高校の推薦入試対策ガイド|ここだけは知っておきたいポイント
公開日:2024年9月3日
このコラムでは、高校受験の推薦入試の仕組みや対策についてわかりやすく解説します。また、一般入試との違い、一般推薦と特別推薦の特徴、推薦入試を受ける手順、推薦入試の試験内容や合格するための対策についても詳しく解説します。
高校の推薦入試とは?
1. 推薦入試の概要
高校受験における推薦入試とは、高校が定めた基準を満たした生徒が、中学校からの推薦を受けて受験する入試の方法です。(学校からの推薦が必要ない場合もあります。)
ただし、推薦入試はすべての学校で実施されるわけではなく、制度や基準は各都道府県や学校によって異なります。そのため、推薦入試を検討する際は、まず志望校やお住まいの教育委員会のホームページで詳細を確認することが必要です。
推薦入試では、学力だけでなく、生徒の人柄や考え方、部活動の実績など「生徒の個性や能力」を幅広く評価し、高校が求める生徒像に合うかどうかを判断します。選抜の際には、調査書(内申書)や面接、作文・小論文などが用いられます。
2. 一般入試との違い
高校入試には大きく分けて「一般入試」と「推薦入試」の2種類があります。
「一般入試」では、学力試験(入試テスト)を受け、その点数と内申点の合計で合否が決まります。この入試方法を利用する受験生が最も多いです。
一方、「推薦入試」では、通常、学力試験が行われず、内申点と面接、作文または小論文の合計点で合否が決まります。(※高校や都道府県によっては3〜5科目の学力試験や、適性検査を実施する高校もあるので、各高校の募集要項を確認しておく必要があります。)
つまり、推薦入試では学力試験を受ける必要がないことが、一般入試との大きな違いです。ただし、ペーパーテストが無い代わりに、面接や作文・小論文が実施されるので、特別な対策が必要となります。
推薦入試は「学力試験を受けずに受験できる」という大きなメリットがあるので、応募する人数も多く、倍率が高くなる傾向にあります。特に公立高校や人気校の推薦入試となると、内申点の基準も高く、狭き門となります。
また、推薦入試の選考時期は、1月の下旬〜2月の上旬にかけて行われます。
都道府県や学校によって日程は異なりますが、基本的には一般入試よりも早い時期(1ヶ月程度早め)に行われます。
3. 高校の推薦入試の種類
高校の推薦入試には、大きく分けて「一般推薦」と「特別推薦」の2種類があります。それぞれの特徴について説明します。
一般推薦について
一般推薦入試では、学力試験は行わず、調査書(内申書)の成績、面接(個人または集団)、作文または小論文の合計点で合否が判定されます。面接や作文・小論文の形式は学校ごとに異なるため、事前の確認が必要です。
配点の比率は学校によって異なりますが、一般的には以下のような割合が目安となります。
また、私立高校では「単願推薦」や「併願推薦」という制度があります。
単願推薦(専願受験とも呼ばれます)は、受験する高校を第一志望とすることを条件とする推薦入試です。
合格すれば必ずその高校に入学する必要があり、他校との併願はできません。ほぼ確実に合格できますが、その分、推薦を受けるための基準は高めに設定されています。
併願推薦は、他校を併願受験することができます。公立高校を第一志望とし、その滑り止めとして利用されることが一般的です。第一志望の公立高校に合格すればそちらに進学できますが、不合格の場合は推薦を受けた高校に入学することが条件です。併願推薦は、単願推薦よりも合格基準がさらに高く設定されていることが多いです。
特別推薦について
特別推薦入試(特色選抜とも呼ばれます)は、スポーツや文化活動で優れた成績を収めた生徒を対象とした入試制度です。
スポーツや吹奏楽の実技だけでなく、文化活動のコンクールや大会での入賞実績(全国大会レベル)も対象となることがあります。この入試では、入学後もその活動を継続することを条件としていることが多く、合格基準は高めに設定されています。
特別推薦入試では、面接や作文・小論文に加え、実技試験が行われることがよくあります。選抜基準は学校によって大きく異なるため、事前の確認が必要です。
スポーツ推薦についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「高校推薦(スポーツ推薦)で進学する方法とは?」
高校の推薦入試を受けるための手順
次に、推薦入試を出願する手順について解説します。推薦入試の時期は一般入試より少し早いので、余裕をもって準備していきましょう。
1. 内申点が基準を満たしているか確認する
推薦入試を受験したい高校が決まったら、まず初めに、自分の内申点が基準に達しているかどうかを担任の先生に確認してみましょう。(学校長の推薦が不要であっても必ず確認しましょう。)
高校が定める推薦基準は、学校毎や年度毎に大きく変わることがあるので、なるべく早い段階で確認しておきましょう。
志望する高校がある程度決まっていれば、「どのくらいの成績が必要か?」「推薦基準に満たない部分はどこか?」など、具体的な目標を立てることができます。
2. 校長先生からの推薦書を書いてもらう
校長先生の推薦書が必要であれば、担任の先生にお願いして作成してもらいます。
また、調査書などその他の提出書類も合わせて準備してもらいます。
3. 志願理由書・自己PRの作成
推薦入試では、推薦書や調査書以外に、志願理由書や自己PR文も提出書類に含まれる場合が多いです。これらが必要な場合は、担任の先生が教えてくれると思います。
志願理由書や自己PR文については、必ず担任の先生に添削してもらうようにしましょう。
尚、これらは面接での質問に使われることも多く、書いた内容をコピーしておき、頭に入れておく必要があります。面接本番で志願理由書や自己PR文と違う内容を回答しないように注意しましょう。
自己PRの書き方についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「中学生のための自己PR書き方ガイド|書き方のコツと例文をご紹介!」
4. 出願する
提出書類一式が完成したら、期日までに出願します。
出願書類は中学校でもらえる事が多いですが、私立高校の場合は自分で入手する必要があります。出願書類は提出期限までに必着となるので、十分注意しておきましょう。
高校の推薦入試の試験内容
高校の推薦入試では、「個人面接または集団面接」と「作文または小論文」が実施されることがほとんどです。ここからは、それぞれの試験内容について解説していきます。
1. 個人面接
高校の推薦入試での個人面接は、1人あたり10分程度です。1〜4名の試験官を前にして、対面式での面接が行われます。
個人面接では、答える内容だけではなく、生徒の人柄や考え方、対人応対能力なども見られています。
緊張せず、中学生らしく明朗快活に答えられるように練習しておくことが大切です。家族や先生を相手に何度もシミュレーション(模擬面接)をしましょう。
2. 集団面接・集団討論
集団面接は、1〜3名の試験官を前にして3〜5名程度のグループで行われ、1人あたりの持ち時間は10分程度が目安となります。
一つの質問に対して順番に答えていく場合と、指名された人や挙手をした人からランダムに答えていく場合とがあります。聞かれる質問は、個人面接の場合とほぼ同じです。
集団討論(グループ討論)は、5人程度のグループで、課題のテーマについて30分程度の話し合い(ディスカッション)を行います。試験官は1名〜数名が立ち会い、司会進行役をすることはありますが、話し合いには参加しません。
課題のテーマについては、時事問題や社会問題から学校生活や文化的なトピックまで、幅広く扱われます。
高校によって扱うテーマがやや偏っていることもあり、過去問などを通して傾向と対策を練ることが可能です。
面接のマナーについてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「高校受験の面接について|超カンタン!丸わかりガイド」
3. 作文・小論文
作文・小論文の試験は、400〜800字前後の文章を制限時間50分で記述する形式が多いです。
課題のテーマは、大きく分けて、時事問題や社会問題について記述するパターンとグラフや資料を読み取り記述するパターンとがあります。
作文と小論文は、それぞれ書き方が異なるので注意が必要です。学校では詳しく習わない分野なので、独自の対策と演習が必要となります。
作文の書き方についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「高校入試の作文の書き方と注意点|カンタン早わかりガイド!」
高校入試の小論文についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「高校入試の小論文の丸わかり完全攻略ガイド!|模範解答例・解説付き」
高校受験で推薦を受ける為にやるべき3つの対策
前述しましたが、高校の推薦入試の場合、内申書の点数が評価の半分近くを占めているので、非常に重要です。そもそも、内申点が悪いと受験することすらできないこともあります。
ですから、推薦を受けるためには「内申書対策」が必須となります。
調査書(内申書)についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」
内申点の計算についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「内申点の計算方法|自分の点数をシミュレーションしてみよう!」
1. 定期テストの点数を上げる
内申点(評定点)は通知表の成績を基に計算されますが、その通知表の成績に最も影響するのは「定期テストの点数」です。したがって、毎回の中間・定期テストで少しでも良い点数を取ることが、内申点アップに直結します。
内申書にどの学年の成績が加味されるかは地域によって異なりますが、中学1年生の成績から加味される地域では、「中1から受験の合否が少しずつ決まっていく」という意識を持つことが大切です。
たとえ東京都のように、中学3年生の成績だけが内申点に反映される地域であっても、「中1・2年の間は内申点に関係ないから大丈夫」という油断は禁物です。中学3年生の勉強は、中1・2年生で習った内容が基礎となっているため、1・2年生の間に勉強を怠ってしまった生徒が、中学3年生から突然良い点数を取るのは難しいからです。
勉強法についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「成績を上げる方法とは?|勉強しても成績が上がらない子の為の勉強法」
2. 宿題・提出物をきちんと出す
宿題や提出物をきちんと出すことは、内申書の評価に大きく影響します。内申点を上げるためにも、宿題や提出物は期限を守り、毎回確実に提出することを心がけましょう。
ただし、ただ提出すれば良いというわけではありません。「答えを丸写ししたもの」や「書き方が乱雑で、いい加減にやっているもの」は、かえって悪い評価につながることもあるため注意が必要です。
これまで指導してきた生徒の中にも、「提出物と宿題をきちんと出していれば、最低でも1は避けられる(最低でも2は取れる)」というケースや、「テストの成績は抜群だったのに、提出物を全く出さなかったために評価が4に落ちた」という例を数多く見てきました。
この項目は、テストの点数があまり良くない人でも評価を上げることができるので、しっかりと取り組むことが大切です。
3. 授業態度を改善する
提出物と同様に、授業態度も内申書の評価に影響しています。
しかし、ただ真面目に授業を聞いているだけでは評価につながりません。私語や居眠り、ぼんやりした態度、落書き、失礼な言動をしないことは、悪い評価を避けるために最低限必要なのですが、それだけでは良い評価につながるわけではありません。
良い評価を得るためには、「授業で積極的に発言・発表をする」「分からない問題があれば主体的に質問する」といった前向きな学習姿勢が評価につながります。
この項目も、テストの点数があまり良くない人でも評価を上げることができるので、しっかり意識しておきたいところです。
内申点についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「内申点の上げ方を徹底解説!|志望校合格に向けた勝利への方程式」
推薦入試に向いているタイプ4選
最後に、推薦入試に向いている生徒のタイプについて解説します。
「向いている=合格しやすい」ということになりますが、絶対合格するとは限らないので、一般入試の準備も同時に進めておきましょう。
1. 内申点が高い
推薦入試では内申点が一番大きく影響します。ですから、日頃から「テストで良い点が取れている」「提出物をきちんと出している」などの通知表の成績が良い生徒は、推薦入試に向いています。そもそも、通知表の成績が良くないと推薦自体が受けられないこともあるので、その点でも内申点が高いことは重要です。
また、推薦がもらえた後、入試本番でもやはり内申点が高いと絶対有利となります。「自分は高い内申点を持っている」という心の余裕があれば、面接や作文・小論文でもプレッシャーを感じずに力を発揮しやすくなります。
2. 社交的・コミュニケーション能力が高い
推薦入試では、同じ推薦条件をクリアした同等の学力を持った生徒が集まっているので、面接などの試験で合否が決まることがあります。ですから、面接が得意な社交性やコミュニケーション能力が高い生徒は推薦入試に向いていると言えます。「ハキハキと明るく受け答えができる」「状況に合わせて臨機応変に受け答えができる」などは面接で高評価を得やすいので、推薦入試では有利に働くことが多いでしょう。
3. 試行錯誤して考える力がある
作文や小論文は正解が一つではないため、テーマに対して試行錯誤しながら文章を書き進めることが求められます。ですから、試行錯誤して考える力を持つ生徒は、作文や小論文で高得点を狙いやすく、推薦入試に向いているタイプです。
また、作文・小論文の学習は、書いて添削を受け、それをもとに再度書き直すという試行錯誤のプロセスを通じて演習を重ねていくものです。作文・小論文のスキルを向上させる過程でも、この「試行錯誤する力」があると有利になります。
4. 特定の科目が苦手、一芸に秀でている
特定の科目が極端に苦手な場合は、推薦入試が適していることもあります。
ほとんどの推薦入試では学力試験がないため、当日のテストで苦手科目が足を引っ張る心配がないからです。
また、スポーツや文化活動などで非常に優れている生徒も、推薦入試(特別推薦)に向いています。
このような生徒は、将来にわたってその分野の活動を続けたいと考えていることが多いため、その分野に力を入れている高校を選ぶことで、入学後もさらにスキルアップできる可能性があります。
まとめ
高校の推薦入試は、やはり内申点が一番重要となりますので、テストや提出物などの日頃の積み重ねが合格への近道です。
逆に言えば、定期テストで多少の失敗があっても、次のテストで挽回できるというメリットもありますので、頑張りが確実に実を結ぶとも言えます。
推薦入試での進学を考えている方は、なるべく早い段階から意識して取り組むことが大切です。
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