みなさん、こんにちは!ヤスコです。
日本中が沸きに沸いたWBCでしたが、新年度は学校の教科書も盛り上がっています。
各メディアによると、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、2024年度から使われる教科書に少なくとも10点以上は登板――、いや、登場するそうなんです!
三角形や「割合」が、野球の試合に役立っている
たとえば、東京書籍では小5の算数に、大谷選手のコラムを掲載しています。
「テストの点数はよくはありませんでしたが、算数は好きなほうでしたね」
という内容から始まり、打つときの構え方を単純な三角形に置き換えて、
体重のかけ方や足の開き具合を考えていたと明かしています。
また、相手のバッターが撃つ打球の方向なども「割合」を使って計算しているなど、
野球人生に算数は活きているのだそうです。
これには勉強嫌いのスポーツ少年たちも、ぐっと心をつかまれるのではないでしょうか。
朝日新聞によると、この教科書の担当者は、
「子どもたちにも知名度の高い人に算数と自分の関わりを語ってもらうことで、
算数を学習する意義を見いだすきっかけとなれば」
と話しているそうです。
*
このほか各教科で、
著名なスポーツ選手や、史上最年少で六冠を達成した将棋の藤井聡太さんなども登場。
そして人気ユニット・YOASOBIの楽曲『群青』の歌詞は、高校の書道の教科書に起用されました。
「何回でも、ほら何回でも――」のあのフレーズが、
躍動感のある筆運び、しかも横書きでお手本となっています。
胸熱です。これはちょっとノートの裏に書きたくなっちゃうなぁ(蘇る学生気分:笑)。
実際、このように子どもたちの興味とリンクして、
共感を持ってもらうことが狙いなのだそうです。
時代に合わせて題材を変えていくことは、有効なのかもしれませんね。
時代にそぐわない作品は、削除していいのか?
しかし、逆にそれが原因で、賛否両論に分かれている教材もあります。
広島県広島市の教育委員会が、小学校で使われている平和教材から
漫画『はだしのゲン』を削除すると決めた件です。
そのことで、被爆者団体などからは
「この漫画は中沢啓治さんの実体験に基づいており、
子どもたちに戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えたいという想いにあふれている」
と、削除を取りやめてほしいという反対の声が相次いでいるそうです。
削除を決めた理由としては、
『はだしのゲン』の漫画に出てくる「浪曲」や「コイを盗む」など生活のようすが、
もはや現代の子どもたちに合わず、その説明をするだけで授業の時間が大幅に取られてしまう。
肝心な被ばくや平和を考えるための時間が持てない。
ということのようです。
その代わりとして、原爆で家族を失った女性の実体験を掲載するとのことでした。
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なるほど……。
たしかに古い娯楽文化や食事情の描写は、
限られた授業時間の中で「効率的」に事実を伝えるのには向かないのかもしれませんね。
しかし、池のコイを盗まなくてはならないほど生活が困窮していたということですし、
戦争の背景として文化は切り離せないものであることも事実です。
そして、ヤスコも小学校1、2年生のころに初めてこの漫画を見たのですが、
幼心に理屈ではない戦争の恐ろしさや、
そして生きていくことの力強さを感じた記憶があります。
おそらく、中沢さんの想いの強さや作品の力なのだと思います。
教育委員会としては、学校の本棚などには引き続き『はだしのゲン』は残し、
学校教育から排除するという考えではないとのことでした。
ヤスコ個人的にも、子どもたちの目にこの作品が触れる機会は、確保してほしいと願っています。
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人気スポーツ選手やミュージシャンなど、新しい題材の起用は学習に活気をもたらしてくれます。
しかし、単純に「子どもたちの認知度が高ければいい」と一言ではくくれない学校の教材事情。
あなたはどう考えますか?
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