子どもがゲーム・ネット依存になってしまう要因と解決策とは?

公開日:2024年7月12日

近年、ゲーム・ネット依存になる子どもが増えています。
このコラムでは、ゲーム・ネット依存が子どもに与える弊害、依存になる要因、依存を防ぐ解決策について詳しく解説します。ゲーム・ネット依存でお困りの保護者の方には必読の内容です。

ゲーム・ネット依存とは?

現代のデジタル社会において、子どもたちがゲームやインターネットに過度に依存する現象が急激に増えており、社会問題となっています。
2019年5月に世界保健機関(WHO)が発表した国際疾病分類第11版(ICD-11)では、インターネットやゲームに没頭して、生活や健康に支障を来たす状態を「Gaming disorder(ゲーム行動症)」として新たな精神衛生疾患と認定しました。一般的にはこれを「ゲーム・ネット依存」と言われています。
子どもがゲーム・ネット依存になってしまうと、学習や日常生活のあらゆる場面で支障をきたしてしまうので注意が必要です。

参照 : 厚生労働省「第二回ゲーム依存症関係者連絡会議資料2」

ゲーム・ネット依存の4つの弊害とは?

ゲーム・ネット依存が進行すると、子どもたちは日常生活で問題行動を起こしやすくなり、身体的・精神的な健康問題にまで影響が及ぶことがあります。また、依存が進むと、自己コントロールが難しくなり、生活のバランスが崩れてしまいます。
ここでは代表的な弊害について4つご紹介します。

1. 日常生活の乱れ

ゲームやインターネットに没頭すると、子どもたちの日常生活が乱れやすくなります。
特に、食事や睡眠が不規則・不摂生になり、昼夜逆転の生活リズムが生じることもあります。適切な食事と十分な睡眠は成長期の子どもにとって重要なので、これらに問題が生じると学業や体調に悪影響を及ぼします。
例えば、夜遅くまでゲームをしていると朝起きるのが遅くなり、朝食を抜くことが増えてしまいます。これが習慣化すると学校での集中力や学習効率が低下するので注意が必要です。

2. 離脱症状

ゲームやインターネットに依存している子どもは、これらの活動をしていないときに落ち着かない、イライラするなどの離脱症状を示すことがあります。
離脱症状になると、常にゲームやネットのことばかりを考えてしまい、他のことに集中できなくなります。例えば、勉強中や家族との会話中でも頭の中はゲームやネットのことでいっぱいになります。
また、離脱症状が現れるとゲームやネットの利用を制限しようとすると強く反抗することがあります。注意されることで感情的になり、親に対して激しく反発するケースも見られます。こうした反応は依存の深刻さを物語っています。

3. 学力の低下

ゲームやインターネットに時間を取られすぎることで、学校の成績が下がり、宿題をやらないなどの弊害が生じることがあります。
さらに、睡眠不足によって授業に集中できなくなったり、授業中に居眠りをしてしまったり、寝坊して学校に遅刻したりするなどの悪影響も見られます。最悪の場合、朝起きられないことで学校を休みがちになり、その結果、不登校に至ることもあります。
保護者は、子どもの生活リズムを見守り、ゲームやネットの利用時間を適切に管理することで、これらの問題を防ぐことが重要です。

4. 対面でのコミュニケーション機会の減少

ゲームやインターネットに依存することで、ネット上での友人ができ、会ったことのない人と交流する機会が増える一方で、現実世界でのコミュニケーションの機会が減少し、対面でのコミュニケーションが苦手になる傾向があります。そうなると、家族との外出や会話を嫌がるようになったり、学校などの身近な友人と遊ばなくなってしまいます。こうした傾向は、将来的に社会に出たときに対人関係で困難を感じる原因になることもあり、最悪の場合、引きこもりにつながることがあるので注意が必要です。

子どもがゲーム・ネット依存になる5つの要因とは?

子どもがゲーム・ネット依存になる要因は複数あり、それぞれの要因が複雑に絡み合うことで依存状態を引き起こします。これらの1つ1つの要因を理解することで、予防や対策を講じるための手がかりを得ることができます。
ここでは5つの代表的な要因について詳しく解説します。

1. ストレス解消

ゲームやインターネットは、現代の子どもたちにとってストレス解消の手段となっています。
学校でのプレッシャーや友人関係の悩みから逃れるために、バーチャルな世界でリラックスし、楽しみを見つけることができるからです。しかし、これが過剰になってしまうと、現実世界とのバランスを失い、ゲーム・ネット依存のリスクが高まります。

例えば、

  • 学校のテスト期間なのに、毎日何時間もゲームをしてしまい現実逃避をしている。
  • 「ゲームをしているときだけがストレスから解放される」と感じている。
  • 友人とオンラインゲームを通じて現実逃避し、学校生活での悩みを忘れようとする。

などが考えられます。

2. 現実世界での不満

子どもたちは、現実世界での人間関係や学校生活・クラブ活動に対する不満や孤独感を抱えることがあります。
友人との関係がうまくいかない、学校の成績が思わしくないなどの理由で、現実逃避としてゲームやネットの世界に没頭することがあります。

例えば、

  • いじめを受けている子どもが、家に帰ってから一日中オンラインゲームをすることで、現実の辛さから逃れようとする。
  • チーム内での不満からクラブ活動をやめてしまい、代わりにネットサーフィンに時間を費やすようになった。

などが考えられます。
これらが長期化すると、対人スキルの低下や社会的な孤立を招く可能性があります。

3. 親の監督不足

親の監督管理が不足していると、子どもが自由にゲームやネットを使いすぎることがあります。
共働きの家庭が増え、親が忙しい生活を送っている現代では、子どもが一人で過ごす時間が長くなりがちです。この結果、ゲームやネットに依存しやすい環境が整ってしまうのです。

例えば、

  • 共働きの家庭の子どもが、一人で家にいる間に何時間もタブレットでゲームをして過ごす。
  • 親は帰宅後も忙しく、子どものゲーム時間を把握していない。
  • 親が夜勤の間、子どもが深夜までインターネットに接続して動画やゲームを楽しんでいる。

などが考えられます。
親は、子どものオンライン活動に対する監督管理をしっかり行い、適切なルールを設けることが重要です。

4. 自己肯定感の獲得

ゲームやネットの世界で自己肯定感を高めようとするあまり依存症になってしまう子どももいます。
オンラインゲームでの成功体験SNSでの「いいね」などが自己肯定感を刺激し、現実では得られない満足感を得ることがありますが、反面、これらが現実世界での自己肯定感の低下を招くこともあり、注意が必要です。

例えば、

  • SNSで投稿した写真が多くの「いいね」を獲得し、それが自己肯定感を高める一方、現実では友達との関係に悩んでいる。
  • オンラインゲームで高得点を獲得し、ネット上の友人から称賛されることに喜びを感じるが、現実の学校生活では目立たない存在となっている。

などが考えられます。
子どもへのバランスの取れた自己肯定感の育成には、現実世界での成功体験も重要になります。

5. デバイスの普及

昨今では、スマートフォンやタブレット、PCなど、簡単にアクセスできるデバイスが低価格で普及していますので、子どもたちはいつでもどこでもインターネットに接続できる環境にあります。
この様な環境は便利である一方で、利用時間の管理が難しくなり、依存症のリスクが高まります。

例えば、

  • 小学生からスマートフォンを持ち始め、学校の休み時間や帰宅後もずっとゲームをしている。
  • 親がデバイスの使用制限を設定していないため、子どもが無制限にアクセスできてしまう。
  • タブレットで夜遅くまで動画を見続け、学校生活に影響が出ているが、親はタブレットの使用時間を管理していない。

などが考えられます。
保護者は、デバイスの使用時間を制限するルールを設定し、健全な利用を促進する必要があります。

子どものゲーム・ネット依存を解決する方法

子どものゲーム・ネット依存を防ぐためには、適切な対策を講じることが重要です。以下に、効果的な解決策について解説し、具体例をご紹介します。

1. 子どもと一緒にルールを決める

子どもがゲームやインターネットを適度に利用するためには、明確なルールを設定することが重要です。
親が一方的にルールを押し付けるのではなく、子どもと一緒に話し合いながらルールを決めることで、子ども自身が納得し、ルールを守りやすくなります。
例えば、以下のようなルールが効果的です。

使用時間を制限する

  • 平日は1日2時間、休日は3時間までとする
  • 試験期間中はゲームやネットの使用を禁止する
  • 食事中はスマホやタブレットを使用しない

など

使用場所を決める

  • スマホやタブレットはリビングなど親の目が届く場所でのみ使用する
  • 自室にゲームやスマートフォンを持ち込まない

など

デジタルフリーの日を作る

  • 毎週日曜日はゲームやインターネットを使わない日とする
  • 週に1回は親子で一緒にデジタルフリーを実施するなど

など

このように、子どもと一緒にルールを決めることで、親子の信頼関係が深まり、子どもが自主的にゲームやインターネットの利用をコントロールできる自己管理能力の育成にもつながるでしょう。

2. ゲーム以外で自信の持てることを探す

子どもがゲームやインターネットに依存する背景には、現実世界での自己肯定感の不足があることが多いです。
ゲーム以外で自信を持てることを見つけることで依存から抜け出す助けになり、また、多様な活動に参加することで新たな興味や特技を発見し、子どもの自信を育むことができます。
例えば以下のような活動が効果的です。

スポーツや芸術活動に参加する

  • サッカーやバスケットボールなどのチームスポーツに参加し、仲間との関わりを通じて自己肯定感を高める。
  • 絵画、音楽、ダンスなどのアート活動に挑戦し、発表の場を作ることで、他人の前で表現する経験を積み、自己肯定感を向上させる。

など

ボランティア活動に参加する

  • 地域のボランティア活動に参加し、社会貢献を体験することで、他者とのつながりや自己価値感を育む。

など

ゲーム以外の趣味の追求する

  • プラモデル作りや料理など、ゲーム以外の趣味を持つことで、集中力や達成感を得る。
  • 料理を家族や友人に振る舞うことで「おいしい!」や「すごい!」などのリアクションをもらい、自己肯定感も高める。

など

このように、ゲーム以外で自信を持てる活動を見つけることは、子どもの心身の健康を促進し、自己肯定感を高めます。これにより、ゲームやネットに頼らずに自己満足を得られるようになります。

3. 専門家の診断を受ける

ゲーム・ネット依存が深刻な場合、専門家の診断を受けることも必要です。
医師やカウンセラーによる専門的なアプローチは、依存の根本的な原因を解明し、適切な治療やサポートを提供します。

心理カウンセリング

専門のカウンセラーによる面談やセラピーを受けることで、子どもが抱えるストレスや不安、ゲーム・ネット依存の背景にある心理的な問題を明らかにします。カウンセラーは、子どもが感情を適切に表現し、自己肯定感を高める手助けをします。定期的なカウンセリングを通じて、子どもは健康的なストレス解消法を学ぶことができます。

医療機関の受診

精神科や児童精神科での診察を受けることで、専門医が子どもの精神状態を評価し、必要に応じて治療を開始します。
薬物療法が必要な場合は、適切な薬の処方が行われます。また、医師は家族に対してもアドバイスを提供し、家庭環境の改善に役立つ情報を提供します。

支援プログラム

依存症専門の支援プログラムやグループセラピーに参加することで、同じ問題を抱える他の子どもたちと交流し、互いに励まし合うことができます。
これにより、孤独感を軽減し、依存からの回復を目指す仲間意識が育まれます。支援プログラムでは、自己管理のスキルや健康的な生活習慣を学ぶ機会が提供されます。

専門家の診断を受けることで、適切なサポートと治療を受けることができ、子どもの依存状態からの回復を助けます。専門家の助けを借りることは、子どもの未来のためにも重要なステップになるでしょう。

まとめ

今回のコラムでは、「ゲーム・ネット依存と子ども」というテーマについて、その影響や対策を解説しました。
ゲームやインターネットの過剰な利用は、子どもたちの日常生活にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。現実世界での不満、自己肯定感の獲得、デバイスの普及など様々な事柄が依存の要因となります。
子どもたちがバランスの取れた生活を送るためには、保護者の適切なサポートとルール設定が欠かせません。今回のコラムが、子どもの健全な成長と健全なオンライン活動をサポートするための一助となれば幸いです。

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この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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