起立性調節障害なのに、なぜ遊びには行けるのか?|理由や症状を詳しく解説

公開日:2025年4月16日

このコラムでは、起立性調節障害の子どもが、「学校には行けないが、遊びには行ける」理由について解説します。
さらに、症状の特徴や、保護者ができるサポート方法、避けるべきNG行動についても詳しく解説します。
お子さんの起立性調節障害にお悩みの方は、是非ご一読ください。

起立性調節障害とは何か?

起立性調節障害(OD)は、立ち上がったり座ったりする際に血圧が急激に低下し、めまい立ちくらみ、さらには失神を引き起こすことが特徴の疾患です。
この障害は、血圧を調節する自律神経の働きがうまくいかないことによって発症します。特に、朝起きた時や長時間座った後に立ち上がると症状が現れやすいことが特徴です。
多くは子どもや若年層に見られ、しばしば学校生活や日常生活に大きな影響を与えることがありますが、適切な治療と生活習慣の改善によって症状の緩和が期待できます。

1. 起立性調節障害の主な症状

起立性調節障害の症状は、体の姿勢を変えたときに血圧が急激に低下することに関連しています。具体的な症状としては、次のようなものがあります。

めまい、立ちくらみ特に立ち上がった瞬間に感じることが多いです。
失神血圧が急激に低下すると、一時的に意識を失うことがあります。
動悸血液循環が不安定になることで、心臓が速く打つことがあります。
疲労感や倦怠感体調が優れないと感じることがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。

これらの症状は、子どもや若年層に多く見られ、特に朝の起床時長時間座った後に発生しやすいです。症状が出た時は安静にすることで改善されることが多いため、無理に動かないことが大切です。

2. 起立性調節障害が起こる原因

起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れることで発生します。
この自律神経は、体温調整や心拍数、血圧など、私たちの体のさまざまな生理的な機能を無意識のうちに調整しています。この中でも特に「交感神経」「副交感神経」が重要な役割を果たしており、姿勢が変わるときに血圧を調節する働きを担っています。

起立性調節障害の原因としては、以下のような要因が考えられます。

自律神経のバランスの乱れ

→ 立ち上がった際に交感神経が十分に働かず、血液が下半身に滞りやすくなることがあります。その結果、めまいや立ちくらみなどの症状が出ることがあります。

体液不足や栄養の不足

→ 水分や塩分が不足していると、血圧が安定しにくくなり、起立性調節障害の症状が現れやすくなります。

ストレスや過労

→ 精神的なストレスや身体的な疲労が自律神経に影響を与え、血圧調整がうまくいかなくなることがあります。

これらの要因が重なることで症状が現れることが多く、特に思春期の子どもたちに多く見られます。

3. 日常生活への影響

起立性調節障害は、日常生活にも大きな影響を与える可能性があります。特に、学校生活や部活動など、日常的に体力を使う場面で問題を抱えることが多いです。
具体的な影響としては、以下のような場面が挙げられます。

学校の出席

→ 朝起きるのが辛く、登校が難しくなることがあります。また、立ち上がった際に気分が悪くなるため、授業に集中できないこともあり、学業への悪影響が懸念されます。

部活動への参加が難しい

→ 激しい運動を行うと血圧の調整がうまくいかず、体調不良を引き起こすことがあるため、部活動に参加できないことがあります。

社会的孤立感

→ 体調不良が続くと、友達と遊びに行くことやイベントへの参加が難しくなり、他の子どもたちと精神的な距離ができてしまうこともあります。

これらの影響を受けて、子ども自身が自信を失ったり、精神的に負担を感じることもあります。そのため、適切なサポートが必要です。

4. 起立性調節障害の診断方法

起立性調節障害の診断は、主に医師による問診といくつかの検査に基づいて行われます。
まず、医師は症状が現れる時間帯や体調の変化について詳しく質問し、起立性調節障害が疑われる場合には以下の検査が行われることが多いです。

立位テスト

→ 血圧や心拍数を立った状態で測定することで、血圧の変動を観察します。

心電図

→ 心拍数の異常を確認するために使用されることがあります。

血液検査

→ 脱水症状や栄養不足を確認するための検査です。

起立性調節障害と診断された後は、治療法として生活習慣の改善や適切な水分補給、場合によっては薬物療法が行われます。早期に診断を受け、適切な対処をすることが症状の緩和につながります。

起立性調節障害の子どもが遊びに行ける3つの理由

起立性調節障害の子どもは「学校には行けないのに遊びには行ける」場面があります。なぜ、学校には行けないのに遊びには行けるのでしょうか?
以下の3つの理由がその背景にあります。

1. 午後になると交感神経と副交感神経のスイッチができるようになる

起立性調節障害は、自律神経の働きが不安定になることで、立ち上がる際に血圧の調整がうまくいかず、めまいや立ちくらみなどの症状を引き起こします。
しかし、午後になると体がある程度慣れ、交感神経と副交感神経の働きが調整されやすくなります。朝起きた直後は、交感神経が十分に働かず、体が血圧をうまく調整できないことが多いですが、昼間になると体が活動モードに切り替わり、より安定した血圧調整ができるようになります。
このため、午後や夕方には体調が安定し、遊びに行くことができます。

2. ストレスからの解放

起立性調節障害の症状は、精神的なストレスやプレッシャーによって悪化することがあります。
特に学校や勉強の時間帯には、緊張や不安感が強くなり、その影響で体調が悪化することがあります。しかし、遊びに行く時間には、そうしたストレスから解放され、リラックスした状態で過ごすことができます。
遊びの時間は、楽しさや気晴らしになることで交感神経と副交感神経のバランスが良好になり、体調が改善することがあるのです。これが、遊びに行ける理由の一つです。

3. 特別なイベントのときは緊張状態になるから

特別なイベント、例えばスポーツの大会や習い事の発表会などのイベントの際には、普段よりも緊張状態になることがあります。この緊張状態が、交感神経と副交感神経の働きをスムーズに切り替える役割を果たします。
緊張感があると、交感神経が活発に働き、血圧や心拍数の調整がうまくいくことがあり、その結果、体調が安定しやすくなるのです。
つまり、普段の緩やかな状態ではなく、イベント時の緊張によって体調が良くなることがあるため、こうした時にはイベントには行くことができる場合があります。

起立性調節障害の子どもに保護者ができる5つのサポート

起立性調節障害を持つ子どもは、日常生活でさまざまな困難に直面することがあります。そのため、保護者が積極的にサポートすることが大切です。
以下に、保護者ができる5つの具体的なサポート方法を紹介します。

1. 生活リズムの調整をサポートする

生活リズムが不規則になると、体内時計が乱れ、自律神経のバランスがさらに不安定になり、起立性調節障害の症状が悪化することがあります。
そのため、起床時間や食事の時間を一定に保つことが重要です。朝早く起きて、規則正しい生活を心がけることで、体内時計が整い、昼夜逆転を防ぐことができます。
特に、毎日の起床時間を一定にすることで、体がリズムをつかみやすくなり、症状の緩和につながります。

2. 水分や塩分の摂取を促す

起立性調節障害の子どもは、血圧が安定しにくいため、特に水分や塩分の摂取が重要です。
水分を十分に摂取することで、血液量が増え、血圧が安定しやすくなります。また、塩分(ナトリウム)の摂取も血圧を安定させる役割を果たします。
特に、汗をかきやすい季節や運動後は、意識的に水分と塩分を補うようにしましょう。保護者は、子どもが適切な量を摂取できるようにサポートし、定期的に水分を摂るように促しましょう。

3. 無理のない運動を取り入れる

無理に激しい運動をすることは、体調を崩す原因となりますが、軽い運動を取り入れることで、血圧や自律神経の調整がしやすくなります。
散歩や軽いストレッチなど、無理なくできる運動を日常的に取り入れることで、体力をつけ、血圧を安定させることができます。
また、運動後にしっかりと休息を取ることも大切です。運動は、血流を促進し、体調の改善に役立ちますが、子どもの体調を見ながら無理なく行うことが大切です。

4. 学校や同級生に理解を促す

起立性調節障害の子どもは、体調が悪くなり学校を休むことがあるため、特に学校生活での配慮が必要です。
例えば、午後から学校に行く場合、同級生から「なんで朝から学校に来ないんだろう」と思われることがあるかもしれません。そのような場合、学校や同級生に理解を促し、子どもが孤立しないようにサポートすることが重要です。
担任の先生に症状を伝え、休んだ部分のプリントをもらうことや、また、友達にも理解してもらうことで、学校でのストレスを軽減し、孤立を防ぐことができます。

5. メンタル面のフォローを心がける

起立性調節障害を持つ子どもは、体調の不安定さに加えて、周囲の理解を得られないことや、症状が見えにくいために「サボっているだけ」と思われることがあります。
そのため、保護者は子どもに寄り添い、信頼していることを伝えることが大切です。子どもが自分の症状について疑心暗鬼になったり、精神的に落ち込んだりしないよう、安心感を与えるようにしましょう。
体調が悪いときでも「無理してはいけない」と伝え、適切に休むことをサポートすることが重要です。また、ポジティブな言葉をかけて、子どもが自分を責めずに前向きに過ごせるようにすることが、メンタル面での支えになります。

保護者がしてはいけない3つのNG行動

起立性調節障害を持つ子どもに対して、保護者が気をつけるべきことは多いですが、特に避けるべき行動がいくつかあります。
子どもが症状を訴えているとき、適切なサポートを行うことが重要ですが、以下のようなNG行動は、子どもにとって逆効果になり、症状を悪化させる原因になる可能性があります。

1. サボっていると決めつける

子どもが体調不良を訴えても、「サボっているだけ」と決めつけるのはNGです。
起立性調節障害の症状は目に見えづらいため、周囲の人が理解しづらいことがあります。しかし、子どもは本当に辛い状態であることが多いため、理解の無い言葉をかけられると、子どもはさらに精神的に追い詰められてしまうことがあります。
「サボっているだけだろう」と思わず、まずは子どもの訴えに耳を傾け、症状が本当に起立性調節障害によるものかどうか、医師の診断を受けることも大切です。

2. 無理矢理起こして、学校に連れて行く

起立性調節障害の子どもは、朝起きるのが非常に辛いことがあります。症状がひどい場合、無理に起こして学校に連れて行くことは、体調をさらに悪化させる原因となります。
特に、立ち上がったり動いたりすることが辛い場合、無理に体を動かすことは、血圧の調整がうまくいかず、めまいや失神を引き起こすこともあります。
もし、子どもが朝起きるのが辛いと訴えている場合は、無理に学校に行かせるのではなく、休養を取らせましょう。症状が改善するまで静かに休ませ、後から学校に行く場合でも、無理のないように調整することが求められます。

3. 医療機関を受診させず、自己解決させようとする

起立性調節障害は、単なる「精神的な問題」として片付けることはできません。症状が続いている場合は、必ず医療機関で適切な診断と治療を受ける必要があります。
精神論で解決しようとすると、症状が悪化するだけでなく、子どもは自分の体調について疑念を抱くようになり、ますます辛く感じることになります。
医師の診断を受け、必要な治療を行うことが、子どもの症状の改善に繋がります。適切な治療とサポートを受けることで、子どもは安心して回復に向かうことができるため、自己解決しようとせず、専門的な支援を受けることが大切です。

まとめ

起立性調節障害は、子どもの日常生活に大きな影響を与える可能性がありますが、適切なサポートを行うことで症状を軽減し、安心して過ごせる環境を作ることができます。保護者は、子どもの体調に配慮し、無理なく生活リズムを整えることや、医療機関での適切な診断を受けることが重要です。また、子どもが感じるストレスや不安に寄り添い、周囲の理解を促進することも大切です。子どもの症状を理解し、正しいサポートを提供することで、より良い生活をサポートできるようになります。

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この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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