内申点の計算方法|自分の点数をシミュレーションしてみよう!
公開日:2024年4月1日
高校受験で一番気になるのは、やはり「内申点」です!
内申点の計算方法は都道府県によって異なるので、自分の住んでいる地域の計算方法に合わせて内申点のシミュレーションをしてみましょう!自分の内申点を正しく知ることで、高校選びの判断材料となります。
また、本コラムでは内申点の概要、付け方、影響度などについても分かりやすく解説します。
内申点とは何ですか?
内申点の基本的な概要
「内申点」とは、高校受験時に作成される内申書(調査書)の「各教科の学習記録」という項目に記載される「評定」の部分を指すことが一般的です。
この評定点は、通知表の成績と同じように、9科目すべてに対して5段階評価でつけられます。つまり、この評定点の合計が「自分の内申点」と考えておいてよいでしょう。
※地域によっては、ABC評価の「観点別評価」も記載されることがあり、その観点別評価を数値化し、その合計点を内申点とする場合もあります。
内申点ついてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」
内申点と通知表の関係性
内申書に記載される「評定」や「観点別評価」は、いずれも通知表の成績を基につけられています。
例えば、1学期・2学期・3学期の通知表の成績が、「4・3・4」であった場合の内申点は「4」になり、「4・3・3」であれば「3」になる、といった感じです。正確には、「4に近い3」であったり「3に近い4」であったりすることがあるので、多少の誤差は生じますが、おおむね「内申点=通知表の平均値」と考えておいてよいでしょう。
内申点の重要性
内申点は、高校受験において非常に重要とされています。
公立高校を志望している生徒は非常に多いですが、公立高校の一般入試・推薦入試ともに、内申点が受験の合否に大きく影響します。その影響度は高校によって異なりますが、学力試験は一発勝負なので、内申点が高いか低いかによって、受験のアドバンテージが大きく違ってきます。
私立高校の一般入試(オープン入試、フリー受験)の場合、内申点をほとんど加味せず、学力試験で合否を判断することが多いのですが、単願確約・併願確約などで受験する場合や、推薦入試で受験する場合は、私立高校でも内申点が大きく影響します。
つまり、多くのケースで内申点が合否に関係することになり、高校受験をする上では「内申点」が非常に重要と言えます。
内申点の計算方法の特徴
それでは、本題の「内申点の計算方法」について解説していきましょう。
内申点は、通知表の成績が基になっていることは前述しましたが、「通知表の成績そのまま」とは限りません。実は、住んでいる都道府県によって計算方法が異なるのです。
都道府県ごとに異なる計算方法
内申点は、都道府県ごとに異なる計算方法があり、この計算方法は各県の教育委員会が決めています。
例えば、「どの学年から内申点をつけるか?」という点です。
中学1年生から内申点をつける地域もあれば、中学3年生の内申点のみをつける地域もあります。また、中学2年生と中学3年生の内申点をつける地域もあります。
また、特定の学年や科目を2倍〜3倍にして計算する地域もあります。
具体的には、「中学3年生」と「技能4科目」です。
中学3年生の内申点のみ2倍計算にすることや、技能4科目について2倍計算にすることは非常に多いです。
つまり、自分の内申点を計算する場合は、自分の住んでいる都道府県の計算方法に則って算出することが必要なのです。
評定と観点別評価について
内申書の「各教科の学習記録」には「評定」が必ず記載されますが、加えて「観点別評価」も記載される地域があります。
内申書の観点別評価は、通知表に記載されているものと同じく、ABCの3段階で記載されます。受験する方法や高校によっては、この観点別評価を数値化し、その合計点を内申点とする場合があります。この計算式は高校によって異なり、かつ、複雑な計算式で計算されることが多いです。
今回のコラムでは、この点については触れませんが、受験する高校が上記ケースに該当するようであれば、学校の先生や塾、家庭教師などの専門家と相談しながら計算することをお勧めします。
内申点の計算シミュレーション
最後に、各都道府県ごとの内申点の計算方法に則り、計算シミュレーションをしてみます。
今回は、関東地区(1都6県)と関西地区(2府4県)を例にしてシミュレーションします。その他の県については、お住まいの地域の教育委員会ホームページなどで計算方法を確認し、下記を参考に計算して頂ければ幸いです。
まず、シミュレーションをする上で、Aさんの成績を下記のように仮定します。
このAさんの成績を基に、都道府県ごとのシミュレーションをしてみます。
内申点の計算シミュレーション【関東】
東京都の内申点の計算
東京都の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学3年生のみが加味される
・技能4科目の成績を2倍計算する
この場合、Aさんの内申点は、
(4+4+3+3+3)+(5+3+5+4)× 2
=17+34
=51点
となります。
Aさんは、中学3年生の成績が最も良く、かつ、技能4科目の成績も良いので、比較的有利な評価になります。
神奈川県の内申点の計算
神奈川県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学2〜3年生の成績が加味される
・中学3年生の成績を2倍計算する
この場合、Aさんの内申点は、
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)× 2 = 68点
=31+68
=99点
となります。
Aさんの場合は、中学3年生の成績が最も良く、最も悪い中学1年生の成績は内申点に加味されないので、比較的有利な評価になります。
埼玉県の内申点の計算
埼玉県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
・中学3年生の成績を2倍計算する(※高校により異なりますが、ここでは2倍で計算します)
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)× 2 = 68点
=27+31+68
=126点
となります。
Aさんは、中学3年生の成績が最も良い点では有利ですが、中学1年生の成績がやや足を引っ張るような形になります。
千葉県の内申点の計算
千葉県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)= 34点
=27+31+34
=92点
となります。
千葉県では、中学1年生〜3年生まで全ての成績を加味するので、Aさんの場合、中学1年生の成績が全体の足を引っ張るような形になります。
茨城県の内申点の計算
茨城県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)= 34点
=27+31+34
=92点
となります。
茨城県では、中学1年生〜3年生まで全ての成績を加味するので、Aさんの場合、中学1年生の成績が全体の足を引っ張るような形になります。
栃木県の内申点の計算
栃木県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)= 34点
=27+31+34
=92点
となります。
栃木県では、中学1年生〜3年生まで全ての成績を加味するので、Aさんの場合、中学1年生の成績が全体の足を引っ張るような形になります。
群馬県の内申点の計算
群馬県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)= 34点
=27+31+34
=92点
となります。
群馬県では、中学1年生〜3年生まで全ての成績を加味するので、Aさんの場合、中学1年生の成績が全体の足を引っ張るような形になります。
内申点の計算シミュレーション【関西】
大阪府の内申点の計算
大阪府の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
・中学1年生と2年生の成績を2倍計算する
・中学3年生の成績を6倍計算する(※実質3倍計算)
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)× 2 = 54点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)× 2 = 62点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)× 6 = 204点
=54+62+204
=320点
となります。
Aさんは、中学3年生の成績が最も良い点では有利ですが、中学1年生の成績がやや足を引っ張るような形になります。
兵庫県の内申点の計算
兵庫県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学3年生のみが加味される
・主要5科目の成績を4倍計算する
・技能4科目の成績を7.5倍計算する(※実質約1.9倍)
この場合、Aさんの内申点は、
(4+4+3+3+3)× 4 +(5+3+5+4)× 7.5
=68+127.5
=195.5点
となります。
Aさんは、中学3年生の成績が最も良く、かつ、技能4科目の成績も良いので、比較的有利な評価になります。
京都府の内申点の計算
京都府の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
・各学年の技能4科目の成績を2倍計算する
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2)+(4+3+5+3)× 2 = 42点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3)+(4+3+4+4)× 2 = 46点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3)+(5+3+5+4)× 2 = 51点
=42+46+51
=139点
となります。
京都府では、中学1年生〜3年生まで全ての成績を加味し、かつ、技能4科目の成績を2倍計算するので、Aさんの場合、技能4科目の成績が比較的良い点では有利ですが、中学1年生の成績がやや足を引っ張るような形になります。
奈良県の内申点の計算
奈良県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学2〜3年生の成績が加味される
・中学3年生の成績を2倍計算する
この場合、Aさんの内申点は、
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)× 2 = 68点
=31+68
=99点
となります。
Aさんは、中学3年生の成績が最も良く、かつ、最も成績の悪い中学1年生の成績が内申点に加味されないので、比較的有利な評価になります。
滋賀県の内申点の計算
滋賀県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)= 34点
=27+31+34
=92点
となります。
滋賀県では、中学1年生〜3年生まで全ての成績を加味するので、Aさんの場合、中学1年生の成績が全体の足を引っ張るような形になります。
和歌山県の内申点の計算
和歌山県の内申点の計算方法は上記になります。
【特徴】
・中学1〜3年生の成績すべてが加味される
・中学3年生の成績を2倍計算する
この場合、Aさんの内申点は、
中1の内申点⇒(3+2+3+2+2+4+3+5+3)= 27点
+
中2の内申点⇒(4+3+4+2+3+4+3+4+4)= 31点
+
中3の内申点⇒(4+4+3+3+3+5+3+5+4)× 2 = 68点
=27+31+68
=126点
となります。
Aさんは、中学3年生の成績が最も良い点では有利ですが、中学1年生の成績がやや足を引っ張るような形になります。
まとめ
高校受験は、まず自分の内申点を把握するところからスタートします。
内申点によって、どの高校を受験するのか?どの方法で受験するのか?など、様々なことが決まっていきます。
ただ、内申点の計算は複雑で分かりにくい側面があります。このコラムが、受験生の皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。
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