不登校の理由がわからない中学生|原因を探るチェックリスト付き
公開日:2024年8月20日
不登校になった理由がわからない中学生は意外と多くいます。
このコラムでは、不登校の理由がわからない原因、代表的な不登校になる5つの理由、保護者のサポート方法について詳しく解説します。不登校の理由を予測するためのチェックリストもご紹介します。
不登校になる理由がわからない4つの原因
不登校の問題に直面したとき、親が最も悩むのは、その原因が明確でない場合です。
理由がはっきりしないまま、子どもが学校に行けなくなることは少なくありません。このような場合、原因を特定することが難しいため、どのように対応すれば良いのか困惑することも多いでしょう。
以下に、不登校になる理由がわからない場合に考えられる4つの主な原因について解説します。
1. 複数の理由が絡んでいる
不登校になる理由がわからない場合、原因が一つに絞れないケースがあります。
例えば、人間関係のストレスと勉強のプレッシャーが重なっている場合、どちらが主な原因なのか本人もはっきりと認識できないことがあります。加えて、家庭環境の変化や健康状態の影響などが複雑に絡み合い、原因が明確でない状態になることがあります。
このような場合、問題を一つずつ丁寧に紐解いていくことが重要です。どれか一つの要因だけでなく、複数の要因が絡んでいる可能性を考慮し、子どもと一緒にじっくり話し合うことが大切です。
2. 子ども自身も理由がわからない(無気力)
時には、子ども自身が「なぜ学校に行きたくないのか」が分からないこともあります。
これには、無気力感や漠然とした不安が関係していることがあります。特に思春期の中学生は、心や体の変化に伴い、自己理解が難しくなることがあります。その結果、自分の気持ちや行動の理由をうまく説明できず、周囲から見ても原因が不明瞭に感じられるのです。このような状況では、焦らずに子どものペースに合わせ、共感的に接することが求められます。
3. コミュニケーションが苦手
コミュニケーションが苦手な子どもは、自分の気持ちや悩みを他人に伝えることが難しく、それが不登校の一因となることがあります。
このような子どもは、言いたいことをうまく言葉にできず、結果的に不登校になってしまうことがあります。また、家庭や学校でのコミュニケーションの問題が原因で、自分の居場所を感じられなくなることもあります。
コミュニケーションが苦手な子どもには、言葉以外の方法で気持ちを表現する手段を見つけたり、信頼できる大人に相談できる環境を整えてあげることが重要です。
4. 学校の制度や環境が合っていない
学校の制度や環境が子どもの性格や特性に合わない場合も、不登校の原因となることがあります。
例えば、集団行動が苦手な子どもにとって、クラス全員で同じことをする環境は大きなストレスとなり得ます。また、学習内容や進度が自分のペースに合わないと感じることが、学校に通うことへの意欲を低下させる要因になることもあります。
このような場合、学校側との連携を深め、個々の子どもに適した対応策を模索することが必要です。場合によっては、別の教育機関や学びの場を検討することも選択肢となります。
中学生が不登校になる代表的な5つの理由
中学生が不登校になる背景には、さまざまな理由が考えられます。
それぞれの子どもにとって、何が一番の原因となっているのかを理解することは容易ではありませんが、代表的な理由について知っておくことで、早期に対処できるかもしれません。
以下では、中学生が不登校になる5つの主な理由と、それぞれに対応した簡易チェックリストを紹介します。
1. 人間関係に関する理由
学校生活において、人間関係は大きな影響を与えます。
友人関係のトラブルや部活動での上下関係、先生との相性などが原因で、不登校になることがあります。
思春期の敏感な時期において、他者との関係がうまくいかないと、学校に行くこと自体が大きな負担となることがあります。
簡易チェックリスト
✓ | 最近、友人とのトラブルが多い |
✓ | 部活動で先輩や後輩との関係に悩んでいる |
✓ | 先生との相性が悪いと感じている |
✓ | 学校に行くのが苦痛で、理由を聞かれても答えにくい |
✓ | 学校で孤立していると感じることがある |
2. 家庭環境に関する理由
家庭環境の変化や問題も、不登校の原因となることがあります。
親の離婚や家族の病気、経済的な問題などが、子どもの心に大きな負担をかけ、学校に行けなくなることがあります。また、過度な期待や厳しい家庭のルールもストレスの一因となることがあります。
簡易チェックリスト
✓ | 家庭内での大きな変化や問題が最近あった |
✓ | 家族の中での役割に負担を感じている |
✓ | 親の期待がプレッシャーになっている |
✓ | 家庭での居場所を見つけにくいと感じる |
✓ | 家族の誰かに頼るのが難しい |
3. 子どもの特性に関する理由
発達障害やゲーム・ネット依存症など、子ども特有の特性が不登校の原因となることがあります。特に発達障害のある子どもは、学校のルールや集団生活に適応するのが難しいことが多く、これが不登校につながることがあります。また、ゲームやインターネットへの依存が深刻になると、学校生活への興味や関心が薄れ、不登校になることもあります。
簡易チェックリスト
✓ | 発達障害と診断されたことがある |
✓ | ゲームやインターネットを長時間使用している |
✓ | 学校のルールや集団行動に馴染めない |
✓ | 反抗的な態度を取ることが度々ある |
✓ | ゲームやネットの使用制限に強い反発を示す |
4. 学業(成績不振、進路の不安)に関する理由
学業成績が思わしくない場合や、進路に対する不安が大きい場合も、不登校の原因となることがあります。
成績が悪くなると自信を失い、学校に行くことが辛くなる子どもも少なくありません。また、進路に対する漠然とした不安が大きくなると、学校に行く意味を見失うこともあります。
簡易チェックリスト
✓ | 成績が低迷している |
✓ | 勉強に対する意欲が湧かない |
✓ | 進路について漠然とした不安を抱いている |
✓ | 試験や宿題に対して強いストレスを感じている |
✓ | 学校に行くのが無意味に感じることがある |
5. コロナ禍を経験したことによる理由
コロナ禍における長期間の休校やオンライン授業は、多くの子ども達に影響を与えました。
再び学校に通うことが難しくなったり、人との接触を避けるようになったりするケースも増えています。
コロナ禍が引き金となり、生活リズムが乱れたり、学校に行くことに不安を感じるようになったりすることも不登校の原因として考えられます。
簡易チェックリスト
✓ | コロナ禍の影響で生活リズムが崩れた |
✓ | 学校に行くことに対して以前より不安を感じる |
✓ | 人と接触することに抵抗を感じるようになった |
✓ | オンライン授業の方が安心だと感じる |
✓ | コロナ禍以前と比べて、学校への興味が薄れた |
不登校の理由がわからない時に保護者がしてはいけない3つのこと
子どもが不登校になったとき、保護者としては何とかその理由を探り、解決策を見つけたいという気持ちが強くなります。しかし、焦って対処しようとすると、かえって子どもを追い詰めてしまうこともあります。
ここでは、不登校の理由がわからない時に保護者が避けるべき3つの行動について解説します。
1. 無理やり不登校の理由を聞き出そうとする
子どもが不登校になった理由を知りたい気持ちは理解できますが、無理に聞き出そうとすることは逆効果です。
子ども自身が理由をはっきりと認識できていない場合も多く、問い詰められることでストレスやプレッシャーを感じ、ますます心を閉ざしてしまうことがあります。
子どもが話す準備が整うまで、無理に理由を聞き出そうとせず、自然な対話の中で少しずつ気持ちを引き出していくことが重要です。
2. 周囲に子供が不登校になった理由を聞いて回る
子どもが不登校になった理由について、学校の先生や友人、部活動の関係者などに理由を聞いて回ることは、逆効果になる可能性があります。なぜなら、このような行動が子どもに伝わると、自分の悩みが広められていると感じ、親子の信頼関係が損なわれることがあるからです。
ですので、できるだけ子どもの気持ちを尊重し、まずは家庭内で信頼関係を築きあげた上で、落ち着いた環境で話し合うことが大切です。
3. 理由を言わないことや学校に行かないことを頭ごなしに怒る
不登校に対する焦りや不安から、保護者が感情的になって子どもを責めたり、怒ったりすることは、さらに状況を悪化させる可能性があります。
頭ごなしに叱ることで、子どもは自分が悪いことをしていると感じ、ますます心を閉ざしてしまいます。
子どもの気持ちや状況を理解し、共感的な態度で接することが、問題解決への第一歩です。まずは子どもの話を聞き、理解しようとする姿勢を大切にしましょう。
不登校の理由がわからない時に保護者ができる6つのサポート
不登校の原因がはっきりしないとき、保護者としてはどのようにサポートすべきか悩むことが多いでしょう。しかし、適切なサポートを提供することで、子どもが再び学校生活に戻るための大きな手助けとなります。
ここでは、不登校の理由がわからないときに保護者ができる6つの具体的なサポート方法についてご紹介します。
1. 子供の「安全基地」になる
子どもにとって家庭が「安全基地」となることは、不登校になった子どもの心の安定にとって非常に重要です。
「安全基地」とは、「子どもが心から安心できる場所」「何があっても自分を受け入れてくれる存在がいる場所」のことです。家庭がこの役割を果たすことで、子どもは外の世界で感じるプレッシャーやストレスから解放され、気持ちを落ち着けることができます。
また、子どもが自分の気持ちを話したいと思ったときに、いつでも聞いてくれる存在がいると感じさせることが、信頼関係を築くために必要です。
親が焦らず、子どものペースを尊重しながら接することで、子どもは安心感を持ちやすくなります。
2. ゆっくりと休ませる、ストレスになりそうなことから遠ざける
不登校の原因が明確でない場合、まずは子どもを休ませることが大切です。
学校に行くこと自体がストレスになっている場合や、友人関係や学業のプレッシャーが影響している場合、これらから一旦距離を置くことで、子どもは心身の疲れを癒すことができます。
子どもが休むことに対して罪悪感を感じないように、親が「今はしっかり休むことが大切」と伝えることも重要です。また、子どもにとって負担となる環境や活動を避け、心地よい時間を過ごせるように工夫しましょう。
例えば、家族でリラックスできる活動を一緒に楽しむ、自然の中で過ごす時間を作るなど、ストレスを軽減する方法を見つけてあげることが大切です。
3. 自己肯定感が下がらないように注意する
不登校になると、子どもは自分を否定的に捉えがちになります。
「学校に行けない自分はダメなんだ」と感じることで、自己肯定感が大きく低下してしまいます。これが続くと、子どもはさらに自己評価を下げ、無力感や絶望感を抱きやすくなります。
保護者としては、子どもの自己肯定感を支えるために、日々の小さな成功や努力を認めてあげることが重要です。
「今日は部屋の掃除ができたね」「自分の気持ちを話してくれて嬉しいよ」など、子どものポジティブな行動を褒めることを意識しましょう。また、子どもが何かに挑戦したときには、その挑戦自体を評価し、「あなたは素晴らしい」と伝えることが大切です。
自己肯定感が保たれることで、子どもは少しずつ前向きな気持ちを取り戻すことができます。
4. 昼夜逆転しないように管理する
不登校期間中に生活リズムが乱れ、昼夜逆転してしまうことはよくあります。
夜更かしをして朝起きられなくなると、学校に通うことがさらに難しくなり、悪循環に陥る可能性があります。これを防ぐために、保護者が生活リズムの管理をサポートすることが必要です。
朝起きる時間を決めて、同じ時間に起きるようにすることから始めましょう。
昼夜逆転を防ぐためには、夜にリラックスできる環境を整え、睡眠の質を高める工夫も重要です。例えば、寝る前にスマートフォンやタブレットを使用しない、温かいお風呂に入る、軽いストレッチをするなど、リラックスできる夜のルーティンを作ることが効果的です。
また、朝起きたらカーテンを開けて自然光を浴びるなど、規則正しい生活を意識することで、徐々に昼夜逆転を改善することができます。
5. コミュニケーションの量を増やす
不登校になった子どもは、周囲とのコミュニケーションを避ける傾向が強くなることがあります。しかし、親子のコミュニケーションは、子どもが心を開くための重要な要素です。
子どもが自分の気持ちや考えを話しやすい環境を作るためには、親が積極的に話しかけ、日常的な会話を増やすことが求められます。
コミュニケーションを取る際には、無理に話を引き出そうとするのではなく、自然な会話を心がけましょう。例えば、子どもの好きな話題や趣味について話すことで、子どもがリラックスして会話できるようになります。
また、親が子どもの話にしっかり耳を傾け、共感的な態度を示すことが重要です。「それは大変だったね」「その気持ち、わかるよ」といった共感の言葉をかけることで、子どもは自分の感情が受け入れられていると感じ、信頼感が高まります。
6. カウンセリングや専門家のサポートを利用する
不登校の問題は、家庭だけで解決するのが難しい場合もあります。その際には、専門家のサポートを利用することが有効です。
以下に、保護者が頼れる3つの専門的なサポートについて詳しく説明します。
担任の先生、部活の顧問の先生
学校内での子どもの状況を最もよく理解しているのが、担任の先生や部活の顧問の先生です。
彼らは、子どもとの関わりの中で得た情報を基に、適切な対応策を提案してくれることが多いです。保護者が不安や悩みを率直に相談することで、学校と連携して子どもに合ったサポートを提供することができます。
また、学校での対応や取り組みについても理解を深め、子どもが学校に戻りやすい環境を作るための協力を得ることができます。
スクールカウンセラー
スクールカウンセラーは、心理的なサポートを提供する専門家です。子どもが抱えている不安や悩みを整理し、適切なアプローチで解決策を見つける手助けをしてくれます。
子どもが直接話をすることで、自分の気持ちを整理し、解放する場を提供してくれるため、非常に重要な役割を果たします。また、保護者にも助言を与え、家庭でのサポート方法について具体的なアドバイスを受けることができます。
不登校の専門機関
不登校の問題に特化した専門機関では、経験豊富なスタッフが子どもや家庭に対して総合的な支援を提供します。
専門機関では、子どもの心理状態の評価や、個別のカウンセリング、学習支援プログラムなどが行われ、個々の子どもの状況に合わせたサポートが提供されるため、長期的な視点で不登校の問題に取り組むことができます。また、同じような悩みを持つ保護者や子どもとの交流を通じて、支え合いながら解決策を見つけていくことが可能です。
子育て相談窓口
全国の市区町村に設置されている相談窓口です。お住まいの市役所や区役所にてご確認ください。
子育て全般について相談を受けており、不登校についての相談もできます。
教育支援センター(適応指導教室)
教育委員会等が運営する公的機関です。
不登校の生徒が学校に通わなくても学習できる環境の支援、生徒や保護者との教育相談、心理カウンセラーによる面談等を提供しています。市の施設など、公の建物の中にあることが多く、利用料は無料です。
児童相談所・児童相談センター・児童家庭支援センター
厚生労働省が運営する公的機関です。
18歳未満の子どもやそのご家族を対象として、子育てやしつけの悩み、不登校、発達障害、子どもの行動上の問題などについて相談することができます。
ひきこもり地域支援センター
すべての都道府県・指定都市にある、行政が運営するひきこもりに特化した相談窓口です。(NPO法人などに委託しているケースもあります。)
ひきこもり本人やご家族からの相談を受け付け、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって相談支援などを行います。
不登校の親の会
全国の民営団体やNPO法人が運営している「親の会」です。有料である団体がほとんどで、検討の際は確認が必要です。
不登校のお子さんを持つ親御さんが集まり、情報交換やお悩み相談などが行われています。
専門的なカウンセリングというよりは、同じ境遇の親御さん同士で繋がり、気兼ねなく話し合う場として利用されています。
まとめ
不登校の中学生の中には、その理由がはっきりしない場合も少なくありません。
子どもたちが学校生活で多くの困難に直面していることが一因と考えられますが、具体的な原因が明確でないこともあります。しかし、適切な理解と支援を提供することで、不登校のリスクを減らし、子どもたちが自信を持って学び続ける環境を整えることが可能です。
保護者や周囲の大人が子どもの状況を理解し、共に成長を支えることで、子どもたちの未来はより明るくなるでしょう。このコラムが、不登校の理由がわからない中学生を持つ保護者の方への支援方法のヒントになれば幸いです。
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