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【第80回】小6のテスト問題、あなたはどこまで解ける?「全国学力テスト」に詰まったプレゼンやマーケティングの先取り思考


小6のテスト問題、あなたはどこまで解ける?「全国学力テスト」に詰まったプレゼンやマーケティングの先取り思考

みなさんは最近、学校のテスト問題を解いたことがありますか? 小学校低学年の問題ならお茶の子さいさいだけど、それ以上となるとちょっと怪しい……(汗)という方も多いのではないでしょうか。わたくしヤスコもその一人ですが、今回、頭の体操がわりに挑戦してみたら意外な発見をすることができました。

それが先月5月27日に全国の小学6年生と中学3年生を対象に行われた「全国学力テスト」。わたしたち親世代にはなかったこのテストは、「ゆとり教育」などの批判を受けて、文科省が2007年度からスタートしました。目的としては、「試験」というよりは「調査」に近く、国が生徒たちの学習状況を把握したうえで、今後の教育向上につなげようというものです。基本的に毎年行われていますが、昨年は新型コロナ禍の影響で中止、2年ぶりの実施となりました。

テストの問題と答えは、株式会社 全国新聞ネットの47NEWSで公開されていますので、どなたでも挑戦することができます。

社会で役立つ「スピーチスキル」が磨かれる国語

さて、ヤスコが解いたのは小学6年生の国語と算数。
国語の設問は、大きく3つに分かれています。題材は、五千円札の顔となった津田梅子、面ファスナー(マジックテープ)の起原と宇宙での活用、学校の遊具の片づけについてなどバラエティ豊か。大人が読んでも楽しめるトリビアもありました。

興味深かったのは、その設問の切り口。
ヤスコは最初、典型的な漢字問題や小説・説明文を想像していたのですが……、フタを開けてみたら、ほとんどが発表を前提としたスピーチや調べものの資料についてでした。ヤスコが感じた印象としては、「プレゼンの練習」というような内容です。資料用のスライドなども出てきます。

中にはスピーチ原稿の推敲をさせるような設問もあり、社会に出たときに役立つ実践的な内容でした。また、自主的に考えるアクティブラーニングの要素もあり、「教育方針の変革はこんな形で落とし込まれているのね」と肌で感じるシーンも多数ありました。

図書委員が奮起! 算数のチカラで、図書室の利用者を増やせ

同じく算数も、会話を交えたストーリー仕立てでなかなか面白い。
特に「統計」にまつわる設問は、「図書委員の二人が、生徒へのアンケートをもとに図書室の課題や改善点を探していく」というもの。グラフから5、6年生の利用者が少ないことを読み取り、クロス集計などを使ってその原因を究明し、「面白い本がないのが原因なら、彼らが読みたい本を置いてもらえばいいじゃないか」と、さらなるアンケートを画策します。最後の設問は「そのためにどんなデータを集めるとよいか?」というもの。

これは、まさにマーケティングの手法ですよね。算数ができると、目の前の課題を客観的に解決していくための思考が身につく――ということを実感できる内容でした。

テストの結果は……国語が満点、算数が計算ミスで1問不正解。
現役小6生のここ数年の平均点が、6~7割だったことを考えるとまずまずの結果でした(いや、子どもと比べてはダメですね:笑)。

マジメな感想としては、昔の「つめこみ学習」からここまでの形にしていくのに、先生方もご苦労を重ねたのではないかということ。ヤスコは胸が熱くなってしまいました。(ただ、思考の材料となる知識を覚えることも大事なので、つめこみも時には必要。バランス感覚は大事にしたいですね)

感動も多かったこの「全国学力テスト」ですが、一方で課題もあります。
都道府県別の成績結果が公表されるために、「自治体間の優劣争い」になってしまったり、「過去問対策に躍起になり、生徒の貴重な授業時間が奪われる」という点。いったい誰のためのテストなのかを見つめ直す必要がありそうです。

とまぁ、報道ではいろいろ言われていますが、聞くのと実際やってみるのとでは「得られる体感」がまるで違います。「全国学力テスト」、お家時間の腕試しにぜひトライしてみてはいかがでしょうか? お子さんと競争してみたら、意外と必死になっちゃったりして!?

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【第79回】ネットで検索できない勉強や暮らし、仕事の「モヤモヤ」は、司書さんにお任せ!! 図書館のリファレンス活用術


ネットで検索できない勉強や暮らし、仕事の「モヤモヤ」は、司書さんにお任せ!! 図書館のリファレンス活用術

みなさん、こんにちは! GWはいかがお過ごしだったでしょうか。
お家でネットショッピングにいそしんでいたヤスコは――、欲しいバッグの素材の名前がわからず、「くぅぅ~! 頭にイメージは浮かぶのに!」と七転八倒。せっかくの時間を浪費しておりました(トホホ……)

ネットで調べたくても、検索ワードが浮かばなかったり、漠然としすぎていて調べようがないときってありませんか?

お子さんの勉強をはじめ、日常の暮らしや仕事で知りたいことなど、漠然とした疑問はあるけど言葉にならない。そんなときに、実は図書館の司書さんがものすごく頼りになりますよ! というお話です。

シンデレラの靴の元ネタは、本当にハイヒール??

さて突然ですが、クイズです。
みなさんご存知、グリム童話のシンデレラに登場する「ガラスの靴」。日本の絵本ではハイヒールとして描かれていることがほとんどですが、本来はどんな形だったかご存知でしょうか?
先日のNHKニュースでは、「シンデレラの靴の形状について、資料があるのか知りたい」という質問を寄せられた、三重県にある県立図書館の話が紹介されていました。(2021年4月28日『謎を突き止める 図書館の力がすごかった』)

図書館って、本を探すだけのところだと思われがちですが、実は……

「子どもが捕まえた昆虫の名前を知りたい」
「地元のデパートに昔あった、ドーム型天井の写真が見たい」
「妖精は鐘の音が嫌いと聞いたが、そのことについて書いてある本が読みたい」
「プラネタリウム投影機の世界シェアを知りたい」
「時代劇で馬に乗るとき、左側から乗るようになったのはいつから?」

など、さまざまな質問が寄せられます。
そして、それに応えるのが各図書館で行っている「レファレンスサービス」。レファレンスとは、司書さんが図書館の資料を使って、調べものを手伝ってくれるサービスのこと。このレファレンスにかける司書さんの情熱がすごいんです。

たとえば、先ほどの「シンデレラの靴」について聞かれた司書さんは、約20年の経験がある超ベテラン。
まずは、事典やインターネットで調べましたが、ガラスの靴の形状までは載っていなかったとのこと。でも、「卒論などで使いたいとしたら『わかりません』で終わってしまっては困るだろう」と諦めなかったそうです。
そこで、シンデレラの原話や作品が描かれた時代背景まで、捜索の手を広げます。

海外の原話や当時の流行まで調べ抜く、司書さんの執念がスゴい!

その過程で、日本で知られているシンデレラの話には、2種類あることがわかりました。フランスの詩人シャルル・ペローと、ドイツの民話収集家・文学者のグリム兄弟です。そして、ガラスの靴が登場するのはペローの作品でした。

ちなみに原題は「サンドリヨンまたは小さなガラスの靴」で、主人公のサンドリヨンがシンデレラとなったようです。そして靴としては、「pantoufle」(パントゥフル)という「室内履き」と意味する言葉が使われていたそうです。現代の感覚からすると、舞踏会のハイヒールのイメージとはずいぶん違いますね。

しかし、原話ではpantoufleの形状までは書かれていません。司書さんは、ついに作者のペローが生きていたころの14世紀の宮廷の流行まで調べます。そして、最終的には

「『サンドリヨン』が初めて出版された当時にはヒールが高い靴が存在していたことが分かります。ただし現在のパンプスのように履き込みが浅いものではなかったようです。」

(国会図書館「レファレンス協同データベース」より引用)
という結論に至りました。
具体的に1つにまとまった資料は見つかりませんでしたが、司書さんの執念でここまでたどり着けたのですね。

近所の図書館があなたを待っている

このようなレファレンスサービスは、今は全国各地の図書館に備わっています。

ヤスコの町の図書館でも、司書さんに「知りたいことがあるのですが」と声をかけると、司書魂が燃えるのか熱心にアイデアを色々出してくださいました。ただし、「宿題やクイズの解答には応えられません」とのことでご注意を(笑)また、図書館の規模や司書さんの人数によっても対応してもらえる範囲に幅がありそうです。

図書館の蔵書という「知の泉」をつかさどる司書さん。あなたの街の相談役として気軽にいろいろ聞いてみたら――新しい世界が開けるかも!

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