚障がいがあっても見分けやすいように、各遊びのエリアがカラフルに塗り分けられています。

砂場も、車イスでアクセスできるように中央までデッキが飛び出して、座ったままでも砂遊びができるように。また、何種類もあって目移りしてしまいそうなのがブランコ。体感の弱い子どもでも横になったまま楽しめるお皿型のブランコは、ハンディキャップの有無を問わずとっても気持ちよさそうです。

公園ならではのコミュニケーションに配慮した遊具もあります。一人乗りの椅子が左右に1つずつ並んだブランコでは、片方がこぐと、もう片方が連動してゆれる仕組み。自分では上手くこげない子も「押してもらう」とか「押してあげる」という上下関係が生まれずに、対等に楽しめるようになっているのです。

また、刺激に敏感だったり賑やかな場が苦手な子には、シェルターの役割をもつ遊具も用意されています。大きな切り株の中に、隠れ家のような大きな空洞が開いていて、その中で気持ちを静めることができるのです。窓のような穴も開いているので、かくれんぼなど自由な楽しみ方もできます。

そう、このように「みんなのひろば」は、あらゆる身体的・精神的特徴を持った子でも楽しめるように、気づかいに溢れた場なのです。

学校や家庭で、いくら「多様性を大切に」と教えてところで、社会の仕組みがそうでなければ説得力がありません。だからこそ、子どもたちにとって身近な社会である「公園」から多様性への配慮を感じられることは、とても大きいのではないでしょうか。

遊びの原体験って、大人になっても結構覚えているものですよね。それは言葉では語らず、まさに「背中で教える」教育にもつながるのではないかと、ヤスコは思っています。

近所の公園にも、住民の意見が取り入れられる時代

東京都では、公園のユニバーサルデザイン化を進めてきましたが、園路やトイレなどが中心で、はっきりとした基準のない遊具については対応が遅れていたそう。そこに障害のあるお子さんを持つ都議が働きかけて、「みんなのひろば」が実現したと、新聞が報じていました。

昭和31年に「都市公園法」ができたときには、児童公園にはすべり台、ブランコ、砂場の設置が義務づけられるなど、公園のルールは国が決めるものでした。しかし今では、国から地域へと主導権がシフトし、「自治体と近隣住民が一緒につくっていくもの」という考え方になっています。東京都武蔵野市や神奈川県横須賀市にある公園のように、ワークショップなどを経て、使い方などについて実際に住民の声が採用された公園も登場してきています。

自然観察や教育機関での催し、体力づくりなどもできる公園は、小さい子どもたちだけでなく、中高生や大人の暮らしにも関わりが深いものです。自分たちの地域の公園が、どう変化したらより子どもたちのためになるか。考えてみるのもいいかもしれませんね。

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