内申点は高校受験に関係ない?|合否への影響度について解説!
公開日:2024年3月28日
高校受験では「内申点」という言葉をよく耳にしますが、その影響度は受験する方法や高校の種類などによって異なります。高校受験の内申点に関わる制度は、複雑で分かりにくい側面があるので「結局、内申点は高校受験に関係あるの?関係ないの?」と混乱してしまう方は多いでしょう。
そこで本コラムでは、内申点が高校受験に与える影響度についてわかりやすく解説し、内申点が高校受験に関係ないか?関係あるのか?をご説明します。
高校受験で内申点は関係あるの?
結論から言えば、内申点の影響度は、一般入試で受験するのか、推薦入試で受験するかによって異なり、また、受験する高校の種類によっても異なります。
まずは、それぞれについて詳しく解説していきます。
一般入試での内申点の影響度
一般入試では、学力試験の結果が大きく合否に影響します。基本的には、内申点も考慮されるのですが、どの程度考慮するかは受験する高校によって大きく異なります。特に一般入試の場合は、公立高校を受験するのか?、私立高校を受験するのか?、によって大きく異なります。
公立高校の一般入試|内申点の影響度
公立高校の一般入試の場合、学力試験と内申点の配点比率は「8:2〜6:4」あたりが一般的です。ただ、学校によっては「9:1」や「5:5」といったこともあり、地域や学校によって差があります。
公立高校の一般入試は、基本的に学力試験と内申点の合計で合否を決めるのですが、学校によっては面接も実施することがあります。その場合は、「学力試験:内申点:面接=6:2:2」といった配点になることがあります。
難易度の高い高校では「学力試験」の配点が高くなる傾向があります。難関上位校の場合、内申点が低い受験生がそもそも少なく、内申点だけでは差がつきにくいことが理由です。反面、中堅以下の高校では「内申点」の配点が高くなる傾向があります。
また、一般入試は前期選抜と後期選抜(第一次募集・第二次募集と呼ばれることもあります)の2回に分けて選抜が行われますが、前期選抜の受験者数の方が圧倒的に多く、メインの受験となります。内申点の配点比率は、前期選抜よりも後期選抜の方が高くなるケースが多いです。
いずれにせよ、公立高校の一般入試は内申点をしっかり加味するので、「内申点は大いに関係ある」と考えてよいでしょう。受験する高校によって、その配点比率は上下しますが、特に中堅以下の高校を検討している場合は、内申点の影響度がより強くなると考えておきましょう。
私立高校の一般入試|内申点の影響度
私立高校の一般入試は、オープン入試やフリー受験とも呼ばれますが、ほとんどの学校が学力試験の得点のみで合否を判断します。つまり、内申点はほとんど影響しません。
ただ、内申点に1がないこと(上位校では1〜2)を最低基準としている場合がよくあるので、その点では全く影響ないとは言い切れません。
また、非常に稀ですが、公立高校の一般入試のように学力試験と内申点の合計点で合否を判断する私立高校もあります。
私立高校の場合、高校ごとに大きく受験制度が異なるので、事前に確認しておく必要があります。
とはいえ、私立高校の一般入試では、ほとんどの学校が学力試験の結果で合否判断します。そういった意味では「内申点はほとんど関係ない」と考えておいてよいでしょう。
推薦入試での内申点の影響度
一般的な高校受験の推薦入試は、内申点+面接+作文・小論文の合計点で合否判断します。ただ、学校や地域によっては、上記に加え筆記試験や適性検査を実施することもあります。
推薦入試の場合、内申点は合否に大きく影響します。配点比率は「内申点:面接:作文・小論文=50%:25%:25%」となることが多く、内申点の配点が半分近くを占めることがほとんどです。
上記の内容は、公立高校と私立高校共に共通しており、学力試験が実施されない分、より強く内申点が影響します。
また、推薦入試は学校長からの推薦が必要となることも多く、内申点が悪いとそもそも推薦自体を受けられず、受験すらできないといった可能性もあります。
以上の点から、推薦入試の場合は「内申点がかなり関係ある」と考えておきましょう。
調査書(内申書)についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」
定時制高校での内申点の影響度
一般的な定時制高校は、学力試験+内申点+面接により合否を判定します。学力試験は英語・数学・国語の3科目受験が多いのですが、理科・社会・作文の試験なども実施する高校もあります。
内申点の配点比率は学校によって異なりますが、概ね3割以上の比率となることが多く、定時制高校受験の場合は「内申点は大いに関係ある」と考えておいてよいでしょう。
通信制高校での内申点の影響度
一般的な通信制高校は、学力試験を実施せず、書類選考+面接や作文により合否を判断します。通信制高校の場合、不登校の生徒を積極的に受け入れている学校が多く、内申点をあまり重視していない学校が多いです。
よって、通信制高校の場合は「内申点は関係ない」と考えておいてよいでしょう。
チャレンジスクールでの内申点の影響度
チャレンジスクールは東京都での名称で、地域によってその名称は異なります。(例:パレットスクール(埼玉県)、フロンティアスクール(神奈川県))
チャレンジスクールとは、不登校を経験した生徒や高校を中退した生徒を対象にしている高校で、「定時制でかつ単位制」の高校です。
受験の選抜方法としては、「志願申告書」という書類を提出し、作文+面接により合否を判断します。学力試験は実施せず、内申書も見られません。
よって、チャレンジスクールなどの場合は「内申点は関係ない」と考えておいてよいでしょう。
エンカレッジスクールでの内申点の影響度
エンカレッジスクールは東京都での名称で、地域によってその名称は異なります。(例:クリエイティブスクール(神奈川県)、エンパワメントスクール(大阪府))
エンカレッジスクールは、チャレンジスクールとは異なり、「全日制でかつ学年制」となっている高校です。
受験の選抜方法としては、学力試験は実施せず、作文+面接+内申書により合否を判断します。
エンカレッジスクールの受験は内申書を加味するのですが、あまり重視していない学校が多いので、「内申点はあまり関係ない」と考えておいて良いでしょう。
内申点の評価方法について
内申点と通知表の関係性
いわゆる「内申点」とは、内申書に記載される「各教科の学習記録」の「評定」の部分を指すことが一般的です。(※地域によっては、ABC評価の「観点別評価」も記載されることがあり、その観点別評価を数値化し、その合計点を内申点とする場合もあります。)
内申書に記載される「評定」や「観点別評価」は、いずれも通知表の成績が基になっています。大まかに言えば「内申点=通知表の平均値」と考えておいてよいでしょう。
評定点について
内申書に記載されている評定点は、通知表と同じく5段階評価で記載されます。
ただ、その基となる通知表の評定は、観点別評価の成績から総合的な判断がされ、最終的な評価点としてつけられています。この観点別評価は、定期テストの点数だけではなく、提出物や授業態度など様々な角度から評価されています。
つまり、内申点の評定点も、定期テストの点数が大きく影響していますが、提出物や授業態度なども関係しているということになります。
また、内申点は「何年生の成績から記載するか?」「どの学年や科目を重視するか(特定の学年や科目を2〜3倍で計算する)」などが、各都道府県や高校によって異なります。
例えば、「主要5科目がオール3で技能4科目がオール4」であった場合、通常であれば、「(5×3)+(4×4)=31点」ということになりますが、技能4科目を2倍で計算する地域であれば、「(5×3)+(4×4×2)=47点」になります。
この場合は、技能4科目の成績が良い生徒が内申点においては有利になります。
この様に、内申点の評価方法は各都道府県によって大きく異なりますので、お住まいの地域の教育委員会ホームページ等で事前の確認が必要です。
観点別評価点について
「観点別評価」では、全9科目に対してA・B・Cの3段階で評価されます。
前述したとおり、通知表の評定(5段階評価)は、テストの点数に観点別評価が加味され、最終的な成績が決まっています。
地域によっては、内申書に観点別評価を記載することもあり、観点別評価を点数化し内申点とする場合もあります。
観点別評価は、下記の3項目について評価されています。
- 知識・技能
- 思考・判断・表現
- 主体的に学習に取り組む態度
では、それぞれの項目について詳しく解説します。
1. 知識・技能
「知識・技能」については、授業で習ったことを「しっかり覚えているか?(=知識)」と「理解ができているか?(=応用力、考える力)」についての評価です。
例えば、定期テストや小テストにおいて「知識を問う問題(暗記問題)」と「理解を問う問題(考えて解く問題)」がバランス良く解答できているか?という点が評価の対象となります。ですから、そもそもテストの点数が悪いと良い評価は得られません。
2. 思考・判断・表現
「思考・判断・表現」については、論理的に考え解決する力や判断力、自分の考えを発言や文章などで表現する力についての評価です。
例えば、「記述問題」「グラフや表を読み取り考える問題」などの解答内容や、「作文・小論文・レポート」「グループや学級での発表」「技能科目の実技や作品」など、多様な活動が評価の対象となります。
3. 主体的に学習に取り組む態度
「主体的に学習に取り組む態度」とは、勉強や授業に取り組む姿勢や態度に対する評価です。
例えば、「ノートや提出物等における記述内容」「提出期限を守れているか」「授業中の発言や態度」「学校生活における行動や態度」などが評価の対象です。
この項目は、定期テストの点数が悪い人でも評価を上げることができます。
内申点を考慮した高校選び
内申点の計算方法を調べる
受験する高校を選ぶ際は、まず自分の内申点を把握することから始めましょう。
その為には、自分の住んでいる都道府県の内申点計算方法を知っておくことが前提です。
前述したとおり、中学1年生から内申点に加味される地域もあれば、中学3年生の成績のみを加味する地域もあります。また、技能4科目の成績を2倍計算する地域もあれば、中学3年生の成績だけ2〜3倍計算する地域もあります。
そもそも内申点の計算方法は複雑かつ多様でありながら、それに加えて高校ごとに傾斜配点を加えることもあります。生徒自身で計算することは難しいので、保護者の方や学校の先生に協力してもらうことをお勧めします。
高校受験の場合、学力試験の出来・不出来以前に、内申点の成績で合否の可能性が分かってしまうことがほとんどです。
「この内申点では合格する可能性は低い」となると、学校の進路相談で先生に受験すること自体を再考するよう言われてしまうこともあります。
志望校を正しく選定する為にも、まずは内申点の計算方法を知り、自分の位置を把握することから始めましょう。
内申点が低い場合
自分の内申点が低い場合は、内申点の配点が低い高校を検討しましょう。
上述したとおりですが、受験候補としては、
- 私立高校の一般入試
- 通信制高校
- チャレンジスクールやエンカレッジスクール
が挙げられます。
また、受験する高校の難易度にもよりますが、公立高校の一般入試や定時制高校も考えられます。内申点の配点が高い推薦入試は、内申点が低いと不利になるので、ややレベルを下げて検討することが必要です。
高校によって内申点の計算方法は大きく異なりますので、自分の内申点に合った受験校を見つけられることもあります。学校の先生や塾・家庭教師などの専門家と相談し、慎重に受験する高校を選んでいきましょう。
特定の科目が得意な場合
内申点の合計点が低かったとしても、ある特定の科目(特に英語や理数系)が得意で成績が良い場合、自分に合った受験校を見つけられる場合があります。
高校によっては、特定の科目の成績を2倍で計算するなどの傾斜配点を採用していることがあります。
また、特定の科目ではなく、特定の分野(スポーツや文化活動など)で優れた実績がある場合は、特別推薦入試という選択肢も考えられます。
高校の推薦入試についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「高校の推薦入試対策ガイド|ここだけは知っておきたいポイント」
内申点を上げるための4つの具体策
次に、高校受験に向けた準備と大まかな流れについて解説します。
1. 定期テストの点数を上げる
内申点は通知表の成績を基に計算されています。その通知表の成績に最も影響しているのは「定期テストの点数」です。ですから、毎回の中間テストや定期テストで、少しでも良い点数を取ることが内申点アップの最短ルートです。
定期テストで良い点数を取るためには、日々の授業をしっかり理解していくことです。予習と復習の習慣ややり方を身につけ、家庭学習を充実させることが大切です。
勉強法についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「成績を上げる方法とは?|勉強しても成績が上がらない子の為の勉強法」
2. 記述問題や応用問題に強くなる
これは、上述した「観点別評価」の中の「知識・技能」「思考・判断・表現」に対する対策です。
暗記だけに頼らず、応用問題や記述問題に強くなることで、内申点アップにつながります。
応用問題や記述問題に強くなるためには、とにかく演習量を増やし、塾や家庭教師などの第三者からの添削指導が必要です。
応用問題に強くなるためには、まず基本の定着が必須です。教科書の基本を徹底して身につけ、その基本を活用して応用問題を解く練習を繰り返しましょう。このような力は一朝一夕では身につきません。テスト前だけの勉強だけではなく、普段から少しずつ積み重ねていくことで定着します。
記述問題に強くなるためには、まず記述の方式をしっかり身につけることです。国語や作文・小論文・レポート作成などを中心に、分かりやすい記述ができるよう日々訓練していくことが大切です。こちらも一朝一夕で身に付くものではなく、日々の積み重ねをもって力となる分野になります。
3. 提出物をきちんと出す
これは、上述した「観点別評価」の中の「主体的に学習に取り組む態度」に対する対策です。
テストの点数が思うようにいかなくても、提出物をしっかり出していくことで、着実に内申点アップにつながります。
ただ、出していれば良いという訳ではありません。
- 答えを丸写ししたもの
- 書き方も乱雑でいい加減にやっているもの
- ネットで調べた情報をコピペしただけのもの・ChatGPTなどを丸写ししたもの
などは、かえって低評価になることもあります。
提出期限を守ることは勿論のことですが、その記述内容に対して丁寧に考え、真剣に取り組んでいることが伝わる内容にしましょう。
4. 学習に対して前向きに取り組む
これも、上述した「観点別評価」の中の「主体的に学習に取り組む態度」に対する対策です。
授業態度を評価してもらう為には、ただ真面目に授業を聞いているだけでは評価につながりません。例えば、
- 授業中に私語や居眠りをしない
- 授業中にボンヤリしない・ノートや教科書に落書きをしない
- 先生や同級生に対して失礼な態度や言動をしない
などは、「当たり前のこと」として評価されています。
この様な行動が無いからといって、良い評価が付く訳ではありません。
授業態度で良い評価につながる行動としては、
- 授業中に積極的に発言する
- 授業やクラスの話し合いなどで、前向きに発表する
- わからない問題があれば、積極的に質問する
- レポートや課題に対して前向きに取り組む
といった、積極的な学習姿勢が評価につながります。
まとめ
一般的に「高校受験は内申点が重要!」とよく言われますが、受験する高校によって様々です。
ただ、公立高校に進学する生徒が全体の6割以上を占め、私立高校に進学する場合も推薦入試や単願・併願制度を活用する生徒が増えているので、内申点が大きく関係しているケースは多いでしょう。
内申点が低いことで、高校選びの選択肢が狭まり、受験でもネックになることが多いのも間違いありません。また、内申点は「上げたい!」と思っても、すぐに上げられるものではありません。なるべく早い時期から学習に対して真剣に取り組み、着実に成績を上げていくことがベストです。
家庭教師のマスターでは、高校受験を控える中学生のサポートを行っています。ご興味のある方は気軽にお問合せください。
もっと知りたい方はこちら
⇒【高校受験コース】について
家庭教師のマスターについて
家庭教師のマスターの特徴
平成12年の創立から、家庭教師のマスターは累計2万人以上の子供たちを指導してきました。その経験と実績から、
- 勉強大嫌いな子
- テストで平均点が取れない子
- 特定の苦手科目がある子
- 自宅学習のやり方、習慣が身についていない子
への指導や自宅学習の習慣づけには、特に自信があります!
家計に優しい料金体系や受験対策(特に高校受験)にもご好評いただいており、不登校のお子さんや発達障害のお子さんへの指導も行っています。
指導料金について
指導料:1コマ(30分)
- 中学生:900円/1コマ
- 小学1年生~4年生:800円/1コマ
- 小学5年生~6年生:850円/1コマ
- 高校生:1000円/1コマ
家庭教師マスターではリーズナブルな価格で高品質の家庭教師をご紹介しています。
2人同時指導の割引き|ペアレッスン
兄妹やお友達などと2人一緒に指導を受けるスタイルの「ペアレッスン」なら、1人分の料金とほぼ変わらない料金でお得に家庭教師の指導が受けられます!
※1人あたりの指導料が1コマ900円 → 1コマ500円に割引きされます!
教え方について
マンツーマンで教える家庭教師の強みを活かし、お子さん一人ひとりにピッタリ合ったオーダーメイドの学習プランで教えています。
「学校の授業や教科書の補習」「中間・期末テスト対策」「受験対策」「苦手科目の克服」など様々なケースに柔軟な対応が可能です。
指導科目について
英語・数学・国語・理科(物理・生物・化学)・社会(地理・歴史・公民)の5科目に対応しています。定期テスト対策、内申点対策、入試対策・推薦入試対策(面接・作文・小論文)など、苦手科目を中心に指導します。
コースのご紹介
家庭教師のマスターでは、お子さんに合わせたコースプランをご用意しています。
ご興味のある方は、下記をクリックして詳細を確認してみてください!
無料体験レッスン
私たち家庭教師のマスターについて、もっと詳しく知って頂くために「無料の体験レッスン」をやっています。
体験レッスンでは、お子さんと保護者さまご一緒で参加して頂き、私たちの普段の教え方をご自宅で体験して頂きます。
また、お子さんの学習方法や課題点について無料のコンサルティングをさせて頂き、今後の学習プランに活かせるアドバイスを提供します。
他の家庭教師会社や今通われている塾との比較検討先の1つとして気軽にご利用ください!