WISC-4検査の知覚推理(PRI)とは?|スコアが低い子の特徴とサポート法
公開日:2024年11月18日
このコラムでは、WISC-4検査における「知覚推理指標(PRI)」について詳しく解説します。
また、知覚推理のスコアが低い子どもが学校や日常で直面しやすい困りごとや、知覚推理のスコアが低い子どもへの効果的なサポート方法についてもご紹介します。
知覚推理(PRI)について
WISC-4検査の中で、「知覚推理(PRI)」とは、子どもの知的能力を評価する重要な項目の一つです。この項目では知覚推理について詳しく解説します。
知覚推理(PRI)とは何か?
知覚推理(PRI)とは、目で見た情報を理解し、それを使って問題を解決する力を測るものです。
例えば、目で見てパターンを見つけたり、物の位置や形を考えたりする力が含まれます。これには、視覚情報から分析する力や論理的に考える力も関係しています。
WISC-4検査では、ブロックを使ったデザインづくり、絵を使った分類、行列のパターンを見つけるといった課題を通じて、子どもが物事をどう理解し、考えるかを評価します。
この能力は、特に数学や理科のような理系教科の学習や漢字やアルファベットなどの文字を書く能力にも大きく関わっています。
知覚推理と子どもの発達の関連
知覚推理能力とは、物事を見て理解したり、頭の中で考える力のことです。この力は、普段の生活でもいろいろな場面で必要になります。例えば、パズルを解いたり、図形の問題を考えたり、物の位置や形を頭の中でイメージするときに、この力が使われます。
小さい頃からこの力を鍛えると、物事を柔軟に考えたり、困ったときに解決策を見つける時などに役立ちます。
また、知覚推理能力がしっかり育つと、学校の授業で図や表を早く理解するのが得意になり、数学や理科などの課題に自信をもって取り組めたり、やる気が出やすくなります。
知覚推理が低い子の特徴
知覚推理が低い子どもには、いくつか共通した特徴が見られます。
例えば、図形のパズルやブロックを使った課題に取り組むとき、他の子どもよりも時間がかかったり、正確に真似することが難しい場合があります。
また、図や絵などの目で見て理解する情報を使う場面で戸惑うことが多く、その情報から必要なことを引き出すのが苦手です。そのため、数学や理科のように、図やグラフなど視覚的な要素が多い教科で困ることも少なくありません。
こうした子どもには、視覚的な情報を他の感覚と組み合わせて理解する方法や、段階を踏んで課題を解決するためのサポートが役立つことがあります。
知覚推理が低い子の学校生活でよくある困りごと
知覚推理が低い子どもは、目で見た情報を使って考える課題や活動で、他の子どもよりも苦労することがよくあります。こうした困難は特定の教科で特に目立ち、学ぶ意欲や自信に影響を与えることもあります。
この項目では、知覚推理が低い子どもが学校生活で困難を感じる具体例について紹介します。
1. 算数(数学)の図形問題で理解に時間がかかる
算数(数学)の図形問題では、形を頭の中でイメージしたり動かしたりする力が必要ですが、知覚推理が低い子どもは、図形の構造や空間的なつながりを理解するのに時間がかかることがよくあります。
例えば、図形を回転させたり、左右対称かどうかを考えるのが難しく、解き方がわからなくなったり、苦手意識を持ってしまうこともあります。
2. 理科の実験をまとめた図やグラフを読み取ることが苦手
理科の授業では、実験の結果をまとめた図やグラフから情報を読み取る力が求められます。
しかし、知覚推理が低い子どもは、こうした視覚的なデータをうまく理解するのが難しく、どの情報が大事かを判断するのに時間がかかることがあります。
そのため、実験結果を分析したり、自分なりに考えたりすることが苦手になりやすいです。
3. 図工や美術の授業で形や構図を考えることが苦手
図工や美術の授業では、形や構図を頭の中でイメージして作品を作る力が求められますが、知覚推理が低い子どもは、こうしたイメージを具体的な形にするのが難しいことがあります。例えば、立体的な作品を作ったり、デザインの構成を考えたりする場面で、イメージが思い浮かびにくかったり、考えた形をうまく表現できないと感じることがあります。
4. 地理の授業で地図から情報を読み取ることが苦手
地理の授業では、地図を使って場所の関係や地域の情報を理解することがよくあります。
しかし、知覚推理が低い子どもは、地図の情報をすばやく理解したり、それぞれの場所を結びつけて考えるのが難しいことがあります。
例えば、特定の場所を見つけたり、距離や方向を正しく考えようとすると混乱しやすく、その結果、地理の学習が負担に感じられることもあります。
知覚推理が低い子の日常生活でよくある困りごと
知覚推理が低い子どもは、学校生活だけでなく、普段の生活でも目で見た情報をうまく処理するのに苦労することがあります。このような困難は、家庭での活動や外出時の行動にも影響を与え、自立した生活を送るのが難しくなる場合もあります。
この項目では、知覚推理が低い子どもが日常生活でよくある具体的な困りごとを紹介します。
1. 部屋の片付けや整理整頓に時間がかかる
知覚推理の低い子どもは、視覚的な情報を整理するのが苦手なため、部屋の片付けや整理整頓に時間がかかることがよくあります。
どの物をどこに置けばよいか判断するのが難しかったり、物の配置を考えながら片付けるのに手間取ったりします。
また、散らかった状態を見て、何から始めればいいのか分からず、片付けを後回しにしてしまうこともあります。
2. 探しものを見つけるのが苦手
知覚推理の低い子どもは、視覚的な手がかりをうまく使えないため、物を探すのが苦手です。例えば、必要な物を見つけるのに時間がかかったり、目の前にあるのに気づかないことがあります。その結果、家の中で物を見失うことがよくあり、探しても見つけられずに困ってしまうことがあります。
3. 新しい場所や道順を覚えることが難しく、迷いやすい
知覚推理の低い子どもは、新しい場所に行ったり、初めて通る道を覚えるのが苦手です。
視覚的な空間情報を頭の中で整理して記憶するのが難しいため、方向感覚をつかみにくく、道に迷いやすいことがあります。
また、地図を見ながら目的地に行くのが難しかったり、慣れない場所で道順を思い出せず不安になることがよくあります。
4. 計画を立てることが苦手で、やらないといけないことを後回しにしてしまう
知覚推理が低いと、目の前の課題を頭の中でイメージしながら計画することが難しく、やるべきことを後回しにしがちです。
例えば、宿題をどの順番で進めるか決めたり、外出前に必要な物を準備したりする際に、効率的な計画を立てられないことがあります。その結果、忘れ物をしたり、行動がバラバラになってしまうことも多くなります。
知覚推理が低い子への効果的な4つのサポート方法
知覚推理が低い子どもは、さまざまな場面で苦労することがありますが、適切なサポートをすることで成長を助け、自信を持たせることができます。
ここでは、知覚推理が低い子どもに効果的な4つのサポート方法を詳しく説明します。
1. 視覚情報よりも、聴覚情報を優先する
知覚推理が低い子どもは、視覚的な情報を処理するのに時間がかかったり、混乱しやすいことがあります。
そのため、視覚情報だけでなく、聴覚情報を使うサポートが効果的です。
例えば、授業中に図やグラフが出たときに、教師や保護者が口頭で説明を加えることで、子どもは視覚情報にあまり頼らず、音を通じて理解を深めることができます。
また、家庭でも、手順を口で説明したり、子どもが理解しやすい音声ガイドを使ったりすることで、視覚的な負担を減らせます。
聴覚情報を優先することで、知覚推理の低い子どもはスムーズに情報を取り入れられるようになり、ストレスも減るでしょう。
2. シンプルな図で説明する
知覚推理の低い子どもに、視覚的な教材や資料を用いて説明しないといけないときは、できるだけシンプルでわかりやすい図を使うことが大切です。
複雑な図や色が多すぎると、知覚推理が低い子どもは情報を整理できず、混乱してしまうことがあります。
例えば、図形の問題や理科のグラフを使うときは、必要最低限の情報に絞り、見やすく整理されたものを使うと良いでしょう。また、重要なポイントを強調して示すことで、子どもがどこに注目すればいいかをはっきり理解できるようになります。
シンプルな図を使うことは、情報を処理する能力を高め、課題に取り組むのをスムーズにする助けになるでしょう。
3. 立体パズルなどのツールを取り入れる
知覚推理能力を自然に鍛えるためには、遊び感覚で取り組める道具や活動を使うのも効果的です。
例えば、立体パズルや積み木、ブロックなど、手を使って考える遊びを通じて、空間を理解する力や視覚的な推理力を楽しく鍛えることができます。
これらの道具は、視覚情報を整理して理解する力を育て、日常生活や学習にも役立つスキルを身につける助けになります。
ゲーム感覚で行うことで、楽しみながら視覚推理能力を向上させることができ、子どもも積極的に取り組めるようになります。
4. 自己肯定感が下がらないようにする
知覚推理が低い子どもは、学校生活や日常生活で他の子どもよりも苦労することが多く、その結果、自己肯定感が下がりやすい傾向があります。
だからこそ、保護者や教師がその子の得意なところや頑張っている部分をしっかり認めて褒めることが大切です。
例えば、知覚推理が苦手な子どもでも、他の面では優れた能力を持っていることがよくあります。こうした強みを見つけて伸ばすサポートをすることで、子どもは自信を持てるようになります。また、失敗しても責めずに励ましの言葉をかけることで、自己肯定感を保ちながら新しい挑戦にも前向きに取り組むことができるでしょう。
まとめ
知覚推理が低いお子さんは、視覚的な情報を使って考えるのが苦手なことがよくあります。そのため、図形の問題や地図を使った学習など、視覚情報を必要とする課題に取り組むのが難しいことが多いです。周囲の人からは「もっとできるはず」と思われてしまうこともありますが、実際には彼らなりのペースで取り組む必要があります。
こうした子どもへの支援では、その特性を正しく理解し、無理のない環境を整えることが大切です。保護者や教師が協力してサポートすることで、子どもが持っている他の強みを伸ばしながら、学習面での負担を減らすことができます。
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