偏差値って何だろう?|偏差値の意味や求め方(計算方法)を解説
公開日:2024年6月27日
中学、高校、大学を受験する時によく目にする「偏差値」。
そもそも偏差値とは何を表している数字なのでしょうか?このコラムでは、受験を控える生徒や保護者の方に、偏差値の意味や使われ方、偏差値の計算方法などをわかりやすく解説します。
偏差値とは?
偏差値の意味
偏差値は、特定の試験やテストにおける自分の成績を相対的に評価する指標となります。つまり、自分が全体の中でどの辺りの位置にいるかを正確に知ることができます。
例えば、偏差値が50であれば平均的な成績、偏差値が60であれば上位約15%に位置する成績、といったことが分かります。
また、偏差値は成績のばらつき(分布)の度合いも反映しているため、自分の成績が平均からどれだけ離れているかも把握することができます。
偏差値の使われ方
偏差値は、テストの点数だけでは見えない「相対的な学力を示す指標」であり、さまざまな場面で活用されています。
まず、志望校の選定において大いに役立ちます。
様々な塾や教育機関では学校ごとの偏差値を公開しており、また、模擬試験を受ければ自分の偏差値もわかり、自分の偏差値と比較して進学先を選ぶ際の参考にできます。
また、偏差値を用いることで、単純な点数だけでは見えない「学力の差」を把握することもできます。例えば、「問題が難しく平均点が低いテストで、高得点を取ることの価値」を正確に評価することができ、さらに、偏差値を定期的に確認することで、自分の学力の向上や低下を客観的に把握することもできます。
「偏差値」と「平均点」の違い
「偏差値」と「平均点」は、どちらも成績を評価するための指標ですが、意味や用途が異なります。以下にその違いを分かりやすく説明します。
まず、平均点は、全受験者の得点の合計を受験者数で割った値です。つまり、全体の成績の中心を示します。計算方法は以下の通りです。
平均点 =(全受験者の得点の合計)÷(受験者数)
例えば、5人のテストの得点がそれぞれ60点、70点、80点、90点、100点の場合、平均点は以下のように計算されます
(60+70+80+90+100)÷ 5 = 80(※平均点= 80点)
平均点は全体の得点の中心値を示しているので、全体の傾向を簡単に把握できますが、個々の成績の優劣やばらつきについて判断するには十分ではありません。
一方、偏差値は、成績のばらつきを考慮し、「個々の得点が平均点からどれだけ離れているか?」を示す指標なので、自分の成績が全体の中でどの位置にあるか(どれだけ優れているか)を具体的に把握することができます。
ですから、偏差値は受験校の選定や学習計画の立案にも役立ちます。
(※計算方法は後述しますが、一般の生徒では難しいかもしれません。)
偏差値から推定される学力の目安
偏差値で示される数値は、「受験者数の数」「受験者の学力レベル」「問題の難易度」などにより、異なることが多いです。ですから、同じ学校なのに偏差値の数値が違う、といったことがよくあります。
下記では、大まかな目安としてご紹介しています。
偏差値の求め方(計算方法)
偏差値の計算方法は複雑で難しく、一般の生徒では計算が難しいかもしれません。
また、正しく計算するには一定の条件を満たしておく必要があり、最低でも「自分自身や他の受験者の個々の点数」「全体の受験者数」が必要となります。
以下に、偏差値の求め方(計算方法)をご紹介します。
1. 平均点を求める
まずは、受験者の平均点を算出します。受験者の合計得点を受験者の合計人数で割ることで計算できます。
2. 標準偏差を求める
1. 各得点と平均点の差を求める
各受験者の得点から平均点を引きます。これで、各得点が平均点からどれだけ離れているかがわかります。
2. 差の二乗を計算する
各得点と平均点の差を二乗します。二乗することで、差が正の数になり、さらに大きな差が強調されます。
3. 二乗の平均を計算する
二乗した値をすべて足し、その合計を受験者数で割ります。これが「分散」と呼ばれる値です。
4. 分散の平方根を取る
最後に、分散の平方根を取ります。これが「標準偏差」の値となります。平方根を取ることで、元の単位に戻り、平均点からの典型的な離れ具合を示します。
3. 自分の偏差値を求める
1. 自分の得点と平均点の差を求める
自分の得点と平均点との差を計算します。これで、自分の得点が平均点からどれだけ離れているかがわかります。
2. 得点差を標準偏差で割る
自分の得点と平均点の差を標準偏差で割ります。これにより、得点差が標準偏差の何倍かを求めます。
3. 自分の得点と平均点の差を求める
最後に、50に得点差を標準偏差で割った値に10を掛けた値を加えます。これが偏差値です。具体的には、以下の計算式となります。
【補足】偏差値の計算方法|具体例を使った説明
上記の説明だけではわかりにくいので、具体例を使って説明します。
例えば、5人のテストの得点がそれぞれ、
A:60点、B:70点、C:80点、D:90点、E:100点
だったとします。
1. 平均点を計算する
この場合、平均点を計算する式は、
平均点=(60+70+80+90+100)÷5=80
となります。よって、平均点は80点となります。
2. 各得点と平均点の差を求める
次に、各自の得点から平均点を引きます。
A:60−80 = −20
B:70−80 = −10
C:80−80 = 0
D:90−80 = 10
E:100−80 = 20
となります。
3. 差の二乗を計算する
次に、上記2で計算した各差を二乗します。
A:(−20)² = 400
B:(−10)² = 100
C:0² = 0
D:10² = 100
E:20² = 400
となります。
4. 二乗の平均を計算する
次に、上記3で計算した二乗の数値の合計を受験者の人数で割ります。これが「分散」です。
分散 =(400+100+0+100+400)÷5 = 200
となります。
5. 分散の平方根を取る
次に、分散の平方根を取ります。これが「標準偏差」です。
標準偏差 = √200 ≈ 14.14
となります。
6. 偏差値を計算する
最後に自分の偏差値を計算します。
例えば、自分の得点が90点であった場合、偏差値の計算式は以下の通りです。
自分の偏差値 = 50 +{(90−80)÷ 14.14 }× 10 ≈ 57.07
従って、今回の場合の自分の偏差値は「57.07」ということになります。
まとめ
偏差値は何を示しているかわかりにくい側面がありますが、受験する上ではとても重要な指標となります。
一定の条件を満たせば自分で計算することもできますが、現実的には、模擬試験を受けてみて、その結果から分かる自分の偏差値と模擬試験を実施している塾や教育機関のデータ(学校の偏差値)を見比べ、志望校の選定に活かしていくことがお勧めです。
本コラムが、受験を控える生徒や保護者の方にとって有益な情報となれば幸いです。
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