発達障害チェックリスト【中学生のお子さん向け】

公開日:2024年6月5日

今回のコラムでは、どの発達障害の症状が強いのか?を簡易的に判断するチェックリスト(中学生向け)をご紹介します。
発達障害の傾向別にチェックできるようになっていますので、お子さんへの支援の参考にお役立てください。

発達障害とは?

発達障害は、以下の3つの症状に分けることができます。

  1. ADHD(注意欠如多動症)
  2. ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)
  3. LD・SLD(限局性学習症)

発達障害の症状は一人一人異なり、どの症状が強く現れるかも全く違います。
1つの症状だけが強く出ることは稀で、多くのお子さんは複数の症状が重複して現れます。例えば、ADHDの多動・衝動性の特徴と算数障害(LD)の特徴が併発している、といったケースがあります。

発達障害の傾向が疑われる中学生の場合、どの症状が強く出ているのか?を正しく把握し、その特性を理解して接することが重要です。お子さんの発達障害の症状がわかることで、適切な支援方法や苦手なことが明確になり、対策が取りやすくなります。

また、発達障害の症状が見受けられるが診断が出るほどではない「発達障害グレーゾーン」と呼ばれる状態もあります。
グレーゾーンのお子さんは、発達障害の傾向があることに気づかれにくく、「ただサボっているだけなんじゃないか?」と思われてしまうことがあります。このようなお子さんも、どのような傾向があるのかを把握しておけば、適切にフォローすることができます。

中学生の発達障害ついてもっと知りたい方はこちら
「発達障害の中学生の特徴と支援法」

発達障害グレーゾーンについてもっと知りたい方はこちら
「発達障害グレーゾーンの中学生の特徴|判断の仕方やサポート方法について」

ADHD(注意欠如多動症)の症状とチェックリスト

ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動的な行動」の3つの特徴が挙げられます。
それぞれ特徴が異なりますので、下記にその特徴とチェックリストをご紹介します。

【ADHD:不注意】の特徴とチェックリスト

ADHD(不注意)とは、注意を継続させることが苦手な症状であり、

  • ケアレスミスが多い
  • 集中力が持続しない
  • 忘れ物や落とし物をよくしてしまう

などの特徴があります。

提出しなければならない宿題やプリントを頻繁に家に忘れてしまう。
簡単な計算、漢字の書き間違い、記入欄の間違いなど、問題の解き方は分かっているのにミスが多発してしまう。
授業に必要な教科書やノートを持ってくるのを忘れることが頻繁にある。
筆箱や定規など、日常的に使用する文房具をよく失くしてしまう。
運動会や文化祭など、事前に知らされている学校行事の日程を忘れてしまう。
グループ発表の際、自分の担当部分や役割を忘れてしまう。
授業中に他のことに気を取られて、先生の話を聞き逃してしまう。
教室や廊下に自分の持ち物(上着、傘、水筒など)をよく置き忘れてしまう。
時間割や予定を忘れてしまい、次の授業に遅れることが多い。
聴宿題をやり始めたものの、どこまでやったかや、何をやるべきかを忘れてしまう。

【ADHD:多動性】の特徴とチェックリスト

ADHD(多動性)とは、落ち着きのない動作が多くなる症状で、

  • 貧乏ゆすりなどの細かい動きが止まらない
  • 落ち着きがない、じっとできない

などの特徴があります。

授業中に貧乏ゆすりやペンや消しゴムをいじったり、カチカチ音を立てたりなど、何らかの動作をし続けてしまう。
授業中に隣の席の友達を突っついたり、話しかけたりして集中を妨げてしまう。
走ってはいけないところで走ってしまうなど、ルールを守れない。
卒業式や全校集会などの場で、ふざけてしまい怒られてしまうことがある。
宿題をしている最中でも、頻繁に席を立って部屋を歩き回ってしまう。
部活動の練習中に指示を待てず、指導者の話の途中で勝手に動き出してしまう。
ゲームをしている時、椅子にじっと座っていられず、ゲームの動きに合わせて体を動かしすぎてしまう。
列に並んで静かに順番を待つことができない。
他のことに気を取られてしまい、掃除や片付けが中途半端になる。
友達や家族との会話中に、話に夢中になると手や体を大きく動かしてしまい、時には周りの物にぶつかってしまう。

【ADHD:衝動的な行動】の特徴とチェックリスト

ADHD(衝動的な行動)とは、感情の高ぶりを抑制できず突発的に行動を起こしてしまう、といった症状で、

  • カッとなって友達や先生に暴言を吐いてしまう
  • 感情的になると家や学校のもの(壁など)を殴りつけて壊してしまう

などの特徴があります。

スマホアプリなどで、親に黙って多額の課金をしてしまう。
ゲームで負けてしまうと感情が高ぶり、コントローラーや画面を叩いたり、投げたりする。
友達との揉め事やいざこざで感情が高ぶり、突然暴力を振るったり物を投げつけたりする。
怒りや悲しみが湧き上がり、周囲の人に対して泣き叫んだり、物を投げたりする。
家庭内での口論中に感情的になり、家具を蹴ったり叩いたりしてしまう。
自分の思い通りにならない状況に対して感情的になり、暴力を振るったり物を破壊したりする。
待ち時間が長くなるとイライラし、周囲のものを無意識にいじったり壊したりする。
先生から注意されると、突然暴言を吐いてしまう。
試験中やテスト中に問題が解けないとイライラし、机を叩いたり、答案用紙を乱暴に扱ったりする。
怒りが収まらず、大声を上げたり、周囲のものを蹴ったり壊したりして暴れる。

ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)の症状とチェックリスト

ASDは「自閉スペクトラム症」「アスペルガー症候群」の2つの症状があります。それぞれ特徴が異なりますので、下記にその特徴とチェックリストをご紹介します。

【ASD:自閉スペクトラム症】の特徴とチェックリスト

ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、「相手の心情を理解することが難しい」という特徴があります。

例えば、

  • 一方的に自分の話ばかりを続けてしまう
  • 相手の話を遮って自分の話をしてしまう

といった特徴があります。

また、「特定の事柄に対するこだわりが強い」という特徴もあります。

例えば、

  • 予定やルールの変更があると、イライラしたり強いストレスを感じる
  • クラス替えや転校など、環境が変わると適応できない

といった特徴があります。
また、後述のアスペルガー症候群の傾向があるお子さんと比べると、「軽度の知的障害」「言語の発達の遅れ」が見受けられることがよくあります。

適切な服装や身だしなみを理解せず、寝癖をつけたまま学校へ来てしまったり、制服のシャツがはみ出たまま来てしまう。
ひとりでいることが好きで、学校行事や部活動などの協調性を求められる活動を苦痛に感じる。
クラスでのグループディスカッションや会話の中で、自分の興味に関する話題ばかりを続けてしまう。
友人関係や恋愛関係で、相手が話している最中でも自分の話を中断せずに続けてしまう。
特定の興味や趣味に熱中し、そのことに時間を費やす傾向がある。
急な予定変更や家庭での日課やルーティンが変わった際に、適応できずに混乱したり、拒絶反応を示す。
特定の教科や科目に対して強い興味やこだわりを持ち、それ以外のことに興味を持たない。
特定の服装や外見に固執し、それ以外の服装や外見を受け入れない。
特定の音や香りなどに対して過敏な反応を示し、それらが変わることを嫌がる。
特定の食べ物や食事のルーティンに強い拘りがあり、それ以外の食べ物を拒否したり、同じ食事を繰り返し求める。

【ASD:アスペルガー症候群】の特徴とチェックリスト

ASD(アスペルガー症候群)のお子さんは、表情や仕草といった非言語的なコミュニケーションを苦手としています。

具体的には、

  • 冗談をそのまま受け取ってしまう
  • まわりくどい言い方は理解できない

など、言葉の裏の意味を理解することを苦手とする特徴があります。

友達が言った冗談をそのまま受け取り、笑いについていけないことがある。
言葉の裏の意味やニュアンスを読み取ることが難しく、相手の真意を理解できないことがある。
他人が複雑な表現やまわりくどい言い回しをすると、理解できずに混乱する。
相手の目を見ることや適切な視線の使い方が難しく、コミュニケーションに支障をきたすことがある。
適切な身振りや表情を使うことが難しく、相手に適切なメッセージを伝えられないことがある。
他人の感情や気持ちを読み取ることが難しく、相手の感情に共感できないことがある。
社会的な規範やマナー、ルールを理解することが難しく、適切な行動が取れないことがある。
適切なコミュニケーションの発信が難しく、自分の思いをうまく表現できないことがある。
突然の状況の変化や予期せぬ出来事に対して、適切に対処することが難しい。
友人や家族との関係性の構築が難しく、孤立感や社交不安を感じることがある。

LD・SLD(限局性学習症)の症状とチェックリスト

LD・SLDは、ある特定の学習分野で困難が生じる発達障害です。
具体的には「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3種類があります。
それぞれ特徴が異なりますので、下記にその特徴とチェックリストをご紹介します。

【LD・SLD:読字障害】の特徴とチェックリスト

「読字障害」は、知的な遅れはないにも関わらず、文章の読解が極端に苦手であることが特徴です。

例えば、

  • 数学の文章題や英単語の暗記が苦手
  • 複雑な漢字を覚えることが苦手

といった特徴があります。

数学の問題文が理解できず、問題の意図や求められている解法がわからない。
英単語や文法の暗記が苦手で、覚えるのに時間がかかり、覚えたつもりでも定着しない。
複雑な漢字の読み書きが難しく、正確に書けないことがある。
一般的な速度で文章を読むのが難しく、理解するのに時間がかかる。
文章の中で重要な情報を見落としやすく、要点を把握するのが難しい。
長い文章を読むのが苦手で、途中で集中力が途切れることがある。
本や教科書などを読むのが苦手で、興味を持てないことがある。
複雑な指示や説明を理解するのが難しく、何度も説明を繰り返す必要がある。
読解力の不足により、教科全般での学習が遅れることがある。
試験での文章問題への対処が難しく、時間内に解答することが難しい。

【LD・SLD:書字障害】の特徴とチェックリスト

「書字障害」は、文字の書き取りや作文に困難を感じることを特徴とします。

例えば、

  • アルファベットの「b」と「d」など、似た形の文字を何度も書き間違える
  • 漢字やひらがな・カタカナで鏡文字を書いてしまう

などの特徴があります。

「b」と「d」や「p」と「q」など、似た形の文字を何度も混同して書き間違える。
漢字やひらがな、カタカナなどを書く際に、鏡文字になってしまうことがある。
文字の順序を逆に書いてしまうことがあり、正しい順番で書くのが難しい。
文字を書く際に字間の間隔がばらばらで、文字同士が詰めすぎたり離しすぎたりする。
文字の大きさや形が揃わず、バラバラな書体で文字を書くことがある。
文字の形が一貫しておらず、書くたびに形が変わることがある。
文字を書く際に、文字が斜めになったり傾いたりすることがある。
線の引き方が乱れて、筆跡が乱雑になることがある。
作文を書くのに時間がかかり、他の生徒と比べて書く速度が遅いことがある。
筆圧が一定でなく、文字が濃淡になったり、筆跡が不安定になることがある。

【LD・SLD:算数障害】の特徴とチェックリスト

「算数障害」は、コミュニケーション能力や他の科目に問題がない一方で、数学の能力(特に計算)のみが極端に苦手なことを特徴とします。

例えば、

  • 中学生になっても分数や小数が苦手である
  • +(プラス)や-(マイナス)といった正負の符号を頻繁に間違える

などの特徴があります。

分数や小数の概念や計算が理解できず、様々な問題で混乱する。
+(プラス)や-(マイナス)といった正負の符号を頻繁に間違え、計算過程で混乱する。
計算をする際に、掛け算を足し算としてしまったり、割り算を引き算としてしまったりする。
数字や数値を読み取る際に、誤った数字を読み取ったり、数値の位置を間違えたりする。
長さや重さなどの単位の変換が難しく、単位を正確に計算できない。
数学の問題を解くための適切な手順やアプローチが理解できない。
数学的な概念や公式の理解ができず、問題が解けない。
時計や時間の概念の理解が難しく、時計の針の位置や時間の経過を正確に把握できない。
数学の記号や用語の意味を正確に理解できず、数学の問題を解く際に混乱する。
数学に対してだけ興味や自信が極端に低く、数学の授業や宿題に取り組むのが苦手である。

学習障害の診断テストについてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「学習障害(LD・SLD)の診断テスト|症状別チェックリストをご紹介

まとめ

今回は、中学生の発達障害を判別するためのチェックリストを症状別にご紹介しました。
発達障害には様々な症状がありますが、お子さんが抱える「苦手分野」を正しく把握することで、多くの場合は改善の方向へ向かいます。今回のチェックリストを活用して、お子さんの症状の理解に役立てて頂ければ幸いです。

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