保健室登校とは?|不登校から教室復帰するまでの流れを解説

公開日:2024年8月29日

不登校になった子どもの保護者の方に、保健室登校の仕組みや行われる内容、メリットやデメリット、教室復帰するまでの流れ、について分かりやすく解説します。
保健室登校は、不登校の子どもが復学するためのステップとして重要な役割を果たしています。

保健室登校とは何ですか?

保健室登校とは、学校に通いたい気持ちはあるものの、教室で過ごすことに不安やストレスを感じる子どもたちが、保健室で学習や学校生活を送ることができる制度です。
通常の教室とは異なる、リラックスできる環境で過ごすことで、徐々に学校生活に馴染むステップを踏むことが目的です。この制度は、子どもたちが学校に通い続けるための一時的な支援策として導入されており、不登校状態からの回復を目指す手段の一つとされています。

保健室登校の仕組み

保健室登校は、通常の教室ではなく保健室を学習の場として提供することで、子どもたちが無理なく学校に通えるようにする仕組みです。
学校の保健室には保健の先生スクールカウンセラーが常駐しており、子どもたちが心身のサポートを受けながら過ごすことができます。登校時間や滞在時間は柔軟に調整されることが多く、子どもの状態に合わせたスケジュールが組まれます。
保健室登校は、最終的には教室復帰を目指しつつも、子どもたちのペースを尊重しながら進められるのが特徴です。

保健室登校で行われる内容

保健室登校では、基本的な学習や個別のサポートが行われます。
授業の内容に沿った学習プリントを使って勉強したり、個別指導を受けたりすることが一般的です。また、子どもたちは保健の先生やカウンセラーと話をする機会もあり、心のケアや心理的サポートが提供されます。保健室では、リラックスできる雰囲気の中で、読書をしたり、軽い運動を行ったりすることもあります。
これらの取り組みにより、子どもたちは徐々に学校生活に慣れ、教室への復帰を目指す準備を整えていきます。

保健室登校と類似した仕組み(別室登校、放課後登校)

保健室登校に似た仕組みとして、別室登校や放課後登校があります。

別室登校

保健室以外の特別な教室や個別の学習スペースで学習を行う制度です。
ここでは、他の生徒と接触する機会を減らし、個別に指導を受けながら学習を進めることができます。
別室登校は、保健室ではなく、より学習に集中できる環境を提供することを目的としています。

放課後登校

通常の授業時間帯を避け、放課後に学校に通う制度です。
教室に入ることが難しい子どもたちが、学校の静かな時間に登校し、学習やサポートを受けることができるため、プレッシャーを感じにくいのが特徴です。
放課後登校は、他の生徒との接触を避けたい場合や、学校への抵抗感を和らげるために利用されます。

保健室登校の4つのメリット

保健室登校は、学校生活に戻るための重要なステップとして、多くの子どもたちにとって大きなメリットを提供しています。親としては、子どもたちが安心して学校に通えるよう、保健室登校の利用を前向きに検討し、支援していくことが大切です。
以下では、その中でも特に重要な4つのメリットについて詳しく解説します。

1. 学校生活を維持できる

保健室登校の最大のメリットは、子どもたちが学校に通う習慣や学習のリズムを維持できる点です。
通常の教室に行くことが難しい場合でも、学校に足を運ぶという行為を続けることで、日常のリズムが崩れることを防ぎます。これにより、子どもたちは完全に学校生活から離れることなく、徐々に教室に戻るための準備を進めることができます。
また、保健室での学習は、個別対応やペースに合わせた指導が行われることが多く、教室での授業に参加することが難しい子どもたちでも、学習習慣を保つことができます。これにより、学習面での遅れを最小限に抑えつつ、将来的に教室復帰を目指すことができるのです。

2. 子どもの孤立やひきこもりを防ぐ

保健室登校は、子どもたちが学校という社会的な場に繋がり続けることを可能にします。
不登校によって家庭に引きこもりがちになったり、孤立してしまうことを防ぐために、保健室という安心できる場所が提供されているのです。
ここでは、他の生徒と接触する機会が少ないため、無理なく学校に通うことができ、社会的な疎外感や孤独感を軽減することができます。さらに、学校に通い続けることで、学校行事や友人との交流の機会が完全に失われることを防ぎます。
これにより、子どもたちが学校外での孤立を深めることなく、少しずつ社会的な関係を築くことができるのです。

3. 出席として認められる

保健室登校は、学校によっては正式な出席として認められることが多く、出席日数にカウントされます。
高校生の場合、出席日数は成績・進級・卒業に影響を与える重要な要素であり、不登校の状態が続くと、留年や退学の可能性があります。また、中学生の場合は、出席日数が内申点や受験に影響することも多く、注意が必要です。しかし、保健室登校を利用することで、出席日数が確保されるため、子どもたちは進級や進学に向けての不安を軽減できます。
さらに、保健室登校が出席として認められることにより、子どもたちは「学校に通っている」という自己肯定感を得ることができ、学習意欲や学校生活へのモチベーションを維持する助けとなります。

高校生の不登校についてもっと知りたい方はこちら
「高校生の不登校はやばい!?|その理由と対策方法について」

4. 専門的なサポートが受けられる

保健室登校では、保健の先生や学校カウンセラーといった専門的なスタッフからのサポートを受けることができます。これにより、子どもたちは心理的なケアや健康面でのサポートを受けながら、安心して学校生活を送ることが可能です。
専門的なサポートを受けることで、子どもたちは自分の不安や悩みを適切に理解し、解決への手がかりを見つけることができます。
また、定期的なカウンセリングや相談を通じて、自己理解を深めたり、ストレスを軽減する方法を学んだりすることができるため、教室復帰への準備が整いやすくなります。

保健室登校の3つのデメリット

保健室登校には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、その中でも特に注意が必要な3つのデメリットについて詳しく解説します。

1. 周りの目が気になる

保健室登校を選択する子どもたちは、他の生徒や周囲の人々からの視線や偏見に対して敏感になることがあります。
「なぜ保健室に通っているのか」といった疑問や好奇の目にさらされることで、子どもたちは自分の状況に対して恥ずかしさや不安を感じることがあります。特に思春期の子どもたちにとっては、友人やクラスメートからの理解が得られないことで孤立感を深める原因にもなりかねません。
また、保健室登校が長引くと、他の生徒との交流が減少し、友人関係が疎遠になる可能性もあります。これがさらに不安やプレッシャーを生み、教室復帰を難しくする要因となることもあります。

2. 学習の遅れが出やすい

保健室登校では、通常の教室で行われる授業と同じ進度で学習することが難しい場合があります。
教室での授業に参加できないことで、学習内容の理解が不足したり、課題やテストに対する準備が不十分になることが考えられます。特に、グループワークやディスカッションといった教室での活動が重要な科目においては、学習の遅れが顕著に表れることがあります。
また、保健室登校での学習環境は、個別対応が基本となるため、他の生徒と同じ進度で学習を進めることが難しい場合があります。これにより、学力の差が広がるリスクがあり、教室に復帰した際に追いつくことが困難になることも考えられます。

3. 自己肯定感の低下

保健室登校が長期化することで、子どもたちが自分自身に対する自信や自己肯定感を失う可能性があります。
「自分は他の子と違う」「教室に戻れない自分はダメなんだ」といった否定的な感情が芽生えることがあり、これが自己肯定感の低下につながります。また、保健室に通うこと自体が「普通の学校生活を送れない自分」という意識を強め、自己評価が下がる原因となることもあります。
自己肯定感の低下は、子どもたちの心の健康に大きな影響を与え、教室への復帰がさらに遠のく結果になることがあります。このため、保健室登校中でも子どもたちの自己肯定感を高めるサポートが重要です。

保健室登校から教室復帰するまでの流れ

保健室登校を利用している子どもたちが教室に戻るまでのプロセスは、段階的に進めることで無理なく復帰を目指すものです。それぞれのステップについて詳しく解説します。

STEP1:教室復帰を目標として定める

まず最初に、子ども、保護者、そして学校の先生が一緒に教室復帰を目標として定めます。
これは、単に「教室に戻る」という漠然とした目標ではなく、具体的で現実的な目標を設定することが重要です。
例えば、最初は「週に一度、教室の授業を受けることから始める」や「まずは得意な科目の授業にだけ参加する」など、子どもの状態に合わせた小さな目標を立てます。
この段階では、子どもが自分自身の不安や恐怖を乗り越えられるよう、無理のない範囲で目標を設定することが重要です。また、目標設定にあたっては、子どもの意見を尊重し、納得のいく形で進めることが求められます。
このプロセスは、教室復帰に向けた最初のステップとして、非常に大切な段階です。

STEP2:保健室登校を継続する

目標が設定された後は、引き続き保健室登校を継続します。
このステップでは、子どもたちが安定して学校に通える状態を維持しながら、次のステップに進む準備を整えます。保健室では、保健の先生やカウンセラーが、子どもたちの心身の状態を見守り、必要に応じてカウンセリングや相談を行います。
学習面では、個別に対応しながら、教室での授業に参加するための準備を進めます。例えば、授業内容の補習や復習を保健室で行い、教室に戻る際の学習面での不安を軽減します。
この段階での継続的なサポートが、子どもたちにとって教室復帰をスムーズに進めるための土台となります。

STEP3:給食や休み時間だけ教室で友達と過ごす

保健室登校に慣れてきたら、次のステップとして、給食や休み時間に教室で友達と過ごす機会を設けます。
これは、教室の雰囲気に少しずつ慣れることを目的としており、短時間でも教室に足を踏み入れることで、子どもたちが少しずつ教室に戻る自信をつけることができます。
この段階では、友達との交流を再開することが大切です。友人関係の再構築は、子どもたちが孤立感を和らげ、学校生活への意欲を取り戻すための重要な要素となります。
最初は給食や休み時間のようなリラックスした時間帯から始め、徐々に教室内で過ごす時間を増やしていくと良いでしょう。

STEP4:一部の授業だけ参加してみる

給食や休み時間に教室で過ごすことに慣れてきたら、次に一部の授業に参加する段階に進みます。
最初は得意な科目や興味のある授業から参加し、子どもたちが無理なく授業に参加できるようにします。このステップでは、授業の選択にあたっても、子ども自身の意見を尊重し、少しずつ参加する授業の数を増やしていきます。
教室に参加する授業の選択にあたっては、子どもの興味や得意な分野を考慮し、できるだけ成功体験を積むことができるよう配慮します。例えば、最初は美術や音楽、体育などの比較的ストレスの少ない授業から始めることも有効です。授業に参加することで、少しずつ教室での学習に慣れていきます。
また、教室内でのサポート体制も重要です。担任の先生や教科の先生が、子どものペースに合わせた配慮を行い、必要に応じて特別なサポートを提供することが求められます。

STEP5:教室復帰する

最後に、全ての授業に参加できるようになったら、完全な教室復帰となります。この段階では、子どもたちは再び通常の学校生活に戻ることができ、保健室登校からの移行が完了します。
しかし、教室に完全に戻った後も、必要に応じて保健室を利用できるようにしておくことで、子どもたちが安心して学校生活を続けられるような支援体制を維持することが大切です。
教室復帰後も、子どもたちが新たな不安やストレスに直面することがないよう、保健の先生やカウンセラー、担任の先生が引き続き見守りながらサポートを行うことが求められます。
また、保護者との連携も重要であり、家庭と学校が協力して子どもたちの学校生活を支えることが、教室復帰の成功に繋がります。

まとめ

保健室登校は、学校に通いたい気持ちはあるものの、教室での生活に不安や抵抗を感じる子どもたちにとって、大切なステップとなります。
それぞれのステップを通じて、子どもたちは少しずつ自信を取り戻し、学校生活に対する前向きな気持ちを育んでいくことができます。また、保護者や学校関係者が一丸となってサポートを続けることで、子どもたちは安心して教室復帰を果たすことができるでしょう。

この記事を企画・執筆・監修した人

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