不登校からの高校受験|高校選びから内申書の対策までを徹底解説
公開日:2024年11月21日
お子さんが不登校の場合、「高校受験対策はどうすれば良いのだろうか?」「ちゃんと高校に進学できるのだろうか?」そんな不安を抱えている方は是非参考にしてみてください。不登校からの高校受験に関して、高校選びから、調査書(内申書)への影響、具体的な対策の方法まで詳しく解説します。
高校選びのポイント|志望校選びから対策まで
不登校からの高校受験を成功させるには、まず高校の種類を把握するところから始めましょう。高校にはいくつかの種類があり、受験の制度や入ってからの仕組みが種類ごとに違います。
また、不登校の生徒を積極的に受け入れている高校などもあるので、まずは種類別にそれぞれの高校の仕組みと、受験対策の仕方を見ていきましょう。
1. 全日制高校
全日制高校とは、平日の朝から夕方の時間に登校し授業を受ける一般的な高校のことです。高1から高3までの「学年制」になっていて、3年間で卒業できるカリキュラムが組まれていることがほとんどです。
「中学は不登校だったけど、高校からは全日制の高校に通いたい!」という生徒さんは、特に受験に関して不安な気持ちを抱いていることと思います。
しかし、中学で不登校になったとしても全日制の高校に合格することは可能です!では、実際にどのような点に気を付けて受験対策をすれば良いのか、一緒に見ていきましょう。
公立高校【全日制】
全日制の公立高校の場合、「学力試験+調査書」の結果で合否を決める高校がほとんどです。
調査書がどの程度反映されるかは高校によって違いますが、学力試験:調査書の配分が7:3や6:4という高校が多いです。またその調査書の点数(=内申点)とは別に、一般的な公立高校の場合「欠席日数の多い生徒は審議の対象とする」とされています。
基準となる欠席日数は高校ごとに異なりますが、要するに、審議の対象となると合格の可能性が下がってしまうということです。そのため、不登校の生徒さんが全日制の公立高校に合格するためには欠席日数に対しての対策(準備)が必要となります。
根本的な欠席日数への対策は後述しますが、ここでは受験に際しての具体的な対策を2つ紹介します。(ただし、令和5年以降、東京都や神奈川県など、調査書に出席日数の記載項目が無い形式に変更された地域もあります。)
1. 「不登校枠」を利用する
都道府県ごとに「不登校枠」という制度を設けていることがあります。
これは、「自己申告書」というものを高校に提出して、欠席理由を説明することにより、特別な配慮(欠席日数が不利に働きづらくなる)をしてくれるという制度です。ただし、「不登校枠」と言っても不登校の生徒用に別で合格の枠を用意しているわけではなく、あくまで不利になりづらくなるというだけです。
また、各都道府県ごとの制度なので、お住まいの地域の制度を確認する必要があります。
参照:東京都「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱の細目」第1-3 自己申告書の提出 、埼玉県「令和7年度埼玉県公立高等学校入学者選抜 不登校特別選抜について」
2. 調査書の「特記事項」を記載してもらう
調査書には「特記事項」というものがあり、そこに欠席日数に対する理由を記入する欄があります。例えば、「中学校の後半は登校できるようになってきていて、高校では通常登校ができると思われる」や「ケガ等の理由もあり欠席日数が多くなっている」などです。
しかし、「特記事項」を記載するかどうかは中学校の先生が決めることなので、記載してもらえるかどうかは中学校の先生の判断となります。
私立高校
一般的に、公立高校に比べると私立高校では調査書をあまり重んじないとされています。(推薦入試の場合は、出席日数が条件となる場合があります)
私立高校は学校ごとに募集要項が異なるため、不登校であることが受験で不利にならない学校を選んで受験することができます。いわゆる「オープン入試」と呼ばれるものがその1つで、これは内申点(調査書)をほとんど考慮せず、学力試験のみで合否を決定するというものです。また、「オープン入試のように考慮しないわけではないが、学力試験の方をかなり重視する」という学校も私立高校の場合は多く見られます。
高校受験の調査書についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」
2. 通信制高校
不登校からの高校受験を考える生徒さんから多く支持されるのが、通信制高校です。
通信制高校は、基本的に毎日の登校が無く、「スクーリング」と呼ばれる学校から定められた日だけ登校するというスタイルが一般的です。学習スタイルは授業形式ではなく、学校から渡される教材や、オンライン学習などを通じて単位を取得していくという方法になります。学校によりますが、学習の内容は比較的やさしめなことが多く、また、3年間の学年制では無いため、最短で3年間で卒業できる、ということになります。
受験の選抜方法としては、学力検査が無く「書類選考+面接」ということが多いです。通信制高校の場合は、不登校を経験した生徒を積極的に受け入れている学校も多く、不登校であることが受験においてマイナスに評価されることが無いので、有力な候補の1つとなります。
3. 定時制高校
不登校のお子さんにとって、定時制高校も候補の1つとなります。
定時制高校は、通信制高校とは異なり、毎日学校に登校します。全日制高校との違いは、「登校の時間帯が夕方〜夜にかけてが多いこと」と、「授業時間が4時間程度と短いことが多い」という点です。そのため、不登校を経験した生徒さんでも、少ない負担で学校に通うことができます。学習の内容も比較的やさしめな学校が多いです。卒業までの年数は3年〜4年と学校によってバラつきがあります。
受験の選抜方法としては、「学力試験+面接」という所が多いのですが、学力試験の結果はあまり重視しない学校が多いようです。
定時制高校も、不登校を経験した生徒を広く受け入れている学校と言えるので、有力候補の1つとなります。
4. チャレンジスクール
東京都にあるチャレンジスクールのような学校も候補の1つです。(※地域によって名称が異なります。例:パレットスクール(埼玉県)、フロンティアスクール(神奈川県))
チャレンジスクールは、「定時制でかつ単位制」となっており、不登校を経験した生徒や、高校を中退した生徒を対象にしている高校となります。授業は3部制で、朝・昼・夜から自分の好きな時間帯を選んで授業を受けることができます。学ぶ科目も単位制で幅広く選択できるような仕組みになっていて、3年〜4年で卒業できるカリキュラムが組まれています。
受験の選抜方法としては、学力試験は無く内申書も見られません。基本的には「作文+面接」が行われ、「志願申告書」という書類を提出することで選抜が行われます。
チャレンジスクールは、公立高校でありながら内申書が見られないという部分が特徴的で、私立に比べると学費も抑えることができるというメリットがあります。「チャレンジスクール」は東京都にしか無いのですが、埼玉県の「パレットスクール」や神奈川県の「フロンティアスクール」など、他の都道府県にも同様の高校が存在するので、お住まいの地域で確認してみてください。
5. エンカレッジスクール
東京都にあるエンカレッジスクールのような学校も有力な候補の1つです。(※地域によって名称が異なります。例:クリエイティブスクール(神奈川県))
チャレンジスクールとは異なり「全日制でかつ学年制」となっている高校です。「基本を確実に身に付ける」ことをテーマにしているため、通常の全日制高校とは異なり、授業は小人数制で行われ、学習内容はやさしめになっています。また定期テストが行われないことも特徴の一つです。
受験の選抜方法としては、「作文+面接+調査書」となります。調査書が見られる点がチャレンジスクールとは異なります。しかし、不登校であることがマイナスに働くことは少ないと思われるので、有力候補の1つと言えます。
「エンカレッジスクール」も東京都にある学校ですが、神奈川県の「クリエイティブスクール」など他の都道府県でも同様の高校があります。
不登校による「調査書(内申書)」への影響
不登校からの高校受験を成功させる上で、まずは高校選びに関して解説しました。
次に確認しておきたいのは、「そもそも不登校によって、調査書(内申書)へどのような影響があるのか?」ということです。「不登校だと高校受験で不利になるんじゃないか?」という漠然とした不安を抱えている方も多いでしょう。
調査書に記載される項目のうち、不登校と関わる部分は以下の2点となります。
1. 欠席日数
調査書には「欠席日数」が記載されます。
どの学年の内容が記載されるかは各都道府県によって異なり、中1から中3の3年間全てが記載される場合もあれば、中3のみが記載されるという場合もあります。前述の通り、一般的に公立高校の場合は「欠席日数の多い生徒は審議の対象とする」とされていますので、欠席日数が多いことは受験においてマイナスになり得ます。審議の対象となる基準は学校により異なりますが、3年間で欠席が30日以上、もしくは年間10日以上、というあたりが基準になることが多いようです。(ただし、令和5年以降、東京都や神奈川県など、調査書に出席日数の記載項目が無い形式に変更された地域もあります。)
2. 内申点
内申点とは、学校の成績(通知表の評価)を決められたルールにしたがって点数化したものです。内申点の計算方式や、どの学年から計算されるかというのは、都道府県ごとに異なります。また、内申点がどれくらいの割合で受験の合否に関わるかというのも高校によって違います。
不登校の場合、定期テストを受けられなかったことにより通知表の点数が下がり、結果内申点が悪くなるということが考えられます。
不登校からの高校受験|7つの具体的な受験対策
最後に、不登校からの高校受験を成功させるために、具体的にどのような対策をすれば良いのかを見ていきましょう。上記で述べた2点「欠席日数」と「内申点」の対策を中心に解説していきます。
1. できるだけ学校に顔を出す
欠席日数に関しては、少なければ少ないほど良いのが事実です。このコラムを見ている方は現在前向きに高校受験を考えている方がほとんどだと思いますので、頑張って少しでも学校に顔を出すように心がけてみてください。
「数時間だけ」「好きな科目だけ」出席することでも欠席扱いではなくなりますし、場合によっては「授業が終わった後に先生に顔を見せにいくだけ」でも欠席扱いではなくなることもあります。
まずは「何かの行事の際だけ」などでも大丈夫なので、「欠席日数を少しでも減らす」ことを心がけてみましょう。
2. 定期テストを受ける
学校の授業に行けていなくても、定期テストだけは受けておきたいところです。定期テストを受けないと、通知表の評価に大きく影響してしまいます。たいていの中学校では、相談すれば別教室や保健室等でテストを受けさせてくれることがほとんどですし、場合によっては自宅で受けさせてくれることもあるようです。
まずは中学校の先生に相談して、定期テストは受ける方向で検討してみましょう。
3. 提出物を出す
定期テスト同様、提出物も通知表に大きく影響を及ぼします。提出物はなるべく期限内に出すことを心がけましょう。
自分で学校に提出しに行かなくても、家庭訪問の際に先生に渡したり、親御さんが学校に届けに行く、という方法も取ることができます。
また、英検・漢検などの検定や、作文コンクールの受賞などもプラスに働く可能性があるので、積極的に取得するようにしましょう。
4. 保健室登校や適応指導教室・フリースクールの活用
学校の授業に出なくても、保健室やカウンセリング室に登校することによって「出席」と認められる場合もあります。
また、公的機関の教育支援センター(適応指導教室)や民間のフリースクールを利用することも考えられます。フリースクールとは、不登校の生徒が学校の代わりに通える施設のことです。ただし、フリースクールが出席扱いになるかどうかは、中学校側が決める形となり、フリースクールからの書類等も必要となります。
「保健室登校」「フリースクール」は、中学校側の判断となる要素があるので、まずは担任の先生などに相談してみることが必要です。
5. 不登校特例校へ転校する
不登校特例校とは、不登校の生徒を対象として独自のカリキュラムで授業を行う特別な学校のことです。公立と私立があり、現在はまだ数が少なく、首都圏に集中していますが、今後全国的に増加していくと考えられます。
授業時間数は、通常の中学校に比べ少なく、不登校の生徒が馴染みやすいカリキュラムが組まれています。
そして適応指導教室やフリースクールとの大きな違いは、「法律上の学校として認められている」という点です。そのため、出席扱いになるかどうか、といった心配がありませんし、中学校と同じようにそのまま卒業することができます。最近では、ICT教材を活用したオンライン学習で、自宅にいながら授業を受けることも出来るようになってきていて、利用者も増加しています。
6. 塾や家庭教師を利用する
内申点を上げるためには、定期テストで点数を上げることが一番の近道です。また、高校受験の際には学力試験を受ける必要があります。そのための対策として、不登校に強い塾や家庭教師を利用することも1つの手です。
特に家庭教師は、自宅での学習となるため、過去に不登校の生徒さんを数多く指導してきた経験がある所も多いです。自力で学力を向上させることが難しいと感じるようであれば、塾や家庭教師の利用を検討しても良いかもしれません。
7. 内申書をあまり重視しない高校を選ぶ
これは根本的な対策ではありませんが、不登校からの高校受験を成功させるうえでは重要な要素となります。
上述しましたが、内申書をどれくらい重視するかは都道府県や学校によってまちまちです。ですので、内申書の評価が心配な場合は、その評価割合が少ない高校を受験することも選択肢の1つです。
また、中学3年生の内申書のみを審査する高校もあるので、現在中学1、2年生の生徒さんは、中学3年時の出席日数や内申点を上げながら、そういった高校を探すことを検討すると良いでしょう。
中学生の不登校についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「不登校の中学生への正しい対処法|その原因と対策法や進学について」
まとめ
今回のコラムでは「不登校からの高校受験」をテーマに、高校選びのポイントから具体的な対策までを詳しく書かせていただきました。
現在不登校のお子さんでも、正しい知識を持って、焦らず確実に対策をしていけば、きっと自分にとってのベストな高校が見つかると信じています!
この記事が少しでも、不安を抱えているお子さんや親御さんの手助けになることを願っています。
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