ADHDの子が片付けられない理由とは?|6つの改善策もご紹介!
公開日:2024年9月26日
このコラムでは、ADHDの子どもが片付けられない理由を詳しく解説します。また、片付けられない子どもへの効果的な改善策や、保護者がしてはいけないこともご紹介します。
お子さんが片付けられなくて悩んでいる保護者の方は必読の内容です。
ADHDの子が片付けられない6つの理由
ADHDの特性を持つ子どもは、片付けに対して特有の困難を抱えています。ここでは、ADHDの子供が片付けられない代表的な理由を6つご紹介します。
1. 計画的に物事を進めるのが苦手
ADHDの子どもは、計画を立てて物事を進めるのが苦手です。
片付けが苦手なのもその一例で、何をどのような順番で行うべきかを考えることに困難を感じてしまいます。
物事に優先順位をつけることが難しいため、ついつい後回しにしてしまい、結局片付けを始めることができなくなることがよくあります。また、「後でやろう」と思っても、時間が経つとそのこと自体を忘れてしまうことも多いです。
2. 片付けに時間がかかる
ADHDの子どもは「不注意特性」があるため、片付け中に様々なことに気を取られがちです。
例えば、片付けを始めても別の物を見つけてそれに夢中になったり、他の場所の片付けを始めてしまうこともよくあります。
片付けだけに集中し続けることが難しいため、どうしても時間がかかり、途中で諦めてしまうこともあります。
3. 整理整頓の優先順位がつけられない
片付けをするためには、物の優先順位を考え、どこに何を置くかを決める必要がありますが、ADHDの子どもにとって、これは大きな問題となります。
どの物が重要か、どこにしまうべきかを考えることが苦手なため、ただ物を積み上げるだけになってしまったり、片付けたつもりでも、ただ物を詰め込んだだけとなってしまうことがあります。
4. 集中力の持続が難しい
ADHDの子どもは、集中力が長時間続かない傾向があります。
片付けを始めても、その最中に、途中で飽きてしまったり、別のことに気を取られてしまうことがよくあります。
特に片付けは単調な作業であるため、途中でやる気を失いがちです。また、片付けが終わる前に別のことや遊びに気持ちが向いてしまい、片付け自体を忘れてしまうこともあります。
5. どこに物を置いたかを忘れてしまう
ワーキングメモリが弱いADHDの子どもは、物をどこに置いたかをすぐに忘れてしまいます。
片付ける場所を決めていても、それを覚えておくことが難しく、必要な物を探す際に時間がかかることが多いです。
また、片付けた物をどこにしまったかを忘れてしまい、探し物をする過程で再び散らかしてしまうこともあります。
6. 空間認知能力が低い
ADHDの子どもは、空間認知能力が低いことがあります。
「物をどこにしまえば良いのか?」といった空間に対する感覚が弱いため、整理整頓の配置がうまくできません。
片付けをしても、物がうまく収まらなかったり、適切な場所に物を収納できないことが原因で、すぐに散らかってしまうこともよくあります。
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⇒ 発達障害チェックリスト【中学生のお子さん向け】
ADHDの子が片付けられるようになる6つの方法
ADHDの子どもが片付けをうまくできるようになるには、彼らの特性に合った具体的な方法を取り入れることが大切です。
ここでは、日常生活で取り入れやすい6つの方法について、詳しく解説します。
1. なるべく物を減らす
ADHDの子どもにとって、周囲に物が多いと視覚的にも心理的にも大きな負担となります。
物がたくさんあると、どこから手をつけるべきなのかわからなくなることがあり、圧倒されてしまうこともよくあります。
まずは、家の中や部屋にある物を見直し、本当に必要な物だけを残すようにしましょう。例えば、季節外れの服や使っていないおもちゃを整理し、見える範囲にある物を減らすことで、片付けの負担を軽くできます。
物が少なくなると、片付けの作業がシンプルになり、子どもも取り組みやすくなります。
2. 片付ける場所を視覚的にわかりやすくする
ADHDの子どもは、物の配置や収納場所を視覚的に理解することが難しい場合があります。
そのため、片付ける場所を明確にして、視覚的にわかりやすくすると効果的です。例えば、棚や引き出しにシールを貼ったり、物の名前を書いたラベルを貼りつけることで、どこに何を片付けるべきかが一目でわかるようにできます。
また、色や形で分類する方法も有効です。例えば、青色の箱はおもちゃ、赤色の箱は本といった具合に、色でカテゴリー分けをすると、子どもが片付けをよりスムーズに行えるようになります。
3. スモールステップで片付けの目標を決める
片付け全体を一気にやるのは、ADHDの子どもにとって大きな負担となり、途中でやる気を失ってしまうことが多いです。
そこで、片付けを「スモールステップ」に分けて行うことが大切です。例えば、「今日は机の上だけを片付ける」といった小さな目標を設定し、達成感を感じられるようにしましょう。
小さな成功体験を積み重ねることで、片付けに対する抵抗感が減り、少しずつ片付けに取り組む習慣が身についていきます。
4. 片付けのルールを家庭内で作る
片付けに関する明確なルールを家庭内で設定することも効果的です。
例えば、「遊んだら、必ず片付ける」「寝る前に一度部屋を整える」といったシンプルなルールを作り、毎日の習慣にすることで、片付けが自然と生活の一部となります。
ルールは家族全員で共有し、保護者も一緒に実行することで、子どもにとって片付けが一方的な負担に感じられないようにします。また、ルールを継続して守れた時は褒めてあげ、達成感を家族で共有することが大切です。
5. 片付ける場所や方法をシンプルにする
ADHDの子どもは、片付ける手順や方法が複雑すぎると、混乱してしまうことがあります。
片付けの場所や方法をできるだけシンプル化し、子どもが簡単に取り掛かれるようにすることが重要です。
例えば、細かく分けすぎた収納場所ではなく、大きめのかごや箱を使ってざっくりと分類する方法が有効です。「おもちゃ」「文具」「衣類」といった大まかなカテゴリーで整理し、収納場所も一目でわかるようにしておくと、子どもが自然と片付けしやすくなります。
6. ご褒美システムを取り入れる
ADHDの子どもにとって、モチベーションを保つことが大きな課題になることがあります。
そこで、片付けができた際には、達成感を感じられるような「ご褒美システム」を取り入れると効果的です。
ご褒美は、おもちゃやお菓子のような物のご褒美だけでなく、「好きなテレビ番組を観る」「ゲームを30分間やる」といった時間のご褒美でも構いません。ご褒美を設けることで、子どもは「片付けをやれば楽しみが待っている!」と感じ、片付けに対して前向きに取り組むようになります。
片付けが苦手な子に保護者がしてはいけない6つのこと
片付けが苦手な子どもには、保護者の対応が非常に重要です。
正しいアプローチを取ることで、子どもが前向きに片付けに取り組めるようになりますが、逆に誤った対応をすると、子どもが片付けに対してよりネガティブな感情を持ってしまうことがあります。
ここでは、保護者が避けるべき6つの行動について詳しく解説します。
1. 感情的に怒る
片付けができないことに対して、親が感情的に怒ってしまうと、子どもは自分の失敗に対する不安や恐怖を強く感じてしまい、片付けに対するネガティブなイメージが強まる場合があります。
特にADHDの特性を持つ子どもにとって、失敗や叱責は自己肯定感の低下に繋がりやすいため、怒りを抑え、冷静に対応することが大切です。
片付けができた時は褒めてあげ、小さな進歩に目を向けてサポートしましょう。
2. ただ「自分でやりなさい」と任せてしまう
片付けの手順や方法を子ども自身に「自分で考えなさい!」などと丸投げするのは、特にADHDの子どもにとって難易度が高すぎます。
「何をどの順番で片付ければ良いのか?」「どこに物をしまえば良いのか?」を理解するのが難しいため、ただ「自分でやりなさい」と言うだけでは、逆に混乱してしまい、上手くできません。
片付け方を具体的に一緒に考えたり、手順を段階的に教えてあげることで、子どもが少しずつ片付けに慣れていくようにサポートしましょう。
3. 子どもの代わりに親が片付けをしてしまう
子どもが片付けができないからといって、親が代わりに全て片付けてしまうと、子どもは「誰かがやってくれる」と思ってしまい、自分で片付ける力を身につける機会を失ってしまいます。
また、片付けを自分の責任として捉えなくなる可能性があり、習慣としての片付けが身に付かなくなってしまいます。
最初は親と一緒に片付けをする形でサポートし、少しずつ自立して片付けられるように促していくことが大切です。
4. 片付けの手順を一度に全部指示する
ADHDの特性を持つ子どもは、一度に複数の指示を理解して実行するのが苦手です。
「これをやって、次にこれも片付けて、その後でここを整理して」というように、片付けの手順を一度に全部指示すると、混乱してしまうことがあります。
作業を1つずつ具体的に指示し、1つのことができたら次のステップに進む、といった具合に段階的にサポートすることが効果的です。
小さな達成感を積み重ねることで、片付けに少しずつ自信を持てるようになります。
5. 完璧を求めすぎる、何度もやり直させる
片付けが苦手な子どもに対して、完璧を求めすぎると、片付けに対するハードルを高く感じ、やる気を失ってしまうことがあります。
片付けができても、何度もやり直しを要求されると、「いくらやっても終わらない。。」という気持ちになり、ストレスが増加してしまいます。
片付けが完璧でなくても、できた部分を褒め、少しずつ改善していくように励ます姿勢が大切です。
6. 親が片付けないところを子どもに見せてしまう
子どもは親の行動をよく見ており、親が片付けをしていない姿を見せてしまうと、「片付けなくても良いんだ」と感じてしまいます。
特に、子どもが片付けを苦手としている場合、親が片付けの模範を見せることは非常に重要です。親自身が片付けを積極的に行う姿勢を見せることで、子どもも自然と片付ける習慣を学びやすくなります。家族全員で片付けの習慣を共有しましょう。
まとめ
片付けが苦手な子どもに対して、保護者がどのようにサポートするかは、子どもの片付け習慣を育てる上で非常に重要です。親自身が片付けの良いお手本となることで、子どもが片付けに対して前向きな姿勢を持ち、将来的に自立して整理整頓ができるようになります。
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