高卒認定試験は簡単すぎ?|難易度や合格率などについて詳しく解説
公開日:2024年7月8日
「高卒認定試験は簡単すぎる」と言われる理由について解説します。また、高卒認定試験の概要、難易度や合格率、メリットや注意点についても詳しく解説します。
高卒認定試験の受験を検討している方には必読の内容です。
高卒認定試験の概要
高卒認定試験は、自分のペースで学習を進めることができる柔軟な試験制度です。
高卒認定試験の受験を考えている方は、早めに情報を集め、計画的に準備を進めることが成功の鍵となります。
高卒認定試験とは?
高卒認定試験(旧・大検)は、日本において高校を卒業していない人が、大学入学資格を得るための試験です。
毎年、約2万人が受験しており、年間8千人程度が合格しています。この試験に合格することで、高校卒業と同等の学力があると認められ、高校を中退した人や中学校卒業後に進学しなかった人でも、大学や専門学校への進学の道が開かれます。
高卒認定試験の受験資格
高卒認定試験は、受験年度内に16歳以上になる大学入学資格のない人(例:中卒の人、高校を中退した人、高校に在籍しているが通学していない人)が受験できます。
18歳になる前に全ての科目に合格した場合は、18歳の誕生日から合格者になります。
高卒認定試験の難易度は?
高卒認定試験の難易度は「低〜中程度」とされています。
出題範囲は中学から高校1年生までの基礎レベルの内容です。そのため、基礎学力があれば合格は難しくありませんが、試験科目が多いため、計画的な学習が必要です。試験はすべてマークシート形式で行われ、合格点は40〜50点程度と比較的低く設定されています。
高卒認定試験の試験科目は?
高卒認定試験の合格に必要な試験科目数は、8〜9科目になります。(※理科の科目の選び方によって、合格に必要な科目数が変わります。)
令和6年度より、高卒認定試験の試験科目は変更になりました。
具体的には、試験科⽬、合格要件、免除科⽬、出題範囲が大きく変更されています。受験前には、下記の文部科学省のページで、詳細を確認しておきましょう。
参照:文部科学省「⾼等学校卒業程度認定試験における試験科⽬、合格要件、免除科⽬、出題範囲の変更等について」
令和6年度からの高卒認定試験の試験科目は下記の通りです。
ただし、高校や高専に通っていて一定の単位を取得している場合や、英検・数検・歴検などで一定以上の資格を持っている場合などは、試験科目を免除される場合もあります。条件が細かいので、詳細は下記にて確認してみて下さい。
参照:文部科学省「免除要件」
合格率の推移
高卒認定試験の合格率は毎年多少変動していますが、概ね50%前後で推移しています。
試験の内容や合格基準点の低さを考えると、この合格率はやや低く感じてしまいますが、これは、受験者の学力のばらつきや、全科目を一度に合格する必要がない(取り溜めができる)ことが影響しています。
例えば、複数回に分けて受験し、段階的に合格を目指すことができるため、合格率の推移には個々の受験の仕方も影響しています。
高卒認定試験を受ける方法|手続き~合否発表までの流れ
高卒認定試験の申し込みから結果発表までは、以下のような流れで進みます。
1. 受験申し込み
まず、受験案内と願書を入手する必要があります。
これらは、文部科学省の下記ウェブサイトから請求できます。受験案内には試験の日程、科目、申し込み方法などが記載されています。
また、文部科学省や各都道府県教育委員会等で直接受け取ることもできます。電話による請求はできないので注意してください。
2. 願書の提出
次に願書を作成し、必要な書類と共に、受験案内に同封されている封筒で、指定された期日までに簡易書留で郵送します。
出願書類には受験願書、履歴書、受験料(収入印紙)、証明写真、過去に取得した単位の取得証明書などが含まれます。
提出漏れや提出期限に遅れないよう注意しましょう。
3. 受験票の受け取り
願書が受理されると、文部科学省から受験票が送付されます。
この受験票には試験会場や試験日時、試験科目などが記載されています。試験当日も持参するので、大切に保管しておきましょう。
4. 試験当日の流れ
試験当日は、受験票と身分証明書を持参し、指定された会場で試験を受けます。
試験は2日間にわたって行われ、各科目50分の試験がマークシート形式で実施されます。
20分までの遅刻は許されますが、それを超えてしまうと受験できないので、試験会場には余裕をもって到着しておきましょう。
5. 合否の発表
試験終了後、約1ヶ月後に合否が分かります。
文部科学省より、郵送による結果発表がされ、合格者には「合格証書」が届き、一部科目の合格者には「科目合格通知書」が届きます。残念ながら合格科目がなかった人には、「受験結果通知」が届きます。
高卒認定試験が簡単すぎると言われる4つの理由
高卒認定試験は、様々な事情で高校に通えない人や高校中退者にとって、学業を再開し、進学や就職の道を開くための重要な機会ですが、その内容や試験制度が「簡単すぎる」と言われることがあります。その理由には、以下の要素が大きく関わっています。
1. 学力基準の低い
高卒認定試験は、中学校から高校1年生レベルの基礎的な学力を対象としています。
出題範囲は広いものの、内容は比較的簡単で、基本的な知識が問われる問題がほとんどです。このため、基礎学力を持っていれば十分に合格可能であり、多くの人が試験が「簡単すぎる」と感じるのも当然のことです。
また、問題の難易度も他の入試と比べて低いため、全体的に合格しやすい印象を与えています。
2. 合格点が低い
高卒認定試験の合格点は、各科目40〜50点と非常に低く設定されています。
この低い合格点は、他の多くの試験と比較しても非常に低い基準であり、これが、高卒認定試験が簡単であるとの印象を与える一因となっています。
また、全科目マークシート形式なので、記述問題や語彙の記述まで対策する必要がなく、この点においても易しいと言えます。
3. 1度にすべてを合格する必要がない
高卒認定試験は、1度にすべての科目に合格する必要はなく、複数回に分けて受験することが可能です。
この制度により、受験者は自分のペースで試験準備を進めることができます。例えば、最初の試験で得意科目を受験し、次回の試験で残りの科目を受験するなども可能です。
また、「一度に全科目を合格しなくてはならない」といったプレッシャーがないため、受験勉強の負担も大きく軽減されます。
これらの柔軟性が、試験の負担を軽減し、難易度を低く感じさせる一因でもあります。
4. 高校で単位を取得していれば科目が免除される
高校で既に取得した単位がある場合、その科目については高卒認定試験で免除され、受験する必要がなくなります。
これにより、試験で受ける必要のある科目数が減り、合格がさらに容易になることがあります。特に、既に高校で一定の学習を終えている人にとっては、負担が大幅に軽減されるため、試験が「簡単すぎる」と感じられることがあります。
高卒認定試験を合格する4つのメリット
高卒認定試験は、学び直しやキャリアアップを目指す多くの人々にとって、非常に価値のあるステップです。この試験を通じて得られる資格は、人生の多くの場面で重要なメリットがあります。
1. 大学などへ進学できる
高卒認定試験に合格することで、大学や短大、専門学校への進学の道が開かれます。
高校を卒業していない人でも、この高卒認定試験に合格することで、大学入学資格を得ることができます。
これにより、高等教育を受ける機会が広がり、自分の興味や関心に応じた学問を深めることが可能となります。例えば、大学や専門学校で専門的な知識やスキルを習得することで、将来のキャリアに役立ちます。
2. 一部の国家試験や公務員試験を受験できる
高卒認定試験に合格することで、大学などの入学資格を得るだけでなく、一部の国家試験や公務員試験の受験資格を得ることができます。
これは、高校卒業資格が求められる多くの職種や資格試験に対して、高卒認定資格が有効であることを意味します。
例えば、
- 国家公務員採用一般職試験
- 税務職員採用試験
- 衆議院事務局職員採用衛視試験
- 参議院事務局職員採用専門職(衛視)試験
- 裁判所職員採用一般職試験
なども受験可能です。
高卒認定資格を持つことで、これらの試験に応募する資格を得ることができ、就職の選択肢が広がります。
さらに、特定の専門職に必要な国家試験なども受験できます。
例えば、
- 幼稚園教員資格認定試験
- 小学校教員資格認定試験
- 高等学校教員資格認定試験
- 保育士試験
- 第一種衛生管理者免許試験
- 動物用医薬品登録販売者試験
なども、高卒認定資格を持つことで受験資格を得ることができます。
3. 就職の選択肢が広がる
高卒認定資格を持つことで、就職の選択肢が広がる場合があります。
多くの企業では「高卒」を採用の最低条件としていますが、高卒認定資格は大学や専門学校への進学資格を与えるものであり、高校卒業資格そのものではありません。
しかし、高卒認定資格を取得し、その後大学や専門学校へ進学することで、より広い職種に応募できるようになります。
また、資格取得は学習意欲や自己改善の意志を示す証拠となり、雇用主に好印象を与えることができます。
4. 自信がつく
高卒認定試験に合格することは、個人の達成感や自信を大いに高める機会となります。
合格に向けて計画的に学習し、目標を達成する経験は、自分自身の能力を再確認する良い機会となります。
また、試験勉強を通じて得た知識は、将来の学習や仕事に対する意欲や自信をさらに強化し、前向きな姿勢で新たな挑戦に取り組むことができるようになるでしょう。
高卒認定試験を受ける前に知っておくべき3つのこと
1. 学歴は中卒のままであること
高卒認定試験に合格しても、正式な学歴は「中卒」のままです。
高卒認定試験はあくまで大学や専門学校への入学資格を得るための試験であり、高校卒業資格そのものを取得するわけではありません。
つまり、高卒認定資格は、高等教育機関(大学・短期大学・大学院・高等専門学校・専門学校)への道を開くものですが、履歴書などで「高卒」と記載することはできません。この点を理解しておくことは重要です。
2. 簡単すぎるからといって油断は禁物
高卒認定試験は中学〜高校1年生レベルの内容で、合格点も低めに設定されています。しかし、これを理由に油断してしまうと、思わぬ苦戦を強いられることがあります。
高卒認定試験の試験範囲はかなり広く、科目数も8〜9科目にわたるため、計画的で長期的な学習が必要不可欠です。また、過去問の演習や基礎教材を用いた学習も必要となります。つまり、受験勉強と内容的にはあまり変わりありません。
3. 高卒認定試験の有効性と限界
高卒認定試験の合格は、大学や専門学校への進学資格を得るための有効な手段です。これにより、学び直しや新たなキャリアの選択肢が広がります。
しかし、その限界も理解しておく必要があります。
例えば、一部の企業や職種では、高卒認定資格を持っていても高校卒業と同等に評価されないことがあります。また、特定の資格取得においても、全日制高校卒業が前提となる場合があります。
したがって、高卒認定資格を活用する際には、自分の進みたい道や目指す職業においてどの程度評価されるかを事前に調査しておくことが重要です。
高卒認定試験に合格するための5つの対策
1. 過去問を活用する
高卒認定試験に合格するための最も効果的な方法の一つは、過去問を活用することです。
過去問を繰り返し解くことで、試験の出題傾向や問題の形式に慣れることができます。また、過去問には頻出のテーマや問題が含まれているため、効率的に学習内容を絞り込むことができます。
さらに、過去問を解くことで、自分の苦手な分野を把握し、重点的に復習することが可能です。
2. 100点満点を目指さない
高卒認定試験の合格点は40〜50点と比較的低く設定されています。そのため、全科目で100点満点を目指す必要はありません。重要なのは、各科目で必要な合格点をクリアすることです。
ですから、完璧を求めるのではなく、効率的に重要ポイントを学習し、確実に合格ラインを越えることを目標にしましょう。
試験範囲が広いことから、全体的にバランスよく学習を進めることが大切です。
3. 広くまんべんなく勉強する
高卒認定試験では、8〜9科目を受験する必要があります。
すべての科目で合格点を取るためには、特定の科目だけに集中するのではなく、広くまんべんなく勉強することが重要です。
各科目の基礎的な内容をしっかりと理解し、全体的にバランスの取れた学習を心がけましょう。
例えば、毎日の学習時間を複数の科目に分けて計画的に進めるなど、効率的に学習を進めることが求められます。
4. 根気強く勉強を続ける
高卒認定試験に合格するためには、学習を長期的に継続することが不可欠です。
高卒認定試験は、試験範囲がかなり広いため、短期間で準備することは難しいです。毎日少しずつ学習を続け、着実に知識を積み重ねることが必要となります。
その上では、計画的な学習スケジュールを立てることが重要となります。
学習計画を継続するためには、モチベーションの維持が大切です。学習目標を細かく設定し、達成できるように工夫しましょう。
モチベーション維持についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「勉強のモチベーションを上げる方法|テクニックを使ってやる気UP!」
5. 家庭教師を利用する
独学での学習に限界を感じる場合や、特定の科目で苦手意識がある場合は、家庭教師を利用することも一つの方法です。
家庭教師は個別指導で効率的に学習をサポートしてくれるため、短期間で効果的に学力を向上させることができます。
また、家庭教師は受験のプロフェッショナルであり、試験のポイントや効率的な勉強法も教えてくれるため、高卒認定試験に向けた学習がスムーズに進むでしょう。
まとめ
今回のコラムでは、高卒認定試験に焦点をあてて解説しました。
不登校などにより、高校には十分通えなかったが、将来のために大学か専門学校に進学したいという方は多いと思います。そのような場合、高卒認定試験が直接的な解決策となります。
このコラムが、高卒認定試験を検討している方への一助となれば幸いです。
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