不登校は単なる甘え??|不登校と甘えの関連性を考える

公開日:2024年3月4日

学校に行きたくない理由がはっきりしない場合、ただの甘えやわがままに見えてしまうことから、「不登校の理由はただの甘えなんじゃないか?」と感じる親御さんは多くいます。このコラムでは、不登校と甘えの関連性や、その対処方法について解説します。

不登校は甘えなのか?

不登校になる原因

お子さんによって不登校になる原因は様々です。学校での人間関係やいじめが原因である場合、その理由ははっきりしているのですが、一方で「何となく行きたくない…」など、はっきりとした理由を言わないケースも多くあります。
実際、文部科学省が公表している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和4年度)によると、「無気力、不安」という漠然とした原因が半分近くを占めています。このような漠然とした理由で不登校になった場合、親御さんから見れば「甘えているだけなんじゃないの?」「わがまま言ってサボりたいだけでしょ?」と映ってしまうかもしれません。

不登校になる原因ついてもっと知りたい方はこちら
「子どもが不登校になる原因と親の対応方法とは?」

参照:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

甘えが不登校に関連する可能性

特に小学校の低学年のお子さんに見られるケースとして、確かに「甘え」が根本的な理由となっていることは少なくありません。しかしながら、お子さん本人はそれを「甘えている」と思っておらず、本気で「学校に行きたくない」と感じていることは理解しなければいけません。
不登校の理由について「甘い」と考えるかどうかは、親の価値観や周囲と比較した時の一般論であって、お子さん本人がどう感じているか?に焦点を当てて考えていくことが大切です。
お子さんによって、性格や感じ方もそれぞれ異なります。ある人にとっては「そんなことで不登校になるなんて…」「それくらいのことは我慢しないと…」と感じることでも、お子さんにとっては「耐えがたいストレス」や「どうしても乗り越えられない」と感じてしまうような重大なことであったりします。

不登校につながる甘えの特徴

不登校の理由が「甘え」に見えるケースとしては、次のような特徴があります。

  • 塞ぎ込んでいる様子もなく、ただ学校に行きたがらない
  • 学校に行きたくない理由が幼稚すぎる
  • 感情的な態度で学校に行きたがらない
  • 朝起きることを嫌がっているだけに見える
  • 学校に行きたくない理由をはっきり言わない

このような場合、親から見ると「ただ甘えているだけ」のように見えてしまいがちです。
しかし、「学校に行くことが当たり前」「我慢できるはず」「サボりたいだけでは?」といった考え方は、一般論であったり親の主観的な考え方であることが多く、お子さんの気持ちをしっかり汲み取っていないことから生じる「決めつけ」である可能性もあります。

甘えから不登校になる過程と対応方法

1. 前兆期

甘えによる不登校になる前兆として、

  • 体調不良を訴え休みたがる、欠席しがちになる
  • 朝の準備がいつもより遅い、トイレが長い
  • 学校を休むことが決まると元気になる
  • 登校を促す人(親や先生)を避け、そうでない人(祖父母など)とはよく話す

などの行動が見られます。
お子さんは既にこの時点で、何らかの大きなストレスを抱え込んでおり、SOSを発信しています。微妙な変化であることが多いので見逃しがちになりますが、早期の解決を求めるのであれば、この前兆期で対応した方が良いです。

例えば、

  • 様子がおかしいと感じたら、優しく気持ちを聞いてあげる
  • 「無理して学校に行かなくて良い」と言ってあげる

などです。
お子さんが気持ちを打ち明けるまで待ったり、登校するよう促したりすることは避け、まずはつらい気持ちを聞いてあげて理解してあげることが大切です。

2. 進行期

不登校の進行期におけるお子さんは、次のような行動が見られます。

  • 学校に行かない日が続き、昼夜逆転していく
  • 友人とのコミュニケーション(SNSなど)が無くなる
  • 学校や勉強の話になると嫌がり、自分の部屋に閉じこもる
  • 落ち込んだ様子を見せるが、解決するような行動は見られない

進行期では不登校の生活が定着し、通学していた時とは全く違った生活パターンになります。休日や夜など「学校がない時間帯」では外に出歩いたりすることもありますが、全体的には閉鎖的になり、殻の中に閉じこもってしまうような行動に偏ります。

進行期におけるお子さんへの対応例としては、

  • 起床時間には声をかけるが、無理強いはしない
  • 家族での会話や行動(外出など)を増やし、なるべく閉鎖的にならないようにする
  • お子さんの気持ちを理解し、家族一緒に問題を共有する

などです。
進行期でのお子さんの気持ちはまだ弱った状態ですが、同時に、「不登校慣れ」していきやすい時期でもあります。
弱り切った気持ちに寄り添い配慮しつつも、腫れ物に触るかのような接し方になるのも良くありません。なるべく自然に接してあげ、元気を取り戻せるように粘り強く支援してあげることが大切です。

3. 混乱期

不登校の混乱期では、次のような行動が見られます。

  • 起床時間や就寝時間が正常化し、生活のリズムが戻り始める
  • 不登校の状態に慣れ、落ち込みや不安からは解放される
  • 不登校の状態に慣れ、学校や勉強のことなども話せるようになる
  • 家族と明るく話せるようになり、家庭訪問に来た先生とも話せるようになる

混乱期では「学校に行かなくては…」という気持ちから離れ、お子さんの気持ちは少しずつ安定していきます。「学校に行っていない」ということ以外は至って普通の状態に近くなり、家の手伝いや家族との会話も以前と同じようになっていきます。
ただ、この状態を良しとしてしまうと、「このままでいいや」といった膠着状態となり、不登校が完全に定着する可能性があります。前向きに進んで行くためには、この混乱期でのアクションが非常に重要となります。

混乱期におけるお子さんへの対応としては、

  • お子さんにできることから少しずつやってみる(勉強など)
  • 積極的に遊びや好きなことをやらせてみて、行動範囲を広げたり活発にさせる
  • できたことや良いところを積極的に褒め、自己肯定感の回復に努める

などです。
次のステップへの入口にいる状態なので、学校の先生と連携をとり、学校へ行くキッカケ(保健室登校や行事の参加など)を探るのも良いでしょう。

4. 回復期

不登校の回復期では、次のような行動が見られます。

  • 学校や勉強、進路について普通に会話ができる
  • 保健室登校や別室登校などに通い始める
  • 遅刻や早退もあるが、少しずつ登校できるようになる
  • 学校以外の施設(教育支援センター、フリースクールなど)に通い始める
  • 友だちとの会話も増え、学校などの話題も話すようになる

甘え・依存型の不登校のお子さんは、回復期に入っても嫌なことや苦手なことを避けたがる傾向は残りますが、得意なことや好きなことに対しては前向きに取り組んだりするようになります。

回復期におけるお子さんへの対応としては、

  • とにかく褒めて自信を付けてあげる
  • 上手くいかないことがあっても、一緒に乗り越え方を考えてあげる
  • 常に協力し、後方支援を意識する

などです。
回復期のお子さんは、不登校に至ったつらい気持ちを克服し、前に進もうとしています。親は、干渉しすぎず、かといって、無関心・放置にならないよう、優しく見守り背中をそっと押してあげながら寄り添うことが、お子さんの安心感と勇気につながっていきます。
焦らずゆっくり見守りながら応援してあげてください。

不登校になる「甘え」の原因と対策

自己解決能力を付ける|役割と責任を与えてみる

甘えによる不登校の要因として、自己解決能力の低さがあげられます。
親の接し方が過保護または過干渉であると、お子さんは「何かあれば親が全てやってもらえる」と考えるようになり、自分で解決する力が育たなくなることがあります。
特に、小学校に上がりたてのお子さんによく見られる傾向ですが、学校には親がいないことで不安を覚えたり、学校生活や友人関係で些細なトラブルが起きても自分で解決することができず逃げ出してしまうことがあります。このようなことがストレスとなってしまい、不登校へとつながるのです。

「自己解決能力」をつける対策としては、お子さんに適度な自由と責任を与えていくことが大切です。

  • 自分でできそうなことは、なるべく本人にやらせてみる
  • できない時は、全て親が代わりにやってしまったり、放置してしまうことは避け、一緒に解決に向けて協力・支援する
  • 問題が解決した時には、必ず努力や取り組みに対して褒めてあげる

例えば、家事の手伝いやペットの世話、持ち物の管理、学校の準備など、お子さんができそうな所から始めてみましょう。親が適切なサポートや指導を行いつつ、自分で物事を解決していく経験を積むことで、自信が付いていき、自己解決能力が向上します。
また、「これは自分でやることなんだ」と自覚することで、責任感も芽生え、お子さんの成長や自立につながります。

自己肯定感・自信を付ける|褒める

甘えによる不登校になるお子さんは、自己肯定感が低い傾向もあります。
学校生活では予期せぬトラブルや友人とのトラブルは付きものですが、自己肯定感が低いお子さんがそのような場面に直面すると過度に落ち込んだり、傷ついてしまったりします。平たく言えば「打たれ弱い」性格ということです。
そのような場面が積み重なると、「自分が悪いんだ…」「上手く対処する自信が無い…」「学校が怖い」という気持ちになり、不登校へとつながるのです。

「自己肯定感を上げる」ための対策としては、親がお子さんに対して肯定的に接し、彼らの努力や成果を認め、応援してあげる姿勢が大切です。
できないことを叱責したり、他の子(兄弟・姉妹や友人)と比較して「これくらいの事はみんなできてるのに」といった対応は、お子さんの自信を損ねてしまいます。
例えば、子供が困難な課題を乗り越えたり、スポーツや趣味で目標を達成したりしたときに、親が子供の努力や成果を積極的に認め、「よく頑張ったね!」「すごいね!」と褒めてあげることが大切です。
良い結果が出た時だけを褒めるのではなく、「継続できたこと」や「努力して取り組んだこと」自体を褒めてあげて下さい。
親が子供に対して「よく頑張ったね!」と褒めてあげることで、お子さんは自分の能力や価値を肯定的に捉えることができ、自己肯定感が向上します。お子さんが自信を持つことができるようになる為には、親からの積極的なサポートが最も重要になります。

親の接し方を変えてみる|甘えの克服

未就学児のお子さんは、親に甘えたがり、自分で解決できないことがあると、すぐに親を頼ってしまいます。この時期であれば一般的なことですが、一方で、お子さんは日々成長をしていかなくてはいけません。
子供が可愛いという想いから、ついつい「やってあげたい」「お世話したくなる」といった気持ちになり、それが長引くことで、いつしか「甘やかし」「過保護」になってしまっていることがあります。
お子さんは日々成長していき、いずれは学校へ通い始め、学校生活の中で「友人関係」「学校の勉強」「集団行動」などと上手く付き合っていかなければいけなくなります。その中では楽しいことも沢山あるのですが、反面、嫌なことや様々な問題にも直面していきます。その中で、お子さん自身が外の世界と上手く付き合っていくコミュニケーション能力を身につけていく必要があります。
お子さんの性格により様々ですが、お子さんの年齢や成長に合わせて少しづつ親の接し方も変化させていくことも必要です。
お子さんが自立して、1人で生きていくことができるように成長を見守り、親としてその時期に応じた接し方を変えていくことが、お子さんの甘えの克服につながっていくでしょう。

専門家による支援について

不登校のお子さんへの対応は、家族や親からのアプローチが基本となりますが、その方法に不安があったり悩んだ時は、外部の専門家によるアドバイスを受けることも大切です。親が全てを抱え込んでしまわない為の様々な相談窓口があるので、下記にてご紹介します。

スクールカウンセラーや担任からのアドバイス

不登校になった場合は、学校の担任やスクールカウンセラー(スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカー)と相談しましょう。
学校生活でのお子さんの様子や学習状況を聞くことで、本人の話とは違った視点での情報を知ることができ、客観的に状況を把握することができます。
また、スクールカウンセラーによる専門的なアドバイスは、問題を解決する上で様々なヒントになる可能性があります。

また、不登校になると学習面の遅れが心配ですが、担任の先生やスクールカウンセラーと相談することで、保健室登校(別室登校)やICTを活用した学習方法などについても検討することができます。特に混乱期や回復期にあるお子さんの場合は、学校との連携は欠かせません。家族だけではなく、学校とも連携することで、解決へ向けた道筋がスムーズになります。

公的機関からのアドバイス

各都道府県や市町村には、不登校のお子さんを支援している公的機関の相談窓口があり、無料で利用できます。各機関には不登校の専門家が在籍しており、お子さんの状況に合ったアドバイスや支援を受けることができます。

子育て相談窓口

全国の市区町村に設置されている相談窓口です。子育て全般について相談を受けており、不登校についての相談もできます。

教育支援センター(適応指導教室)

教育委員会等が運営する公的機関です。市区町村の施設などの中にあることが多く、利用料は無料です。
児童や保護者との教育相談、心理カウンセラーによる面談、不登校の児童が学校に通わなくても学習できる環境の支援、等を提供しています。

児童相談所(児童相談センター、児童家庭支援センター)

厚生労働省が運営する公的機関です。18歳未満の子どもやその家族を対象として、子育てやしつけの悩み、不登校、発達障害、子どもの行動上の問題などについて相談することができます。

ひきこもり地域支援センター

すべての都道府県・指定都市にある、行政が運営するひきこもりに特化した相談窓口です。(NPO法人などに委託しているケースもあります。)お子さん本人やご家族からの相談を受け付け、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって相談支援などを行います。

家庭教師の検討

不登校になったお子さんは、外出を嫌がることが多いですが、「自宅まで先生が通ってきてくれる」家庭教師は不登校のお子さんの学習に適しています。
家庭教師は1対1で指導が行われるので、周りの目を気にせず勉強できることに加え、お子さん一人ひとりの学力や学習状況に合わせてカリキュラムを組むことができます。不登校により遅れてしまった科目や単元にさかのぼって指導することもできます。
加えて、大学生の家庭教師であれば、お子さんのお兄さん・お姉さんのような存在として、勉強面だけではなくプライベートの面(趣味や遊びの相手、話し相手)でも良き相談者になってくれるメリットがあります。特に、混乱期や回復期にあるお子さんの場合、勉強への取り組みを始められる状態であれば検討してみるのも良いでしょう。

もっと知りたい方はこちら
【不登校コース】について

まとめ

特に低学年のお子さんは、「親離れができていない」「環境の変化に戸惑う」などが原因で、学校に行きたがらないことがあります。学校に行かせようとすると泣いてしまったり、しがみついて離れないなどの行動を起こすこともあります。
それを「甘え」「わがまま」と言えばそうかもしれませんが、現実にそうなっているのであれば、まずは状況を受け止め、お子さんの気持ちに寄り添い理解することが大切です。このコラムが、不登校になったお子さんが前向きに進むヒントとなれば幸いです。

この記事を企画・執筆・監修した人

家庭教師のマスター教務部

この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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