第8回 みんなの給食メニューを「民主主義」で決める!?
みなさん、こんにちは!
今や「トランプ」と聞くと、カードゲームではなく、金髪の暴れん坊オジサンが目に浮かんでしまう、ヤスコです。
言わずと知れた、アメリカ大統領のことですね。世界中で反発のデモが起こったりして、大きな騒動を招いています。選挙中から相当な話題だったので、ヤスコはてっきり「アメリカ国民のほとんどが、投票に参加したのね」と思い込んでいたんですよ。ところが実際の投票率ときたら、6割にも満たない想定だそうで……。「投票になんか行かなくても、当然対立候補のヒラリーさんが当選するだろう」と踏んでいた人たちは、今ごろ後悔しているかもしれませんね。
でも考えてみれば、明日は我が身。アメリカだけの話ではありません。子どもの未来のためにも、選挙で意思表示をしておくのは大事! ということで、今回は神奈川県で見つけた面白い取り組みの紹介です。
■児童が頭を悩ませた「おいしい候補者」たち
神奈川県内の複数の小学校では、昨年末から今年1月にかけて、「給食のメニューを選挙で決める」という授業が行われました。各区の選挙管理委員会と明るい選挙推進協議会が主催となり、子どもたちに、選挙の仕組みについて体験を通じて理解してもらう目的で企画されたものです。
給食といえば、きっと子どもたちにとって一番の関心ごとですよね。具体的には、ある3つのメニューから児童たちが食べたいものを選んで投票、「当選」したメニューが実際に給食として提供されるそう。そして、おいしそうな「候補者」たちは、子どもたちの頭を悩ませるわけで――。
例えば、こんな顔ぶれ。
・サンマーメン、ミックスフライ、ハンバーグ(横浜市立森東小学校)
・キムチとたくあんを混ぜたキムタクごはん、ホイコーロー丼、ビビンパ(川崎市立上丸子小学校)
サンマーメンが登場するあたりが、さすが発祥の地・横浜といったところ。キムタクごはんは通好みですね。現代っ子が持つ「食のストライクゾーン」の広さを感じます。
立候補者のチャーミングさに反して、実は選挙の流れはかなり本格的。投票箱や名前を書く記載台、票を数える計数機は実際の選挙で使用するものを導入しています。さらに、事前に教室などに貼られた「選挙公報」をもとに、候補者(食べ物の代理として、人間)がちゃんと演説を行ったんですって。
みなさんご存知の通り、実際の投票は短時間で簡単。結構あっけないものです。あの「簡単さ」を子どもたちが体感してくれたら、将来の投票率も上がるかもしれませんね。
■応援演説で、考える基礎体力が培われる
さて、ヤスコが特に感心したのは、「演説を子ども自身が行った」という学校です。自分が推薦するメニュー(おそらくホイコーロー)について、「ピーマン嫌いでも食べられる味付けです」など良さをアピールしたといいます。なんだか微笑ましい主張ではありますが、これってスゴイことですよ。だって漠然と「おいしそうだから」では「有権者」は動きません。食べたいメニューの魅力を論理的に考え、相手に響くように話すわけですから。
このような「考える力」や「コミュニケーションスキル」は、新しい物事を発見する力や人間関係にもつながるため、子どものうちから鍛えておくのに越したことはないはず。しかも、今回のように「楽しく」「勉強とは感じない」体験の中で培われればモアベターですよね。給食選挙は頻繁に行われるものではありませんが、何らかのキッカケになってくれるような気がします。
あ! でも「子どもの関心ごと」×「論理的説得」という組み合わせなら、外食先のセレクトやおやつ、さらにはレジャーの目的地でも実行可能かもしれませんね。兄弟(姉妹)対決や、たまには夫婦対決で子どもたちにジャッジしてもらったりして。ヤスコは今、静岡県の浜松に出かけて、高級ウナギをお腹いっぱい食べたいです。「財源はどうするのか」というご質問には……お答えしかねます(笑)
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