自閉症スペクトラムの母親の特徴|子どもに遺伝する可能性についても解説

公開日:2025年3月10日

このコラムでは、自閉症スペクトラムの母親の特徴について詳しく解説します。さらに、その傾向が子どもに遺伝する可能性や、母親への具体的なサポート方法についてもご紹介します。
自閉症スペクトラムに関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお役立てください。

自閉症スペクトラムとは?

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、発達障害の一つで、社会的なコミュニケーションや相互作用が難しく、反復的な行動や限定された興味を持つことが特徴です。
この障害は「スペクトラム(=境界線・範囲が明確ではない状態が連続しているさま)」という名前の通り、症状の現れ方やその程度が人それぞれ異なるため、幅広い特性を持つものとして捉えられています。

1. 自閉症スペクトラムの診断基準

自閉症スペクトラムの診断は、専門的な評価によって行われます。その際、社会的なコミュニケーションの困難特定の行動パターンが見られるかどうかが重要な指標となります。
例えば、他者との関係を築く際に難しさを感じることや、言葉以外のコミュニケーション(表情やジェスチャー)において理解が難しいと感じることが特徴的です。また、特定の行動を繰り返したり、非常に狭い範囲で強い興味を持つ場合も特徴の一つです。
これらの特性は通常、幼いころから現れ、成長とともに目立つようになることがあります。

2. 自閉症スペクトラムの一般的な特性

自閉症スペクトラムの人には、いくつかの共通する特徴が見られることがあります。
例えば、社会的なつながりを築くのが難しくても、特定の人間関係を深く大切にする傾向があります。
また、音や光、味覚などに対して敏感に反応したり、逆に鈍感であることもあります。さらに、日々の生活で一定のルーティーンを守ることに安心感を覚える人が多いのも特徴です。
このほか、興味を持った分野においては非常に集中力が高く、専門的な知識や技術を習得する能力を持つ場合もあります。

3. 自閉症スペクトラムを発症する原因

自閉症スペクトラムの原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関連していると考えられています。
遺伝的な影響はその一つであり、家族に同じ特性を持つ人がいる場合、発症のリスクが高まることが知られています。また、妊娠中の母体の健康状態や、出産時の環境的な要因も関連する可能性があります。さらに、脳の発達神経回路の構造に違いがあることが、特性として現れる要因として指摘されています。
このように、自閉症スペクトラムの発症する理由は遺伝と環境が複雑に絡み合っていると考えられています。

参照:信州大学医学部「自閉症について」

自閉症スペクトラムの母親の特徴

自閉症スペクトラムの母親は、その特性によって特有の困難やストレスを感じることがあります。
以下では、具体的な特徴について説明します。

1. 学校の保護者会やPTAのようなコミュニティが苦手

自閉症スペクトラムの母親は、他者との交流が苦手な場合があります。
そのため、保護者会やPTAのようなコミュニティに参加することにプレッシャーを感じたり、形式的な会話が苦痛に感じることがあります。
結果的に、必要以上に関わりを持とうとせず、保護者内で孤立してしまうことも少なくありません。

2. 子どもの友人が家に遊びに来ることにストレスを感じる

自閉症スペクトラムの母親は、子どもの友人が家に遊びに来る際に、環境の変化予期しない出来事が起こることにストレスを感じる場合があります。
自宅は自分にとって安心できる空間であり、そこに「予測できない存在」が加わることで不安感が高まることがあります。
このため、子どもが友人を招くこと自体に強い拒否反応を示してしまうこともあるでしょう。

3. 子どもが毎日のルーティンを守らないことに強いストレスを感じる

自閉症スペクトラムの母親は、毎日のルーティンや予定を守ることに安心感を抱く傾向があり、子どもがそのルールを破ったり、スケジュールに従わないことに対して大きなストレスを感じることがあります。
例えば、朝の支度が遅れることや、食事の時間がずれるだけでも強い不安感が生じ、子どもに対して過度に怒ってしまうことがあります。

4. 子どもに自分のこだわりを押しつけてしまう

自閉症スペクトラムの母親自身が強いこだわりを持つ場合、そのこだわりを子どもにも押しつけてしまうことがあります。
例えば、夏の暑い日に短パンや半袖を着たがる子どもに対して、「クーラーで寒いかもしれない」という自分の感覚から無理に長袖を着させようとすることがあります。このような行動は、母親自身の不安感や強いこだわりに起因しています。

自閉症スペクトラムが子どもに遺伝する可能性

自閉症スペクトラム(ASD)の発症には、遺伝的要因と環境的要因が複雑に関与していると考えられています。しかし、親から子どもへどの程度遺伝するのかについては、現時点では完全に解明されていません。
ここでは、自閉症スペクトラムと遺伝の関係について、現在の研究で分かっていることを解説します。

1. 親から子に遺伝する確率

自閉症スペクトラムは、遺伝的な影響が大きいとされる発達障害の一つですが、具体的にどの程度の確率で親から子へ遺伝するのかは、まだ明確に示されていません。
いくつかの研究では、自閉症スペクトラムを持つ親の子どもが、同じ特性を持つ可能性が高いことが示唆されていますが、それが必ずしも遺伝だけによるものとは限りません。遺伝子の複数の組み合わせや環境的な要因が複雑に絡み合って、子どもに特性が現れると考えられています。
このため、「遺伝する可能性がある」といった見解に留まっています。

2. 兄弟に自閉症スペクトラムの特性がある場合

自閉症スペクトラムの特性を持つ兄弟がいる場合、他の兄弟も同じ特性を持つ可能性が高まることが知られています。
一部の研究によれば、兄弟間での発症リスクは一般の子どもに比べて高いとされており、家族内で共有される遺伝的な要因が強く影響している可能性を示しています。
しかし、兄弟がみな同じ特性を持つわけではなく、発症の仕方や程度には個人差があります。

3. 遺伝以外の外的要因

自閉症スペクトラムの発症には、遺伝的な影響だけでなく、環境的な要因も影響していると言われています。特に注目されているのが以下の2つの要因です。

父親の年齢による影響

研究によると、父親の年齢が高い場合、子どもが自閉症スペクトラムを発症するリスクが高まることが示されています。
これは、年齢が高い父親の精子において遺伝子変異が起こる可能性が高くなることが原因の一つと考えられています。この傾向は母親の年齢ではなく、特に父親の年齢との関連が強いとされています。

参照:東北大学「父親の加齢が子どもの発達障害の発症に影響する」

妊娠中の影響

妊娠中の環境も、子どもの自閉症スペクトラムの発症に影響を与えることがあります。
例えば、妊娠中にてんかんを抑えるための薬を服用していた場合、子どもが自閉症スペクトラムを持つ可能性が高まるという研究結果があります。
また、妊娠中の感染症や栄養不足、ストレスなども発症リスクに関連する可能性があるとされています。

参照:国立成育医療研究センター研究所「自閉症の環境要因」

自閉症スペクトラムの母親が育児をする際の4つのポイント

自閉症スペクトラムの特性を持つ母親が育児を行う際には、特性から生じる困難や不安を軽減しながら、子どもとの良好な関係を築いていくことが重要です。
以下に、育児をよりスムーズに進めるための4つのポイントを紹介します。

1. 家族の理解を得て、サポートしてもらう

育児を一人で抱え込むのではなく、家族に自分の特性を理解してもらい、適切にサポートしてもらうことが大切です。
例えば、母親が苦手な保護者会の参加や、子どもとの遊びのサポートなどを自分以外の家族にお願いすることで、母親自身の負担を軽減することができます。

2. 何でも相談できる相手を見つける

育児に関する悩みや不安を、気軽に相談できる相手を持つことは大きな支えになります。家族や親しい友人だけでなく、専門家やカウンセラーに相談することも有効です。
母親自身が安心して悩みを話せる場を確保することで、感情の整理ができ、育児に向き合うエネルギーを取り戻す助けになります。

3. 同じ悩みを持つ母親との情報交換を頻繁に行う

同じ自閉症スペクトラムの特性を持つ母親や、同じような育児の悩みを持つ人々との交流は、非常に有益です。
同じ経験を共有することで孤独感が軽減されるだけでなく、他の母親から実践的なアドバイスやヒントを得ることもできます。
現実世界での交流を億劫に感じる場合は、SNSなどのオンラインコミュニティに参加することで、気軽に情報交換を行う機会を作ることができるでしょう。

4. 子どもに過度な期待をしすぎない

子どもに対して高すぎる期待を抱くと、母親自身がストレスを感じるだけでなく、子どもにプレッシャーを与えてしまうことがあります。
自閉症スペクトラムの特性として、物事を「こうあるべき」と考えがちになる場合もありますが、子どもの成長は一人ひとり異なることを理解し、柔軟に受け入れることが大切です。
完璧を求めるのではなく、子どものペースに寄り添い、小さな成長を一緒に喜ぶ姿勢を持つことで、母親自身も心に余裕を持つことができます。

まとめ

自閉症スペクトラムの特性を持つ母親が育児を行う際には、その特性がもたらす困難や不安を理解し、それを克服するための工夫が重要です。自分の特性を理解してくれる家族と連携しながら育児に取り組むことで、母親としても前向きに成長していくことができます。
自閉症スペクトラムの特性は、困難だけでなく、深い愛情や独特の視点など、育児においてもポジティブな面を発揮することがあります。自分らしい育児を目指しながら、子どもと一緒に成長していく過程を大切にしていきましょう。

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この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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