勉強をしない中学生|発達障害のタイプ別に対策法をご紹介!
公開日:2024年4月5日
発達障害の中学生が勉強しない理由とその対策についてタイプ別に解説します。
勉強しない中学生の行動パターンを理解できれば、これまでと違ったアプローチができるようになります。
今回のコラムでは、「勉強しない中学生をどうやったら勉強するようにできるか?」について、その理由と対応法を中心に詳しく解説します!
勉強しない中学生|発達障害6つのタイプ別に解説
1. ADHD(不注意優勢型)タイプ
「ADHD(不注意優勢型)」タイプの中学生は、集中を継続することが苦手です。
この特性が学習に支障をきたし、勉強しなくなってしまうことがあります。
例えば、
- 先生の話を集中して聞けず、大事なことを聞き逃してしまう。
- 授業中に集中が途切れてしまい、内容が分からなくなる。
- テストでケアレスミスを連発してしまい、悪い点数をとってしまう。
- 解答欄を間違えてしまう、名前を書き忘れる、記号で回答する問題なのに記述の答えを書いてしまう、などの大きなミスをしてしまう。
- 先生からの説明や指示(テストの範囲や提出物の期限などの大事な情報)を聞き逃してしまう。
- 忘れ物や落とし物(教科書を忘れてしまう、ノートをなくしてしまう 等)が異常に多く、勉強できないことがある。
などがあります。
せっかく頑張って勉強したのに不注意によるミスを繰り返してしまい、本来の力を上手く発揮できないことがよくあります。その結果、「勉強しても意味ないじゃないか…」と考えてしまい、徐々に勉強しなくなってしまうのです。
2. ADHD(多動衝動優勢型)タイプ
「ADHD(多動衝動優勢型)」タイプの中学生は、思いつきで突発的な行動をしてしまうことが多く、興味の対象がコロコロと移り変わりやすい特性があります。
また、物事の優先順位がつけられず、理にかなっていない行動が目立ったり、優先順位がアベコベになってしまい、周囲に迷惑をかけてしまったりもします。
例えば、
などがあります。
- テスト前日なのに急に部屋の掃除を始めてしまう。
- テスト前なのにゲームに没頭してしまい、自分の意志でやめられない。
- スマホのゲームなどで、保護者に無断で大量課金してしまったり、際限なく利用してしまう。・定期テストや受験に向けての計画を立てても、計画通りに進めることができない。計画倒れになってしまう。
- 提出物や宿題の提出期限を守れない。もしくは、期限直前までやらず後回しにしてしまう。
などがあります。
計画的に学習を進めることができず、計画を立てたとしても、自分でスケジュール管理ができずにいつも計画倒れになります。
「何をやっても中途半端になってしまう…」「勉強に集中できない」と考えてしまい、「こんな自分はダメな人間だ…」と自己肯定感が低下してしまいます。その結果、勉強に対するやる気や自信を失ってしまい、徐々に勉強しなくなってしまうのです。
3. ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)タイプ
ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)タイプの中学生は、
- 他人の心情を読み取ることが苦手で、周りを気にせずマイペースな行動をとる
- 環境やルールなどの急な変更に対応できない
- 順番や物の配置など、独特のこだわりが強い
- 興味や関心が狭い範囲に偏りやすく、独特のこだわりや振る舞いなどがある
- 好きなものに没頭しやすく、なかなか切り替えができない
などの特性があります。
このような特性から、学習面において様々な困難に直面します。
例えば、
- わからない問題があっても、先生に質問することができない。
- 急な抜き打ちのテストなどに対応できず、力を発揮できない。
- 好きな教科しか勉強したがらない。
- 先生との人間関係が、科目の得意・苦手に強く影響する。
- テスト前なのにゲームやスマホに没頭してしまい、自制することができない
などがあります。
ASDの特性は、プラスに働くと学業で優れた結果に結びつくこともあり、学業においては必ずしも問題になるとは限りません。
例えば、特定の分野に対して並外れた集中力を発揮したり、好きな科目や興味のある分野に対して徹底的にやり込むことで目を見張るような成果を上げることがあります。
ただ、特性が悪い方向に向いてしまうと、遊びばかりに目が向いてしまうようになったり、勉強嫌いになってしまうこともあり、その場合は全く勉強をしなくなってしまうことがあります。
4. ディスグラフィア(書字障害)タイプ
ディスグラフィア(書字障害)タイプの中学生は、文字を書くことが苦手です。
この特性から、中学生生活の様々な場面で支障をきたし、勉強のやる気がなくなってしまうことがあります。
例えば、
- 幼少期から字が汚くて怒られてきた経験が多く、「字を書く課題」(作文やレポート 等)に対してやる気がなくなってしまう。
- 英単語や漢字を書いて覚えるのがとても苦手。
- 歴史の問題などで、答えは合っているのに漢字を間違えてしまうことが多い。
- 字を綺麗に書けず、ノートやワークなどの提出物を後回しにしてしまう。
などがあります。
中学生になると、作文やレポートなど「文章を書く課題」が増えるため、書字障害の特性から、勉強へのやる気が低下しやすくなります。
さらに、周りの生徒が綺麗な字を書けるようになっていくのを見て、「自分はどうしてこんなに字が汚いんだろう…」と劣等感を感じてしまい、結果的に勉強をしなくなってしまうことがあります。
5. ディスレクシア(読字障害)タイプ
ディスレクシア(読字障害)タイプの中学生は、文章を読むことが苦手です。
この特性から、中学生になると様々な場面で困難を感じ、勉強のやる気がなくなってしまうことがあります。
例えば
- 数学の文章問題で、「何を求めればいいのか」を読み取れない。
- 語彙力が乏しく、難しい文章や長文を見るとやる気がなくなってしまう。
- 長文読解に対する苦手意識が強く、読む前に諦めてしまう。
- 長い文章を読んで、質問に答えることが苦手。
などがあります。
ディスレクシア(読字障害)の中学生は、幼少期から文章を読むことに強い抵抗感を示すことが多いです。
中学生になると、英語・国語の長文読解や数学の文章題など、長い文書を読んで答える問題が増えるため、やる気が低下しやすくなり、その結果、勉強をしなくなってしまうことがあります。
6. ディスカリキュア(算数障害)タイプ
ディスカリキュア(算数障害)タイプの中学生は、計算問題を解くことや図形を理解することが苦手です。
この特性から、中学生になると特に数学や物理で苦労し、勉強のやる気がなくなってしまうことがあります。
例えば、
- マイナスの概念が理解できない。+と-が混ざった計算が解けない。
- x・yなどの文字式に苦手意識が強く理解できない。
- 中学生になってからも分数や小数の計算を間違えることが多い。
- 中学生になってからも九九を間違えることがある。
- 図形の問題が苦手で、解答時間が異常にかかる。
などがあります。
算数障害のある中学生は、小学校で習った分数や小数などを未だに理解できていないことが多く、分数や小数を見るだけで解くことを諦めてしまうことがあります。
しかも、中学数学は問題が複雑化し、分数や小数に加えて-(マイナス)や、x・yなどの文字を使った計算も始まります。その結果、徐々に理解することが困難になり、勉強をしなくなってしまうことがあります。
発達障害の中学生に勉強させる方法
1. ADHD(不注意優勢型)タイプの勉強方法
ADHD(不注意優勢型)タイプの中学生を勉強させるためには、「勉強する環境を整えること」が一番大切です。
不注意優勢型の中学生は、いざ勉強を始めると「消しゴムがない」「シャーペンの芯がない」などと、すぐに他のことに気をとられてしまい、勉強が手につかないことがあります。
ですから、文房具やノート、教科書、ワークなどを全て机に準備することから始め、スマホやゲームなどを別の部屋に置いて視界に入らないようにすることなども効果的です。
このように、学習環境を整えて勉強をすることから始めましょう。
2. ADHD(多動衝動優勢型)タイプの勉強方法
ADHD(多動衝動優勢型)タイプの中学生を勉強させるためには「明確なゴールを設定すること」が最も重要です。
多動衝動優勢型の中学生は、勉強を始める時に、あらかじめ明確な目的や目標がないとやる気を保つことが難しく、自分の興味があるゲームなどにすぐに飛びついてしまい、勉強を後回しにしてしまうことがあります。
例えば、「10分だけ勉強する」「1つの単語を覚える」など、小さなゴールを設定するだけでやる気が出やすくなります。
これらの小さな成果を積み重ねていくことができれば、成績も向上していくでしょう。
3. ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)タイプの場合
ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の中学生を勉強させるためには「安定した学習環境で勉強をさせること」が非常に重要です。
ASDタイプの中学生は、突然の環境の変化に対応することを苦手とする傾向があります。そのため、学習環境や勉強方法において安定性や安心感を重視することが必要です。
例えば、「毎日19時〜20時は勉強する」といったスケジュールを決めて勉強をルーティン化すると効果的です。その際に、静かで落ち着いた学習環境を用意し、過剰な刺激を避けるように配慮するとお子さんは更に勉強しやすくなるでしょう。
また、分かりやすく具体的な指示や課題を与えることも効果的です。
例えば「今日はワークの○○ページを終わらせよう」など細かく指示を出すことで安心感に繋がり余計な不安を消し去ることができます。
4. ディスグラフィア(書字障害)タイプの場合
ディスグラフィア(書字障害)の中学生を勉強させるためには、「字を書くことの負担を軽減する工夫」が重要です。
ディスグラフィアの中学生は、文字や数字を書く際に正確さや速さに課題を抱えています。そのため、勉強において字を書くことが大きな負担となり、学習意欲や自信を失うことがあります。
ですから、まずは字を書くことの負担を軽減するための具体的な工夫が必要です。
例えば、
- マス目の大きなノートを用意し大きく字を書けるように配慮する
- タブレットなどのツールを活用して字を書かなくても学習できるようにする
- 単語カードなどを活用し「見て覚える」習慣をつける
といったように、字を書くことに対するストレスを減らし、勉強に集中できる環境を整えることで学習の効果を出しやすくなります。
このようにディスグラフィアタイプのお子さんを勉強させるには、字を書くことのストレスを軽減することから始めましょう。
5. ディスレクシア(読字障害)タイプの場合
ディスレクシア(読字障害)の中学生を勉強させるためには、「読解力を向上させるサポート」と「読解以外の学習から始めること」が重要です。
ディスレクシアタイプの中学生は、長い文章を読むことにおいて特定の困難を抱えています。
読解力を向上させるためにはお子さんへのサポートを工夫する必要があります。
例えば、テキストを読む際に音声読み上げツールを使用することで、理解度を高めることができます。この方法は、読むことに苦手意識がある場合に特に効果的です。(※音声読み上げツールはパソコンやスマートフォンのアプリで無料で利用できるものもあります。)
また、読解力を必要としない学習を優先して進めることも有効です。
例えば、「漢字・単語の書き取り」「計算練習」「歴史の年号の暗記」など、比較的苦手意識の低いものから学習を始めることで、確実に解ける問題を増やしていくことができ、勉強の意欲も沸きやすくなります。
このようにディスレクシアタイプのお子さんを勉強させるには、読解力向上のサポートや学習の優先順位を整えてあげることが大切です。
6. ディスカリキュア(算数障害)タイプの場合
ディスカリキュア(算数障害)の中学生を勉強させるためには、「算数への苦手意識を軽減するアプローチ」が重要です。
ディスカリキュアタイプの中学生は、数字や計算に関する苦手意識を抱えており、分数や小数を見るだけで学習意欲や自信の低下につながることがあります。ですから、まずは算数への苦手意識を軽減するためのアプローチが必要です。
具体的には、中学生のお子さんに対しても分数や小数を1から丁寧に教え、お子さんが理解するまで徹底的にかみ砕いてわかりやすく教えることです。
ときにはお子さんの好きなゲームなどに例えながら教えることで、徐々に理解が深まっていき、苦手意識が軽減されることで普段の学習に取り組む姿勢も変化してくるでしょう。
以上のような取り組みを通じて、ディスカリキュアタイプの中学生が数学に対するストレスを軽減できれば、徐々に学習に取り組む姿勢も変化するはずです。
発達障害の中学生に対する5つの注意点
1. 周りと比較しない
発達障害の中学生は周囲と比較されることを嫌がります。
「お兄ちゃんのときはこんなに苦労しなかったのに」
「⚪︎⚪︎くんはこないだのテスト△点だったわよ」
など、発破をかけるつもりの発言であっても、お子さんは傷つき自己肯定感が下がってしまいます。
その結果、やる気が出なくなり余計に勉強しなくなってしまいます。
2. 感情的に叱らない
「なんでこんなこともできないの!」
などと、感情的に叱ってしまうことは、発達障害のある中学生にとって逆効果です。
中学生は反抗期でもあるので、感情的な発言にはとても敏感です。
お互いに感情がぶつかってしまい大喧嘩になってしまうこともあります。
3. できなくても諦めない
お子さんがあまりにも勉強をせず反抗的だと、
「本人のことだから、やる気になるまで放っておこう」といったような考えになることもあるでしょう。
ただ、その考えは悪い方向に進む可能性があります。
お子さんは先々のことを考えて今の行動を決めているわけではありません。
大抵の場合、お子さんがやる気になる頃には手遅れになってしまうので、諦めずに行動することが大切です。
4. 成長を認めない
例えばお子さんのテストの結果が10点から25点に上がったとき、
「25点しかとれてないじゃないの…」
と否定的に言わないようにしましょう。
この様な場合は、むしろ15点伸びたことを褒めてあげ、次のステップに進んでいけるように心掛けましょう。
どんな些細な成長でも褒めてあげることでやる気につながることを覚えておきましょう。
5. 子どもの個性を理解しようとしない
お子さんの個性や考えを否定しないようにしましょう。
お子さんの1番の理解者になることができるのは「家族」であり、その中でも親御さんです。
本人の特性の良いところも悪いところも全て受け入れてあげ、どんな反抗的な態度をとったとしても、「許す心」があれば、お子さんもいつか必ず心を開いてくれるはずです。
信頼関係を築いた上で勉強の大切さなどを話していきましょう。
まとめ
中学生の時期に発達障害の症状が強く出て、お子さんが勉強を拒否してしまうと不安になる親御さんも多いと思います。
ただし、お子さんが「どうして勉強をしないのか」という理由をキャッチするだけで対応策は変わってきます。
感情的にならずに、お子さんの特性に合わせた対応策を試してみて下さい。
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