【高校生向け】発達障害(グレーゾーン)のチェックリスト

公開日:2024年8月15日

このコラムでは、高校生の発達障害(グレーゾーン)を見極めるためのチェックリストを症状別にご紹介します。また、発達障害の特徴も症状別に詳しく解説します。
発達障害のお子さんの得意・不得意を把握するためにもチェックリストの活用をおすすめします。

高校生の発達障害とは?

高校生のADHDの特徴

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、注意力の欠如、多動性、衝動性といった特徴を持つ発達障害の一つです。
日本においても、子どもから大人まで多くの人がこの障害を抱えており、その中には高校生も当然含まれます。ADHDは、個人の学業社会的な関係、そして日常生活に多大な影響を及ぼしますが、適切な理解と支援があれば、充実した生活を送ることが可能です。

高校生のADHDは、特に学業や人間関係において様々な課題を引き起こします。
以下では、ADHDの三つの主要な特徴(注意欠如、多動性、衝動性)について詳しく見ていきます。

ADHD(注意欠如)

高校生のADHDにおいて、注意欠如は最も顕著な特徴の一つです。
症状としては、長時間集中することが難しくなり、授業や課題に取り組む際に注意が散漫になりがちです。
例えば、高校生のADHD(注意欠如)では以下のような行動が見られます。

  • 授業中にぼんやりしてしまう
  • 課題を最後まで終わらせることができない
  • 重要な情報を聞き逃してしまう

また、忘れ物が多かったり、計画を立てて物事を進めるのが苦手だったりします。これにより、学業の成績に悪影響が出ることが少なくありません。

ADHD(多動性)

ADHDの多動性の特徴を持つ高校生は、じっとしていることが苦手です。
高校生になると、ADHD傾向にある小学生のように授業中に立ち回ることは少なくなりますが、足や手などの身体の一部をそわそわ動かすなど落ち着きのない様子がみられます。
また、一見すると集中しているように見えても、頭の中では全く別のことを考えていて話を聞いてないといった、脳内の多動性が生じるケースもあります。
例えば、高校生のADHD(多動性)では、以下のような具体的な行動が見られることがあります。

  • 座っている時に貧乏ゆすりをしてしまう
  • 授業中にペン回しや落書きなど関係ないことをしてしまう
  • その場に全く関係ないことを考えてしまう

このような行動は、本人だけでなく周囲の友達や教師にも影響を与えることがあります。

ADHD(衝動性)

ADHDの衝動性の特徴を持つ高校生は、自分の行動をコントロールするのが難しく、考えずに行動してしまうことがよくあります。
高校生のADHD(衝動性)では、以下のような行動が典型的です。

  • 相手の話を最後まで聞かずに遮ってしまう
  • 質問が終わる前に答え始める
  • 感情的になって突発的な行動を取る
  • 喧嘩、万引き、喫煙などの非行に走ってしまう

このような行動は、友達や教師との関係に影響を与え、時にはトラブルを引き起こす原因となります。

高校生のASDの特徴

ASD(自閉症スペクトラム障害)は、コミュニケーションや対人関係の困難限定的で反復的な行動パターンを特徴とする発達障害です。

高校生におけるASDは、幼児期、小学生、中学生などの他の年齢層とは異なる特性を持ちますが、適切な支援と理解があれば、問題なく高校生活を送ることができます。
以下で、高校生におけるASDの特徴について詳しく解説します。

対人関係の困難

ASDの高校生は、友人との交流集団活動において困難を感じることがあります。
例えば、友人の気持ちを理解するのが難しかったり、適切な社会的距離を保つのが苦手だったりします。
高校生になると文化祭や体育祭などのイベントが増え、同級生と協力する機会が多くなるため、ASD傾向のある高校生は対人関係の困難が増える可能性があります。

コミュニケーションの課題

ASDの高校生は、言葉の遅れや、話の流れを理解するのが難しいことがあります。
具体的には、話し方が一方的であったり、会話の微妙なニュアンスを読み取るのが苦手です。
高校生になるとコミュニケーションの幅も増え、表情やその場の空気を読むことが重要になるため、人間関係でのトラブルや困難が増える可能性があります。

興味と行動の偏り

ASDの高校生は、特定の興味に強い執着を持ち、同じ行動を繰り返すことが多いです。
例えば、特定の話題について長時間話し続けたり、同じルーティンを守ることに強いこだわりを見せます。同じ趣味のある友人がいれば孤独感を感じることは少ないですが、誰からも理解されない場合はクラス内で孤立する可能性が高く、不登校の原因になることもあります。

高校生のLDの特徴

LD(学習障害)は、特定の学習領域において著しい困難を抱える発達障害です。
高校生の学習内容は非常に難しくなるため、小中学生の時にLDの症状があまり目立たなかった人も、高校生になると読字、書字、算数の領域で課題を感じることがあります。
以下に、各領域の特徴を紹介します。

読字障害(ディスレクシア)

読字障害(ディスレクシア)とは、文字の読み取りや音韻認識に困難があり、文字を音に変換することが苦手な発達障害です。具体的には、音読が遅く、不正確であったり、読み間違いや誤読が多いことが挙げられます。
高校生になると教科書の内容が難解になり、特に英語や古文などの理解に時間がかかるようになります。また、読解力にも影響が出るため、学業全般に悪影響を及ぼすことがあります。

書字障害(ディスグラフィア)

書字障害(ディスグラフィア)とは、文字を書くことに著しい困難があり、文字の形を整えるのが苦手な発達障害です。具体的には、書く速度が遅かったり、字が乱れて読みづらかったりします。
高校生になるとノートを取る量が増え、使う言葉も難しくなるため、書字障害による困難を経験しやすくなります。また、記述形式の問題も増えるため、テスト中の書字に時間がかかり、成績に悪影響が出ることがあります。

算数障害(ディスカリキュア)

算数障害(ディスカリキュア)とは、数や計算に関する理解が困難で、数の概念を把握するのが苦手な発達障害です。具体的には、基本的な算数の計算や数学的な概念の理解に困難が生じます。
高校生になると数学の難易度が飛躍的に上がるため、教科書の理解が遅れ、成績に悪影響を及ぼすことがあります。

発達障害グレーゾーンとは?

発達障害のグレーゾーンとは、明確な診断基準に該当しないものの、日常生活や学業において発達障害に近い特性を持つ子どもたちを指します。
彼らは、通常の診断では障害とされないため、支援の対象から外れることが多いですが、適切なサポートが必要です。
発達障害の症状が軽度である場合、一般的な発達障害の診断基準に完全には当てはまりませんが、困難を抱えることが多くあります。このような場合、適切なサポートが受けられないと、学業や社会生活において困難(軽度な注意欠如や対人関係の困難など)が生じることがあります。

発達障害の診断方法

発達障害の診断は、多面的な評価を通じて行われます。
専門的な医療機関で、医師や心理士、教育者が協力し、個々の特性や困難を正確に評価するためのプロセスを経て診断が行われます。

臨床面接

専門家が本人や家族に対してインタビューを行い、日常生活や行動の特徴について詳細な情報を収集します。

行動観察

学校や家庭での行動を直接観察し、教室内や家庭内での具体的な行動パターンを評価します。

心理検査

標準化された心理検査を使用して、知能指数や行動特性を評価します。これにより、学習障害や発達の遅れを把握します。

医学的評価

身体検査や神経学的検査を行い、他の医学的な問題が発達障害に影響していないかを確認します。

多職種チームによる総合評価

医師、心理士、教育者などが協力して情報を共有し、総合的な評価を行います。これにより、診断の精度を高め、最適な支援計画を立てます。

高校生の発達障害のチェックリスト

ADHDチェックリスト

下記のチェック項目は、発達障害の可能性を見極めるための参考になりますが、正式な診断は専門家による評価が必要です。
チェックリストを通じて気になる点がある場合は、早めに専門の医療機関や支援機関に相談することをおすすめします。

ADHD(注意欠如)

授業中や自習時間中にスマートフォンを頻繁にチェックし、SNSやゲームに夢中になることが多い。
提出期限が迫っている課題を最後の瞬間まで放置し、深夜になってから焦って取り組むことがある。
教科書やノート、文房具を頻繁に忘れ、毎日違うクラスメートから借りることが多い。
テスト前に一夜漬けで勉強しようとするが、集中力が続かず、重要なポイントを見逃すことが多い。
長時間の授業や勉強中に気が散りやすく、窓の外の風景や他の生徒の動きに注意がそれる。
友人との会話中に話の流れを見失い、話題が飛びがちである。
授業の内容を理解するのが難しく、ノートを取るのを忘れることが多い。
スケジュールや計画を立てるのが苦手で、頻繁に予定を変更することがある。

ADHD(多動性)

授業中や自習時間中に椅子にじっと座っていられず、体を動かしたくなることが多い。
授業中に鉛筆やペンを回したり、足を貧乏ゆすりすることが頻繁にある。
長時間の授業や試験中に体を動かさずにいることができず、授業中に頻繁に立ち上がったり歩き回ることがある。
放課後にエネルギッシュに校内を走り回ったり、クラブ活動に過剰に参加し、休む時間が取れないことが多い。
学校の指示に従わず、自分のペースで行動することがあり、教師から注意されることがある。
休み時間に他の生徒と比べて、運動場で走り回ったり、エネルギッシュな活動に参加することが多い。
校内の移動中に他の生徒とぶつかることが多く、無意識に早足で動き回ることがある。
授業中に頻繁にトイレに行くふりをして教室を離れることがある。

ADHD(衝動性)

友人や教師の話を遮ってしまい、相手が話し終わる前に自分の意見を言いたくなることが多い。
授業中に突発的な発言をしてしまい、クラスメートを驚かせることがある。
衝動的にオンラインで買い物をしてしまい、後で後悔することが多い。
学校のルールを守るのが難しく、時折トラブルに巻き込まれることがある。
突然の感情の爆発や怒りを抑えられず、友人や教師と激しい口論になることがある。
友人との約束を守れず、突然の計画変更をしてしまうことが多い。
突然思いついたことをすぐに実行しようとして、後でその結果に困惑することが多い。

ASD(自閉症スペクトラム障害)チェックリスト

友人との関係を築くのが難しく、クラスメートから孤立することが多い。
目を見て話すことが苦手で、教師や友人との会話で視線をそらすことがよくある。
教室や学校行事での暗黙のルールを理解せず、周囲から浮いてしまうことがある。
特定の興味や趣味に強い執着を示し、それに関連する話題や活動に没頭し、他の話題には関心を示さない。
日常のルーティンや学校のスケジュールが変更になると、不安を感じてパニックになることがある。
教室内での雑音や光に敏感で、集中力を維持するのが難しい。
グループ活動やペアワークでの協力が苦手で、一人で作業することを好む。
ジョークを理解するのが難しく、友人の冗談に対して真剣に受け取ってしまうことがある。

LD(学習障害)チェックリスト

LD(読字障害)

課題の読解や教科書の読み取りに時間がかかり、内容を正確に理解するのが難しい。
読み間違いや読み飛ばしが多く、文章の意味を誤解することがある。
音読が遅く、不正確で、他の生徒に比べて読み方がぎこちない。
長い文章や本を読むのを避ける傾向があり、短い文章や要約に頼ることが多い。
読み書きの課題で他の生徒に比べて著しく遅れを取ることが多い。
長い文章を見るとやる気がなくなり、解く前に諦めてしまう。
テストや試験で、質問の内容を理解するのに時間がかかり、他の生徒よりも多くの時間を必要とする。
文章の理解を補うために、音声読み上げソフトや他の補助技術を必要とすることがある。

LD(書字障害)

文字を書くのが遅く、文字が乱れて読みにくい。
ノートを取るのが苦手で、授業中に重要なポイントを書き留めるのが難しい。
作文やレポートを書く際に、文章の構成やアイデアの整理が難しい。
スペルミスや文法の間違いが頻繁にあり、文章がまとまりにくい。
筆圧が強すぎるか弱すぎるため、長時間書き続けることが困難。
図形やグラフの描画が苦手で、図形を正確に描くことが難しい。
書く内容を頭の中で思い浮かべても、実際に書き出すのが難しい。
キーボード入力に頼ることが多く、手書きの作業を避ける傾向がある。

LD(算数障害)

数学の基本的な計算(分数・小数など)に時間がかかり、ケアレスミスも多い。
数の概念や数量の理解が苦手で、数直線やグラフを使った問題に苦労する。
数字を正しく読み取ることが難しく、桁を間違えることが多い。
計算の手順や方法を覚えるのが難しく、同じ問題を繰り返し間違えることがある。
数学の問題を文章で理解するのが苦手で、問題の意味を誤解することがよくある。
図形や空間認識の課題に苦労し、幾何学の問題を理解するのが難しい。
数学のテストや試験で、いつも制限時間内に問題を解き終えるのが難しい。
数学の宿題を避ける傾向があり、取り組むのに多くのサポートを必要とする。

まとめ

発達障害を持つ高校生にとって、進路選択の際に自分自身の特性を正確に知ることは非常に重要です。今回紹介した、チェックリストを活用することで、自分の特性や強み・弱みを把握し、有意義な高校生活を送るための助けになるでしょう。このコラムで提供した情報が、発達障害で悩む高校生やその保護者の方にとって役立つことを願っています。

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