片付けられない発達障害・病気のセルフチェックリスト

公開日:2025年4月21日

このコラムでは、片付けが苦手な子どもに見られる発達障害や病気の可能性について詳しく解説します。
さらに、簡単に確認できるセルフチェックリストや具体的なサポート方法についてもご紹介します。お子さんの片付けに悩む保護者の方は、ぜひご一読ください。

片付けられない子どもに疑われる発達障害・病気とは?

子どもが片付けを苦手とするのは珍しいことではありません。しかし、極端に片付けができない、何度言っても改善しない場合、単なる性格の問題ではなく、発達障害や心理的な要因が関係している可能性があります。
ここでは、片付けが苦手な子どもに見られる代表的な発達障害や病気について解説します。それぞれの特徴を知ることで、子どもに合ったサポート方法を考える手助けになるでしょう。

1. 注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDの子どもは、不注意衝動性が強いため、片付けを計画的に進めることが苦手です。
片付けを始めても、すぐに他のことに気を取られてしまいがちで、最後まで終わらないことがよくあります。また、どこに何を片付ければよいのかを判断するのが難しく、物の定位置を決めることができないため、片付けてもすぐに散らかってしまいます。
加えて、忘れっぽさも影響し、どこに物を置いたか分からなくなることが多く、部屋が常に散らかった状態になりがちです。

保護者が何度言っても片付けをしないこともありますが、それは単なる怠けではなく、片付けの手順を頭の中で整理できなかったり、途中で集中力が切れてしまったりするためです。
こうした特徴は、本人の努力だけで改善するのが難しいため、環境の工夫や適切なサポートが必要になります。

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「ADHDの子が片付けられない理由とは?|6つの改善策もご紹介!」

2. 自閉スペクトラム症(ASD)

ASDの子どもは、こだわりが強く、特定のルールに沿った片付け方しかできないことがあります。
例えば、自分なりの並べ方や収納方法があり、周囲の人がそのルールを変えようとすると強い拒否反応を示すことがあります。逆に、片付け自体に関心がなく、部屋が散らかっていても気にならないケースもあります。
また、曖昧な指示を理解するのが苦手なため、単に「片付けなさい」と言うだけでは、「何をどう片付ければ良いのか分からない」となります。さらに、感覚過敏がある場合は、埃や布の感触が苦手で片付け作業そのものを避けることもあります。
ASDの子どもは、これらの特性が重なり、片付けの習慣を身につけることが困難な場合があります。

ASD(自閉スペクトラム症)の兆候についてもっと知りたい方はこちら
「ASD(自閉スペクトラム症)の兆候はいつ分かる?|チェックリスト付き」

3. 学習障害(LD)

LDの子どもは、視空間認知の問題やワーキングメモリーの弱さから、片付けが苦手になることがあります。
視空間認知の問題がある場合、物の配置を把握するのが難しく、どのように整理すればよいのか分かりません。
ワーキングメモリが弱いと、片付けの手順を覚えておくことができず、途中で何をしているのか分からなくなってしまいます。また、口頭で「このおもちゃを棚にしまって」と指示されても、指示の内容を一度に理解するのが難しく、混乱してしまうこともあります。

このような場合は、シールなどを使った視覚的なサポートを取り入れたり、片付けの方法を細かく分けて教えたりすることで、少しずつ整理整頓のコツを身につけることができます。

ワーキングメモリーについてもっと知りたい方はこちら
「ワーキングメモリーが低い子の特徴とよくある困りごと」

4. 強迫性障害(OCD)

強迫性障害の子どもは、片付けに対して極端なこだわりを持つことがあります。
物の配置や順番にこだわりすぎるあまり、少しでも思い通りにならないと不安を感じ、片付けが進まなくなることがあります。
また、完璧に整理しようとする意識が強すぎて、片付けを始めること自体が負担になり、逆に手をつけられなくなるケースもあります。例えば、一度片付けを始めると同じ場所を何度もやり直し、納得がいくまで延々と片付け続けてしまうこともあります。
汚れに対する過敏さがある場合は、埃やゴミに触れることを嫌がり、片付けを避けることもあります。

さらに、このような場合、本人が強いストレスを感じていることが多いため、無理に片付けをさせるのではなく、専門家のサポートを受けながら少しずつ対応していくことが大切です。

5. 抑うつ・不安障害

抑うつや不安障害の影響で、片付けができなくなることもあります。
以前は片付けができていたのに、最近になって急にやる気をなくし、部屋が散らかるようになった場合は、精神的な不調が影響している可能性があります。
例えば、片付け以外のことにも無気力で、何をするにも億劫になり、学校や遊びにも興味を示さなくなっている場合や行動が遅くなってしまう場合は、抑うつ症状が疑われます。
また、片付けができないことに対して強い不安や自己嫌悪を感じている場合は、本人の心理的な負担が大きくなっている可能性があります。

このような場合は、まず心のケアを優先し、無理に片付けをさせるのではなく、安心できる環境を整えてあげることが重要です。

片付けられない子どもが発達障害・病気かを見極めるチェックリスト

以下のチェックリストは、片付けが極端に苦手な子どもの行動を観察し、発達障害や病気の可能性を判断するための参考になります。ただし、あくまで目安であり、心配な場合は専門家に相談してください。

【チェックリストの結果の見方】
・該当する項目が少ない場合
単なる性格や習慣の問題の可能性が高い。片付けのルールを明確にし、習慣化を意識すると改善するかもしれません。

・複数の項目に当てはまる場合
発達特性や心理的要因が関係している可能性があります。特に日常生活に支障が出ている場合は、発達相談センターや小児科、心理専門家に相談するのがおすすめです。

1. 注意欠如・多動症(ADHD)の可能性

片付けを始めてもすぐに別のことに気を取られ、最後まで終わらない
どこに何を片付ければいいのか分からない様子がある
物を失くすことが多く、決まった場所に戻せない
親や先生に何度言われても片付けをしようとしない
片付けの手順を考えたり、計画的に進めるのが苦手

2. 自閉スペクトラム症(ASD)の可能性

片付け方に強いこだわりがあり、決められた方法でしか整理できない
物を並べる・配置するルールが独特で、一般的な整理整頓ができない
親が「片付けなさい」と言っても、何をどうすればよいか理解できない
汚れや特定の触感が苦手で、片付けを嫌がることが多い
物が散らかっていても気にならず、環境の変化を嫌がる

3. 学習障害(LD)の可能性

片付けのやり方を何度説明しても覚えられない
物の整理や配置の仕方を理解するのが苦手
片付けの手順を一度に指示されると混乱する
片付けを始めても、どこから手をつけるべきか分からない
部屋が散らかっていても気づかず、そのまま過ごしている

4. 強迫性障害(OCD)の可能性

物の配置や順番に極端にこだわりがあり、思い通りでないと不安になる
片付けを完璧にしようとしすぎて、逆に手をつけられない
汚れや埃を異常に気にして、片付けを避ける
一度片付け始めると、同じ場所を何度もやり直してしまう
片付けに関する強い不安やストレスを抱えている

5. 抑うつ・不安障害の可能性

以前は片付けられていたのに、最近急にやる気を失った
片付け以外のことにも無気力で、学校や遊びにも興味がなくなっている
何をするにも億劫で、行動が遅くなった
片付けができないことで強い不安や自己嫌悪を感じている

片付けられない子どもへの5つのサポート方法

片付けが苦手な子どもに対して、「片付けなさい」と言うだけではなかなか行動につながりません。
しかし、子どもの特性に合わせた工夫を取り入れることで、片付けのハードルを下げ、習慣化しやすくすることができます。ここでは、片付けられない子どもをサポートする5つの方法をご紹介します。

1. 保護者が率先して片付ける

子どもは大人の行動を見て学びます。親が普段から整理整頓を意識し、片付けを楽しそうに行うことで、子どもも自然とその姿勢を真似するようになります。
また、「一緒に片付けよう」と声をかけて、親子で取り組むことも効果的です。子どもにとっては、片付けが面倒な作業ではなく、親と一緒に過ごす楽しい時間として認識されやすくなります。
最初は保護者がリードしながら、片付けの手順や方法を教え、少しずつ子どもが自分でできる範囲を増やしていくことが理想的です。

2. シールを活用し、片付けやすくする

片付ける場所が分かりにくいと、どこに何をしまえばよいのか迷い、片付けが進まないことがあります。
そこで、シールを活用して片付けのルールを分かりやすくする方法がおすすめです。
例えば、片付ける物と収納場所に同じ色やマークのシールを貼ることで、子どもが直感的にどこに何を片付ければ良いのかが分かるようになります。
また、シールを貼る作業自体を子どもと一緒に行うことで、片付けのルールを自然と理解しやすくなるでしょう。

3. 家庭内で定期的に断捨離を行う

物が多すぎると、片付けの難易度が上がり、どこから手をつけて良いのか分からなくなってしまいます。ですから、定期的に家の中の物を見直し、不要なものを処分することで、片付けの負担を軽減していきましょう。
特に、子どもが使わなくなったおもちゃや衣類は、気づかないうちに増えがちなので、一定の期間ごとに処分する習慣をつけると良いでしょう。子どもと一緒に「これ、まだ使う?」と話し合いながら進めることで、物を大切にする意識を育てることもできます。

4. スモールステップで片付けるように促す

「部屋を全部片付けなさい」と言われると、どこから手をつけたら良いのか分からず、やる気をなくしてしまう子どももいます。
ですから、「今日は机の上を片付けよう」「明日はクローゼットを整理しよう」といったように、小さな目標を設定し、一つずつクリアしていく方法が効果的です。短時間で終わる作業を積み重ねることで、片付けに対する達成感を感じやすくなります。また、片付けの手順を紙に書いて貼っておくと、子ども自身が次にやるべきことを把握しやすくなり、自発的に片付けに取り組めるようになります。

5. コレクションケースなどを購入し、綺麗に並べられるようにする

子どもが好きな物をきれいに飾れる収納ケースを用意すると、片付けへのモチベーションが上がることがあります。
例えば、おもちゃやフィギュア、ぬいぐるみなどを並べられるコレクションケースを用意することで、ただ片付けるだけでなく、「どうすれば素敵に見えるか」を考える楽しさも加わります。また、自分の大切なものをきれいに保つ習慣が身につくことで、整理整頓への意識が高まりやすくなります。
収納の仕組みを工夫することで、片付けが苦手な子どもでも無理なく整理整頓を続けることができるようになります。

まとめ

片付けが極端に苦手な場合、その背景には発達障害や精神的な問題が関係していることがあります。しかし、片付けられないこと自体が問題なのではなく、「なぜ片付けができないのか?」を理解し、適切な対応をすることが大切です。
片付けは、単なる生活習慣の一部ではなく、子どもにとって自己管理や達成感を育む大切な学びの機会にもなります。無理に片付けを強要するのではなく、一人ひとりの特性に合わせた方法を取り入れることで、子どもが無理なく整理整頓を身につけられるようサポートしていきましょう。

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