通信制高校の学費無償化|制度解説

公開日:2024年6月12日

このコラムでは通信制高校の学費無償化制度について詳しく解説します。また、就学支援金についての申請手続きの仕方や、受給の基準やお金の流れなどについても詳しくご紹介します。
通信制高校での学費問題に悩んでいる方には必見の内容です。

通信制高校とは?

通信制高校の概要

通信制高校とは、生徒が自宅で学習を行う新しい高校教育の形です。
通信制高校は完全に登校不要というわけではなく、通信制高校では「スクーリング」と呼ばれる登校日が設けられています。通信制高校に所属する生徒は自分で登校頻度を選択することも可能です。
スクーリングの日以外は、自宅で「レポート」と呼ばれる課題を進め、定期的に「レポート」を提出する必要があります。つまり「レポートを提出することで授業の代わりになる」という点が、全日制高校との最大の違いです。
また、卒業時に得られる高校卒業の資格は、全日制高校を卒業した際に得られるものと差がありません。そのため、通信制高校から大学や専門学校への進学を目指すことも可能です。

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通信制高校の学費について

通信制高校も全日制高校と同様に「公立」と「私立」にわかれます。
公立の通信制高校の方が学費は安く、私立の通信制高校は学費が高くなる傾向があり、また、スクーリングの頻度やコース選択によっても学費は変わります。
一般的にはスクーリングの頻度が多いほど施設費などの費用がかかります。
また、通信制高校は「単位制」を採用している学校がほとんどで、学校によっては「1単位=○○円」といったような形で学費が設定されています。

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通信制高校の学費無償化制度とは?

学費無償化制度の概要

学費無償化制度とは、いわゆる、「高等学校等就学支援金制度」のことを指します。これは2014年に始まった制度で、国が高校の学費の一部を負担する制度です。
この制度は全日制高校だけではなく通信制高校定時制高校にも適用されます。
この制度は、通っている学校の種類(公立なのか私立なのか)に応じて支援金の額に違いがあるのですが、どちらの高校に通っていたとしても経済的な負担を軽減できるというメリットがあります。
ただし、高校生活を送るには、授業料以外にも施設利用費や教科書代などがかかりますが、これは就学支援金の対象外となります。

高等学校等就学支援金の申請について

高等学校等就学支援金への申請は、4月の入学後に学校経由で行うことになります。そのため、入学にかかるお金(例えば入学金や授業料など)は、入学前に支払う必要があります。
つまり、お金はあとから手元に返ってきますが、一時的に家庭で負担しなければならないことを忘れないようにしましょう。また、申請しても審査期間などが必要となるため、学校から家庭へ返金されるのは夏以降になることが多いようです。

高等学校等就学支援金のお金の流れについて

高等学校等就学支援金のお金の流れについては、下記のようになります。

  1. 家庭から学校へ申請書と保護者の課税証明書を提出する。
  2. 家庭から受け取った申請書と保護者の課税証明書を、学校が都道府県に提出する。
  3. 都道府県が申請書と課税証明書を受け取り、国に申請する。
  4. 国は、都道府県に対して就学支援金の費用を交付する。
  5. 都道府県は、受け取った費用を基に学校に対して就学支援金を支給する。
  6. 都道府県からの支給を受け、学校が家庭に就学支援金を支給する。

このプロセスにより、各家庭は就学支援金を受け取り、授業料に充てることができます。また、就学金は学生が所属する学校に直接支払われるため、授業料以外の別の目的に使用することはできないようになっています。

高等学校等就学支援金を受けるための4つの基準

1. 日本国内に住所があり、現在高校に通っていること

平成26年度以降に高校等に入学する生徒が、現行制度における就学支援金の支給対象者になります。つまり、それ以前に高校に通っており既に卒業している方は対象になりません。
また、現住所が日本国内で、国内の高校に通学していないといけません。

2. 世帯年収が910万円以下であること

保護者の収入が多い場合には就学支援金が支給されない規定があります。
具体的な所得要件の判定には、

「課税標準額(課税所得額)×6% - 市町村民税の調整控除の額」

という計算式が使われます。この計算式で304,200円以上になる場合、年収目安が910万円以上になるため支給対象外となります。

3. 通信制高校の在籍年数が4年以内であること

就学支援金の受給期間には上限があります。
通信制高校の場合、最大48か月間、支給されます。つまり、通信制高校に4年以上在籍している場合は支給対象外となるため、注意が必要です。
また、通信制高校を休学する場合は、支援金一時停止の申請を行いましょう。一時停止をせず、そのままにしてしまうと休学期間も在籍年数に数えられてしまいます。

4. 74単位の履修まで

就学支援金は「履修単位数」に基づいて支給されます。あくまで「履修単位数」であり、「修得単位数」ではないので注意が必要です。
例えば、卒業までに90単位を履修し、最終的に74単位を修得して卒業に至った場合、74単位分は就学支援金の対象となります。しかし、74単位を超えた残りの16単位は就学支援金の対象外となります。
つまり、「不合格だった単位に関しては就学支援金が使えない」ということになります。
以上の基準を満たすことで、通信制高校の生徒には、国から年間30単位まで、通算74単位までの授業料が支援されます。

参照:文部科学省「高校生等への修学支援」

高等学校等就学支援金の支給額について

公立の通信制高校の場合は1単位あたり336円が支給されます。
公立の通信制高校の授業料は、多くの都道府県で1単位336円以下に設定されています。そのため、就学支援金制度を利用することで、授業料が無償化されます。

一方、私立の通信制高校の場合は、世帯収入によって支給される金額が異なります。具体的には以下の通りです。

  • 世帯年収が590万円以上~910万円未満の場合:1単位あたり4,812円
  • 世帯年収が590万円未満の場合:1単位あたり12,030円

多くの私立の通信制高校では、1単位あたりの授業料が12,000円以下になるため、世帯年収が590万円未満の場合は授業料が実質的に無償化されます。
また、世帯年収が590万円以上〜910万円未満の場合でも、支給額と授業料の差額のみの負担となります。ですから、いずれの場合でも家庭の経済的な負担が軽減されることには変わりません。

参照:文部科学省「支給期間・支給限度額一覧」

受給に必要な手続きについて

就学支援金制度を利用するためには、入学時に必要な書類を学校等に提出する必要があります。ただし、所得基準の判断方法や提出期限については各学校や都道府県によって異なるため、まずは学校の担当者に確認するようにしましょう。

まとめ

今回のコラムでは、「通信制高校の学費無償化」について、その概要や仕組みを解説しました。学費無償化制度は、家庭の経済的な負担を軽減し、全ての子どもたちに平等な教育の機会を提供する素晴らしい制度です。
今回のコラムが高校の学費に悩む家庭に、より良い未来を築いていくヒントになれば幸いです。

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