高校受験で英検取得は有利になる!|内申点や加点の優遇措置について
公開日:2024年4月26日
「英検を取得しておくと高校受験で有利になる」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
実際には英検3級以上を取得していれば、高校受験で多くのメリットがあります。本コラムでは、その理由や仕組み、英検対策の勉強法についてご紹介します。
高校受験で英検取得は有利になる?
英検とは?
英検は、全国で毎年400万人以上が受験する国内最大級の英語検定試験です。特に小中高生の受験者が多く、全体の約85%を占めています。
英検には1級から5級までの7つの級があります。難易度の高い順番から1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級となります。
同じ級を年間で最大3回まで受験することが可能です。
試験問題は、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4つの技能に分かれており、これらをバランス良く評価し英語力を測ります。
4級〜5級は、筆記試験とリスニング試験(録音形式のスピーキングテストも受験可能)が行われます。
1級〜3級は、筆記試験とリスニング試験に加えて面接試験(スピーキングテスト)が行われます。一次試験の筆記試験に合格した人が、二次試験の面接を受験する流れになります。
英検取得が高校受験に与えるメリット
英検取得が高校受験においてメリットとなるのは、3級以上を取得した場合です。
公立高校と私立高校では、そのメリットの度合いに大きな違いがありますので、下記で解説していきます。
公立高校受験でのメリット
公立高校受験の場合、一般的に英検取得のメリットが少ないと言われています。
その理由は、ほとんどの都道府県の公立高校入試では、英検取得による優遇措置を設けていないからです。
公立高校受験において、外国語の外部試験の結果を入試の合否判定に活用しているのは東京都、大阪府、埼玉県、千葉県、奈良県、岡山県の6地域になります。
このうち東京都については「ESAT-J」というスピーキングテストを採用しているので、英検は関係していません。つまり、公立高校受験において英検取得がメリットになるのは実質5地域となります。
参照:文部科学省「令和5年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査 (公立高等学校) 」
大阪府
大阪府の公立高校は英検取得者をかなり積極的に優遇しています。
具体的には、高校入試の英語のテストにおいて、英検準1級取得者には100%、英検2級取得者には80%の点数を保証してもらえる、といった制度です。これらは英語の学力検査を行っているすべての高校に対して適用されています。特に大阪府立の難関上位校では、英検2級以上を取得している受験生が非常に多く、もはや合格への必須事項と言っても過言ではありません。
■ 府立上位校を受験する生徒の英検2級以上取得率(2023年)
参照:大阪府ホームページ「大阪府立高等学校の英語学力検査問題改革について」
埼玉県
埼玉県の公立高校受験の場合、英検取得の結果が、調査書(内申書)の点数に対して加点されることがあります。どれくらい加点するかについては各高校ごとに異なりますが、加点される対象は英検準2級以上となっており、難関上位校では2級以上を対象にしている学校が多いです。
英検取得については、調査書の中にある「その他の項目」の点数に対して加点されるのですが、この「その他の項目」の配点比率は、全体の点数(入試テストの点数+調査書の点数)に対して10%以下になることが多いです。
つまり、英検準2級以上を取得していたとしても、そのメリットは数%になるということなので、埼玉県立高校を受験する場合には英検取得のメリットはあまりインパクトがありません。
参照:埼玉県教育委員会「令和6年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜基準」
千葉県
千葉県の公立高校受験の場合、一部の高校で英検取得の結果を加点する、または合否判定の判断材料とすることがあります。
どれくらい加点するかについては各高校ごとに異なりますが、加点される対象は英検4級〜準2級以上となっており、上位校では準2級以上を対象にしている学校が多いです。
ただ、千葉県の公立高校の中で、英検取得に対して優遇している学校の割合は少なく、総合的に考えると千葉県の公立高校を受験する場合には英検取得のメリットが少ないと言えます。
英検について得点化または総合的に判定する際の参考とする千葉県立高校(令和5年度)】 |
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千葉女子、千葉商業、千葉南、千葉北、柏井、犢橋、八千代、津田沼、船橋、船橋東、船橋啓明、船橋二和、船橋法典、船橋北、市川東、市川南、浦安、浦安南、鎌ヶ谷西、柏の葉、流山北、清水、関宿、我孫子東、成田北、下総、佐原、匝瑳、松尾、成東、東金商業、長生、茂原、木更津、市原緑、市立稲毛、市立船橋、市立松戸、佐倉南 |
岡山県
岡山県の一部の公立高校では、2月に実施する「特別入学者選抜」において、英検2級〜3級の生徒を対象に「その実績を重視した選抜を行う」としています。ただし、学力テストの結果が一定以上であることが条件とされており、その募集定員は5〜10名程度となります。
これらを総合的に考えると、岡山県の公立高校を受験する場合には英検取得のメリットは少ないと言えます。
岡山県立特別入試「重視する実績を示した選抜」を行う高校(令和5年度) |
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岡山一宮高校:理数科、岡山城東高校:普通科・国際教養分野、岡山南高校:国際経済科、岡山御津高校:キャリアデザイン科、倉敷天城高校:理数科、玉島高校:理数科、倉敷鷲羽高校:普通科・ビジネス科、玉野光南高校:情報科、井原高校:普通科・地域生活科、総社南高校:普通科・国際分野、備前緑陽高校:総合学科、邑久高校:普通科・生活ビジネス科、勝山高校:普通科、鴨方高校:総合学科、和気閑谷高校:普通科・キャリア探求科、矢掛高校:普通科・地域ビジネス科 |
奈良県
奈良県の公立高校受験の場合、英検取得の結果が調査書(内申書)の点数に対して加点されることがあります。対象は英検準2級〜3級以上になります。
ただし、実施されている高校が少なく、総合的に考えると奈良県の公立高校を受験する場合には英検取得のメリットは少ないと言えます。
奈良県で英検取得の結果を調査書成績に加算する高校(令和5年度) |
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奈良商工高校、二階堂高校、商業高等学校、宇陀高等学校、国際高等学校、奈良市立一条高等学校 |
私立高校受験でのメリット
私立高校では、英検取得がメリットとなるケースが沢山あります。特に、英語に力を入れている高校や英語学科などでは、英検取得の結果(概ね英検3級〜準2級以上が対象)により優遇する制度を設けていることが非常に多いです。
どのように加点・優遇するかは高校によって様々ですが、例えば、
- 学力テストの点数に加点する
- 調査書の点数に加点する
- 筆記試験の一部が免除になる
- 推薦入試の出願基準となる
などが挙げられます。
これらの優遇制度は、学校や学科によってかなり異なりますので、詳細については各高校のホームページなどで確認しましょう。
英検取得者を優遇している高校
英検取得者を優遇している私立高校は全国に200校以上あり、ここでは紹介しきれないので、英検ホームページの下記URLにて確認してみて下さい。都道府県ごとに検索できるので非常に便利です。
英検を取得するための勉強
英検の難易度
まずは英検の難易度について知っておきましょう。
英検は1級〜5級まで7段階の級に分かれており、難易度が異なります。
高校受験では3級以上の取得が目安となりますが、大きなメリットを受けるには準2級以上の取得が必要です。
英検3級までは中学生レベルの英語力でも十分取得は可能ですが、準2級以上となると通常の勉強だけでは難しいです。実際には、準2級で高校生中級レベルとされており、少し英語が得意なくらいでは全く歯が立ちません。
つまり、英検準2級以上を取得している中学生は、それなりの評価がされて当然と言えるでしょう。
英検対策のポイント(中学生の場合)
英検対策として勉強する場合、学校の定期テストなどとは違った取り組みも必要となります。
英検3級までは、必要となる単語の語彙数や文法などの知識量が高校受験をする場合とさほど変わらないのですが、英作文や面接(スピーキングテスト)は慣れていない人が多いと思いますので、しっかりと対策した方が良いでしょう。
英検準2級は高校中級レベルとされていますが、しっかりと対策していれば中学生でも合格できるレベルです。実際に上位高校を受験する中学生はかなりの率で合格できています。
英検2級以上になると、中学の教科書で扱われていない単語や文法が続出します。高校生になってから習うものが多く、英検用の問題集や参考書を購入して勉強するなどの特別な対策が必要です。
また、英検2級以上になると、リスニングやスピーキングテストの難易度もかなり上がります。学校の勉強だけでは対応できないので、特別な対策が必要となってきます。
中学生は、準2級以上の勉強を進めていくことでかなりの英語力を身に付けることができます。高校入学後のことを考えても絶対に無駄にならないので、チャレンジする意義は十二分にあるでしょう。
英検のための学習方法
リーディング
リーディングではまず第一に語彙力が重要になります。できるだけ沢山の単語や熟語を覚えていきましょう。英検3級では1,500〜2,500語、準2級なら2,500〜3,500語程度の語彙力が目安になります。
また読解のスピードも重要になります。一文一文日本語に訳すのではなく、英語を読んでそのまま理解する「直読直解」ができるようになることが目標です。
特に英検準2級以上の取得を目指す場合には、長文読解の難易度が高くなるので読解スピードが鍵になります。
英検の試験は、英作文以外はマークシート形式です。なるべく速く問題を解き進めていき、英作文や見直しの時間に余裕を作ることがポイントとなります。
ライティング
英作文は、英検3級であれば25〜35語程度の文章、準2級であれば50〜60語程度の文章を記述します。
どういった内容を書くのか考え、適切な単語や熟語を用いて文章を書き上げるまでに15〜20分程度の時間を確保した方が良いです。
英作文の問題は1問だけなのですが、1問あたりの配点も高く、一定以上の点数が取れないと合格できないとされています。
英検3級〜準2級の場合は、正確な文法や単語を用いてシンプルな英作文を心掛ければ大丈夫ですが、2級以上の場合は必要な文章量も多い(80〜150語)ので、文章全体の構成をしっかり考えて記述する必要があります。
基本的には、複雑で使い慣れていない表現は避け、自分が分かっている語彙や文法を用いて正確な文章を考え、なるべく減点を防ぐようにしましょう。
リスニング
リスニングの試験は、まず問題文を先読みし、あらかじめ内容を推測しておくことが有効です。
問題用紙は筆記試験の問題とリスニングの問題が1冊にまとまっているので、できる限り筆記問題を速く解き、見直しの時間と合わせてリスニングの選択問題を先読みするように工夫しましょう。
聞いてみてわからない問題があっても深く悩まず、直感でも良いのでどれかの選択肢をチェックし、次の問題に備えましょう。
考える時間が余り与えられないので、和訳するのではなく、英語を聞いてそのまま理解する直聞直訳を意識し、全体のイメージを捉えて素早く回答していくことが大切です。
スピーキング
英検のスピーキングテストは、一次試験の筆記試験に合格した人のみ実施され、面接官と1対1の対面式で7分程度の試験が行われます。
問題の内容は級が上がるごとに難しくなり、
- 応答内容
- 発音
- 語彙
- 文法
- 語法
- 情報量
などを評価されます。
スピーキングテストの出題トピックにはある程度の傾向があるので、過去問などを参考に準備しておきましょう。また、質問の内容がわからない場合でも、何かは答えるようにはしましょう。無言で終わってしまうと0点になってしまいます。分かる範囲で構わないので、ゆっくり正しく発音し、止まらずに話していくことがポイントです。
英検取得の適切な時期
英検には有効期限がありませんので、取得の時期は早くても構いません。小学生のうちに3級以上を取得することもよくあります。
中学生の場合は受験勉強もありますので、その時期とあまり被らないような時期が望ましいです。ですから、中学3年生の夏休みまでに取得しておくことが目安となります。
筆記試験の問題は、そのまま英語の受験勉強を兼ねている部分も多いので、英検対策自体が受験勉強の邪魔をするといったことはあまりありません。
英検取得が高校受験で有利に働くことはあっても、不利になることは全くありませんので、積極的にチャレンジしてみるとよいでしょう。
中学の間に英検2級を取得したい場合は、英検3級を中学1年生の間に、英検準2級を中学2年の間に取得しましょう。そして、中学3年生に英検2級を取得する、といった計画が妥当な目安になります。
まとめ
今回のコラムでは、高校受験において英検取得がどの程度有利になるのかを解説しました。総じて高校や地域によってメリットの強弱が異なりますので、志望する高校の受験要項を確認し、取得するかどうかを検討してみましょう。
英検準2級以上は、不可能ではないまでもそれなりに難易度が高いので努力が必要ですが、その分のメリットはあります。また、英検対策をすることで英語力を伸ばすこともできるので、積極的にチャレンジしてみることをお勧めします!
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