小学生が不登校になる6つの原因と、親ができる7つのサポート

公開日:2024年7月2日

過去10年間で不登校の児童は急速に増えています。文部科学省が公表した令和5年10月の最新データにおいても、過去最高数を更新しました。
不登校になった小学生のお子さんに対して「どのように向き合えば良いか?」と悩み戸惑う保護者の方のために、その原因や親の対応方法、やってはいけない注意点、学習支援方法などを最新データから分析し詳しく解説します。

目次

小学生の不登校とは?【令和4年最新データ】

不登校の定義

文部科学省では、不登校児童生徒を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。
つまり、病気や経済的な理由以外で30日以上欠席した場合は、「不登校児童」として扱われます。

不登校の小学生の人数と割合

文部科学省が令和5年10月に公表した最新データ「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、全国の在籍小学生6,196,688名のうち、不登校の小学生は105,112名(全体の1.7%)とのことです。不登校児童生徒数は10年連続で増加し、過去最多となっています。

不登校の小学生の内訳としては、

  • 欠席日数が30〜89日の児童|58,218名(55.4%)
  • 90日以上欠席している児童|46,894名(44.6%)
    • うち出席日数が11日以上の児童|38,865名(37.0%)
    • うち出席日数が1〜10日の児童|5,119名(4.9%)
    • うち出席日数が0日の児童|2,910名(2.8%)

とのことです。

このデータから、年間欠席日数3ヶ月未満の児童が約半数を占めており、また、「ほとんど出席していない児童=出席10日以下」の割合は少ないことが分かります。
不登校になっても、保健室登校や教育支援センター、ICTの活用など、何らかの形で出席していることが考えられます。(※これらについては詳しく後述します)

参照:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

不登校児童数の推移

小学生の不登校は年々増加傾向にあります。
下記に、最新データから10年間分を一覧表にまとめてみました。

不登校児童数の推移|過去10年

これらの表からも、不登校の児童数は年々増加しており、その割合も増加していることがわかります。令和2年から新型コロナウイルスの流行により、その増加ペースは急激に加速したようです。
近年、不登校であることは特別なことではありません。お子さんの状況に合わせて、柔軟に対応していくことが大切です。

小学生が不登校になる6つの原因

次に、小学生のお子さんが不登校になる原因について、データを元に解説していきます。
まず、文部科学省が公表しているデータでは、小学生が不登校になる要因は下記の割合となっています。

参照:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和4年度)

約半数が「⑬無気力、不安」といった漠然とした理由なのですが、これは中学生のデータでも同様です。
一方で、小学生の不登校の特徴として、「⑩親子の関わり方」が原因となる割合が高い(12.1% ※中学生では4.9%)ことに注目すべきでしょう。同時に、「⑫生活リズムの乱れ、あそび、非行」も12.6%と高い比率を示しています。
これらは学校での出来事ではなく、家庭やプライベートの問題に起因しています。
不登校とは「学校に行きたくない」ということなので、ほとんどの原因は学校にあるのでは?と思ってしまいがちですが、「実際はそうではない」という事実がデータを通してはっきりと見えてきます。
ただし、お子さんが不登校になる理由は一人ひとり異なり、データには反映されていない隠れた理由もあります。それぞれの理由やお子さんの状況に即した対応が必要となります。

1. 親子関係の変化

「⑩親子の関わり方」が、不登校の原因となる比率は非常に高く、12.1%です。
低学年のお子さんに多い事例として、「母親から離れたくない」「学校には親がいないので不安」といった理由で、登校時に泣いてしまったり、母親にしがみついて離れないなどの行動をおこすことがあります。さらにエスカレートすると、頭痛や腹痛などの体調不良につながるケースさえあります。

一方で、高学年のお子さんは「思春期・第二次反抗期」が始まり、自立心が芽生え、親や大人を否定するような行動を取ることがあります。これまでは素直だった子が突然反抗的になり、親御さんも接し方に戸惑ってしまいます。これがエスカレートしてしまうと「学校に行きたくない」「勉強したくない」などとなり、不登校につながることがあります。

小学生は、幼稚園から小学校への大きな変化から始まり、数年を経て反抗期に入るという、お子さんが大きく成長(変化)する時期でもあります。それにより、親子関係の軌道修正がうまくいかず、不登校の原因となることがよくあります。

2. 学校に係わる不安|人間関係のトラブル

「②いじめを除く友人関係をめぐる問題」については、どの学年であっても高い割合になる原因の一つです。「いじめ」にまでは発展していなくとも、「仲の良かった友だちと喧嘩してしまった」、「学年が変わり仲良しグループと別のクラスになってしまった」、「相性が合わない子と隣の席になってしまった」、などの様々な理由で、人間関係や学校生活にストレスを感じてしまい、不登校につながることがあります。
学校生活では、同じ空間で同じクラスメイトと毎日のように顔を合わせなくてはならないので、一度「●●さんと会いたくないな。。」となってしまうと、逃げ場がなくなってしまうのです。そのストレスが積もりに積もり、最終的には不登校へとつながるのです。

文部科学省の「不登校に関する基礎資料」によると、「生徒児童が休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間に相談した相手」は、「誰にも相談しなかった」の割合が、高学年は37%、中学年は34%であることに対し、低学年は38%と高くなっています。低学年のお子さんは、上手く理由を説明できない、言葉で表現できないなどの理由から、特に問題を1人で抱え込みやすい傾向が見受けられますので、周囲による気づきやフォローが特に大切になります。

参照:文部科学省「不登校に関する基礎資料」

3. 勉強が分からない

「④学業の不振」に関連することですが、小学生が不登校になる「最初のきっかけとは別の理由」は、「勉強が分からない」が最も高い31%とのことです。
不登校になるキッカケはお子さんによって様々ですが、背景として勉強が分からないことが不登校への後押しになっていることが見受けられます。
人間関係の不安は、主に休み時間や放課後・登下校の時間でのことが多いですが、やはり学校生活では授業を受けている時間がほとんどです。

  • 授業中に発表できない(恥ずかしい、自信がない)
  • 先生に当てられても答えることができない(恥ずかしい、わからない)
  • 授業内容がわからない、付いていけない

などの理由が大きなストレスへとつながり、不登校の原因となります。
また、不登校の原因として半数近くを占める「⑬無気力、不安」も、お子さんの学習状況が多分に影響しているでしょう。「勉強が分からないことへの不安」「やってもできない」「勉強が苦手」ということから生じる無気力感は、不登校になる原因の漠然とした下地になっていることが考えられます。

4. 生活リズムの乱れ、遊びの影響

小学生の不登校になる要因として、「⑫生活リズムの乱れ、あそび、非行」については、12.6%と、非常に高い割合になっています。
これは、主にスマホやゲームのやり過ぎによる影響が考えられます。
スマホやゲームを覚えたての時期は、その楽しさから歯止めが効かなくなってしまい、没頭してしまう小学生のお子さんは多いです。エスカレートしてしまうと昼夜逆転してしまったり、親の目を盗んで何時間も没入してしまうことがあります。
これにより、「勉強を全くやらなくなる」「寝る時間が遅くなり、朝が起きられない」といったような生活の乱れが生じ、結果的に不登校につながるのです。

5. 環境の変化に馴染めない

小学生が不登校になる原因として、特に低学年の場合、新しい学校環境に馴染めないことが大きな要因となることがあります。
幼稚園や保育園から小学校への移行は子どもたちにとって大きな変化で、この新しい環境に適応するのに時間がかかることがあります。新しい教室、新しい友達、そして新しいルールや習慣に慣れることは、低学年の子どもにとって大きなストレスとなることがあります。これらに適応する過程で、不安や緊張が高まり、不登校になることがあります。

6. 発達障害や病気の関係

その他の原因として、発達障害の特性が原因となり不登校となるケースもあります。発達障害とは、ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)など、いくつかの異なるタイプが存在しますが、1人のお子さんが複数の症状を示すことも多く、明確な境界線は存在しません。
例えば、ASDの傾向が強いお子さんは「集団行動が苦手」「場の空気を読むことが苦手」という特性があり、ADHDの傾向が強いお子さんは「不注意で忘れ物・落とし物・なくし物を頻繁にしてしまう」「落ち着きがなく授業の邪魔をしてしまう」「衝動的な行動で相手を傷つけてしまう」などの特性があります。また、LDの傾向が強いお子さんは、「読字障害」「書字障害」「算数障害」という特性があり、学力に対して大きく影響します。
これらの特性が起因となって、学習に遅れが生じたり、学校生活で様々な人間関係のトラブルを引き起こしてしまい、結果として不登校につながるケースがあります。

発達障害についてもっと知りたい方はこちら
「発達障害の小学生|その特徴や症状の理解、支援方法や接し方を解説」

不登校の小学生への親の心構えとサポート|7選

1. ゆっくり休ませる

文部科学省によるアンケートでは、「学校を休んでいる間の気持ち」について「ほっとした・楽な気持ちだった」と回答した小学生は70%「自由な時間が増えてうれしかった」と回答した小学生は66%とのことです。
お子さんは、不登校になるまでの一定期間を「学校に行きたくない」という気持ちと闘ってきたことが分かります。

また、不登校になっている間、約半数のお子さんが「極度に落ち込んだり、悩んだりしていた」「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱などがあった」という症状が見られるといったデータもあります。
ですから、まずはゆっくりと休息を取らせてあげることが大切です。
「学校に行く」という悩みから解放されることで、睡眠をしっかり取れるようになることもあります。体調を整えることが、気持ちを整えることにつながり、表情が明るくなったり、本来のお子さんに戻れることもあるでしょう。

2. 「休んでも大丈夫だよ」と伝える

不登校になりそう、または、なっているお子さんに対して、「学校を休んでも大丈夫だよ」ということを伝えてあげましょう。親御さんの世代では「学校を休むことはいけないこと」という価値観で育ってきた方も多く、この一言がなかなか言えない方も多いようです。
文部科学省による「学校を多く休んだことに対する感想」についてのアンケートでは、「もっと登校すればよかったと思っている」「しかたがなかったと思う」と答えた小学生は合計42%であったことに対し、「登校しなかったことは自分にとってよかったと思う」と答えたのは、わずか13%でした。
このことから、お子さん自身は、不登校になっている自分に対して何らかの自責の念や後悔を感じている可能性があります。その想いが強くなりすぎると、「不登校になっている自分はダメな人間なんだ…」といった劣等感や自己肯定感の低下につながり、お子さんにとって良くありません。
親御さんからの「休んでも大丈夫なんだよ」という一言が、そういったお子さんの気持ちを和らげることになり、前向きに進む一歩目となるでしょう。

3. 自分の好きなことをさせる

リラックスをするために、自分の趣味や好きなことをやってみることも良いでしょう。読書をしたり、好きなアニメを見たり、気分転換することで気持ちがリフレッシュされます。
もちろんやり過ぎには注意ですが、好きなことに没頭している時間は充実感を感じることができ、嫌なことも忘れてしまうことがよくあります。暇な時間が多くなり過ぎると、嫌なことを思い出してしまいがちにもなりますので、何かしらをやっていることが大切です。

好きなことだけではなく、家事のお手伝いや料理のお手伝いなどでも良いでしょう。頼む時は「暇なんだったらこれくらいやりなさいよ!」といった強制的な言い方ではなく、「ちょっとこれ手伝ってくれたら助かる〜!」「一緒にやってみない?」といった気軽な感じ(遊び気分)で話しかけてみると良いでしょう。

4. 生活リズムを整える

不登校になると、通学しないため朝の時間がルーズになりがちです。起きる時間が遅くなると、比例して寝る時間も遅くなりがちです。エスカレートしてしまうと昼夜逆転してしまい、体調やメンタル面も不安定になり、加えて、親子でのコミュニケーションの場が極端に少なくなってしまいます。この状況は、不登校のお子さんとって非常に悪い環境と言えます。
生活のリズムを整えるために、「朝ご飯は必ず家族で一緒に食べる(一緒に作る)」「お風呂に入る時間や寝る時間も決めておく」といったことなどで工夫してみましょう。私たちの経験上のオススメは、起床時間を決めておくことです。早い時間に起きていれば、自然と夜には眠くなって寝てしまうので、無理なく生活リズムを整えやすくなります!

5. 努力や頑張りを認めてあげる

お子さんが不登校に至るまでの間、自分自身の精一杯で「学校に行きたくない」気持ちと闘ってきたこと、苦しいけど我慢してきたこと、を理解してあげ、まずはそこに対して、ねぎらいの言葉をかけてあげて下さい。
「不登校になった」という結果にだけ焦点をあて、責めたり怒ったりすることは、これまでお子さんなりに頑張ってきた気持ちを傷つけることになります。
家族として、親として、「ここまでよく耐えてきたね、頑張ったんだね」「勇気を出して打ち明けてくれたんだね、ありがとう」という言葉をかけてあげることが、苦労してきたお子さんにとって「一番救われる言葉」となるのです。
結果ではなく、不登校に至るまでのプロセスを考えることで、お子さんの気持ちや頑張りに気付くことができ、親子の信頼関係に対しても良い影響となるでしょう。

6. 子どもの話をよく聞いてあげる

お子さんは、長い期間悩みに悩んだ末、不登校に至っています。表面的には悩んでいるように見えなかったとしても、心の中では必ず大きな傷や悩みを抱えていると考えてください。

もし、お子さんが「学校に行きたくない理由」を打ち明けてきたら、まずはお子さんの気持ちをゆっくり、肯定的に聞いてあげてください。
軽く受け流すように聞いたり、お子さんの話に対して自分の考えをぶつけたりすることは避けましょう。具体的には、「はっきり言いなさい!」「それは間違っているよ」といった問い詰めるような言葉です。お子さんは今弱りきっていることを認識しておくことが大切です。
お子さんの話すことは、大人目線で考えると「甘え」や「都合がよい」という風に聞こえてしまうこともあるかもしれません。しかし、お子さんは現に小学生であり、大人ではありません。子供なりの価値観があり、お子さんの気持ちや感じたことは、等身大の「本当の気持ち」なのです。

今勇気を振り絞って、その気持ちを親に伝えにきていることを理解し、言葉通り「親身になって」耳を傾けてあげてください。お子さんは、自分の気持ちをうまく表現できない、うまく言葉にできないことも多いかと思います。打ち明けたいことをゆっくり丁寧に引き出してあげ、お子さんの気持ちを理解し共感してあげることを最優先に考えましょう。

7. 家族で過ごす時間を増やす

不登校になると、どうしても他者とのコミュニケーションが不足しがちです。かといって、外にどんどん出かけて友人を作る、ということもなかなか困難です。ですから、家族と過ごす時間がとても大切になります。これまで以上に家族で過ごす時間を増やすようにしましょう。
みんなで映画やテレビ番組を観ながらワイワイ話したり、休日には少し遠出して遊びに行くのも良いでしょう。

DIYで何かを作ってみたり、キャンプに行ったり、BBQをするなど、家族での共同作業なども意識的に増やすと良いでしょう。
家族で楽しい時間を過ごすことが、お子さんの傷を癒やすことにもなりますし、親子関係にも良い影響が生まれ、お子さんも本音を話してくれやすくなるはずです。

不登校の小学生にやってはいけない4つの対応

1. 無理に学校に行かせる

怒ったり叱ったりするなどの強い言葉で、無理に学校に行かせようとする親御さんもいますが、これは逆効果になります。しかも、親子関係が悪化してしまい、お子さんは心を閉ざしてしまうことにもなりかねません。
お子さんにはお子さんなりの「学校に行きたくない理由」がちゃんとあります。親御さんからすれば「そんな些細なことで…休むほどのことではないでしょ?」「それは単なる甘えでしょう?」などと感じることでも、お子さんの等身大の気持ちからすれば大きな問題のはずです。無理矢理学校に行かせることは、その問題を解決することにはなりません。

文部科学省による「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間」についてのアンケート調査によると、実に約半数のお子さんが1ヶ月〜半年程度で休み始めています。つまり、お子さんは「1ヶ月〜半年」もの間、毎日「学校に行きたくない」という気持ちと闘いながら、通学していたということです。その我慢が限界に達した時に、はじめて不登校となるのです。

「無理矢理学校に行かせる」という行為は、このつらかった期間をさらに無理矢理延長させる、という行為と同じことなのです。お子さんに対するフォローや救いになっていないことは明らかです。

2. 登校しないことを責める・怒る

不登校になったお子さんに「何で学校に行かないの?」「学校は行かないとダメでしょ!」と、責めたり怒ったりすることも逆効果になります。
学校に行きたくない理由をしっかり説明できる子はそう多くいません。
上述したデータが示しているとおり、「無気力、不安」という漠然とした気持ちが、不登校の理由の半数近くを占めています。ただこの中には、「本当は理由があるんだけど、それをうまく言葉で表現できない」や「友だちのことだから名前を言いたくない」「怒られそうだから言えない」などが多分に含まれていると推察されます。お子さんなりの「言えない理由」というものが、きっとあるのでしょう。それを理解せずに、頭ごなしに責める・怒る・問いただすということは、お子さんをさらに追い詰めてしまうことになりかねません。

3. 今の学校への登校にこだわる

不登校の原因が、「友人との関係」「いじめ」「担任との相性」などの場合は、転校を検討することも手段の一つです。
クラスメイトや担任は、自分の一存だけで変更できません。仮に復学したとしても、不登校の原因となった人は学校にいるので、本人からすれば「状況は変化していない」と感じるかもしれません。原因となっていた接し方や態度が改善されたとしても、「なんか気まずいな」「内心はどう思っているんだろう…」と気にしてしまうこともあります。
ですから、「とにかく今通っている学校に復学する」ことにこだわってしまうと、なかなか不登校が解決されないことがあります。

4. 子どもとの距離を置く、避ける

前述したとおり、お子さんは、不登校に至るまでの長い期間、不安や葛藤を抱えながらつらい日々を過ごしています。このような状況下では、家族からの温かい支えが一番のよりどころとなります。もし、お子さんが暗い表情を見せていたり、悩みを抱え込んでいるような様子があったら、家族の方が迷わず話しを聞いて寄り添ってあげることが大切です。
特に、思春期や反抗期のお子さんの場合、親御さんは腫れ物に触るかのように接してしまい、結果的に距離を置く、避けるといったことになることがあります。これにより、お子さんはさらに悩みを1人で抱え込んでしまい、状況がさらに悪化していくことになります。
「ほっといた方が良い」「本人が話しかけてくるまで待とう」という考えよりも、些細なことでも気軽に会話するなど、コミュニケーションを増やし、お子さんとの距離を縮めていくことがプラスとなります。

不登校の小学生への学習支援方法|5選

不登校になった場合、やはり気になるのは「学習面の遅れ」です。通学しないことにより、授業から取り残されてしまい、結果的には復学に支障が生じます。
この「学習面の遅れ」について、親御さんが心配することは勿論ですが、お子さん本人も同じ不安を抱えています。
文部科学省による「学校を休んでいる間の気持ち」に関するアンケートでは、「勉強の遅れに対する不安があった」と回答した小学生は64%、「進路・進学に対する不安があった」と回答した小学生は47%、となっています。
復学や将来の進路のためには、不登校時の学習環境を整えていくことが重要な課題となります。

1. 教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センター(適応指導教室)では、教育相談やカウンセリングを受け付けているだけではなく、お子さんの学習支援も行っています。教育委員会が運営する公的機関なので、無料で利用できます。
教育支援センターでは、基本的にお子さんの好きなことをして過ごしますが、毎日学習する時間も確保されており、お子さんに合わせたカリキュラムに沿って、個別指導または自主学習で進められます。
また、教育支援センターは、在籍する学校と連携を取りながら様々な学習支援等を行っています。主な活動としては、下記のような内容があります。

参照:文部科学省「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

また、大きなメリットとしてあげられるのが、教育支援センターに通うことで一定の条件を満たせば「出席扱い」にすることができる点です。(※ただし、教育支援センターは学校ではないので、卒業資格は得られません。)
一定の条件とは、以下の通りです。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  2. 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること

利用を検討されている方は、まず学校の先生やスクールカウンセラーに相談してみましょう。

2. ICTの活用

学習における「ICT」とは、パソコンやタブレットなどのデジタル機器を用い、インターネットを介して学習する方法のことです。(※その他、電子黒板、プロジェクタ、eラーニング、デジタル教科書、学習用ソフトウェアなども含まれます。)
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では、義務教育を受ける児童生徒のために「1人1台の学習者用PC」と「高速ネットワーク環境」などを整備することを5年間の計画で進めており、コロナ禍からその普及が加速しています。

文部科学省では、

“ 小・中学校段階の不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行う場合、在籍校の校長は、一定の要件を満たす場合に、指導要録上出席扱いとすること、及びその学習成果を評価に反映することができる。”

としています。

  • 保護者と学校との間に十分な連携
  • 協力関係が保たれていること
  • 訪問等による対面指導が適切に行われること
  • 計画的な学習プログラムであること
  • 校長が対面指導や学習活動の状況等について十分に把握すること
  • 基本的に学校外の公的機関等で相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること
  • 当該学習の計画や内容が、その学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること

などの一定条件が満たされていれば、「出席扱い」として認められ、さらに学校の成績にも反映されます。
「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」は、元から増加傾向にありましたが、令和2年のコロナ禍で一気に増加しました。

■ ICT等を活用した学習活動を「出席扱い」とした小学生児童数の推移[直近7年]

ICTを利用した学習を希望する際には、在籍する学校の先生やスクールカウンセラー、教育支援センターの相談員と具体的にどのような方法が可能かを相談してみましょう。

参照:
「遠隔教育の推進に向けた施策方針」
「不登校に関する基礎資料」

3. 不登校特例校

不登校特例校とは、学校に行きづらい児童生徒のために、通常の学校より授業時間数が少ないなど、柔軟に学ぶことができる学校(小・中・高等学校等)のことです。
令和5年2月時点では、全国で24校(公立14校、私立10校)しかありませんが、将来的には希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分教室型も含め全国300校を目指して、行政による積極的な促進がなされています。

不登校特例校の学習カリキュラムでは、年間の総授業時間数を750〜770時間としており、体験型の学習や校外学習、コミュニケーション能力の向上を目指す授業、一人ひとりの学力を考慮して学習する、など、不登校の子どもたちに配慮した様々な工夫が各学校毎になされています。

不登校特例校は、正式に文部科学大臣から指定を受けた学校なので、現在在籍している学校から転校(編入)することができ、出席していれば、通常の学校と同じように出席扱いとなり、また「卒業」も正式に認められます。つまり、将来的には一般の高校へ進学することも可能です。

ただし、不登校特例校に入学するためには、一定の条件をクリアする必要があります。
文部科学省では、

“児童生徒について,不登校状態であるか否かは,小学校又は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又はその管理機関が行うこととし,例えば断続的な不登校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る。”

としています。

つまり、不登校特例校に入学(編入)できるかどうかは、最終的に各学校や教育委員会の判断に委ねられます。入学を検討されている方は、通っている学校やお住まいの地域の教育委員会に相談してみましょう。

4. フリースクール

フリースクールとは、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間(NPO法人やボランティア団体、個人)の施設のことです。簡単に言えば、不登校用の塾のようなものです。
その規模や活動内容は多種多様ですが、概ね教育支援センターと似通った内容です。
フリースクールは、民間施設(学習塾のようなもの)なので有料です。料金体系は様々ですが、入会金は10,000円〜50,000円程度、月額費用は10,000円〜50,000円程度が一般的です。詳しくは各団体のホームページでご確認ください。
フリースクールには入学資格などが無いので、基本的には誰でも入会できます。
基本的には、決まったカリキュラムや時間割などが無く、その日に何をするか(遊びなども含む)は、お子さん本人が自由に選択するような仕組みです。
主な活動内容は、以下の通りです。(※教育支援センターとほぼ同様です。)

※複数回答あり、計351団体・施設の割合

参照:文部科学省「民間の団体・施設との連携等に関する実態調査」

フリースクールは学校ではないので「卒業資格」は得られませんが、教育支援センターと同様、一定の条件を満たせば「出席扱い」にできることもあります
条件の概要は以下の通りです。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  2. フリースクールにおける相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であること
  3. 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること
  4. フリースクールにおける学習計画や内容が、学校の教育課程に照らし適切であること

これらの条件を元に、最終的には学校の校長と教育委員会が判断することになっています。
フリースクールを検討されている方は、まず、学校の先生やスクールカウンセラーに「出席扱い」になるかどうかも含めて相談しましょう。

家庭教師をつける

不登校のお子さんの場合、外に出向くことを避けたがることが多いです。その点、家庭教師の場合は「自宅まで先生が通ってきてくれる」ので、不登校のお子さんの学習に適しています。
また、家庭教師は1対1で指導が行われるので、周りの目を気にせず勉強できることに加え、お子さん一人ひとりの学力や学習状況に合わせてカリキュラムを組むことができます。不登校により遅れてしまった科目や単元にさかのぼって指導することもできます。
加えて、大学生の家庭教師であれば、お子さんのお兄さん・お姉さんのような存在として、勉強面だけではなくプライベートの面(趣味や遊びの相手、話し相手)でも良き相談者になってくれるメリットがあります。
勉強ばかりではなく、時には一緒に話題のスイーツを食べに行ったり、一緒に洋服を見に行ったり、話題の映画を観に行ったり、と塞ぎ込みがちなお子さんの生活に彩りを加えてくれることが期待できます。
家庭教師は、他者とのつながりが希薄になりがちな不登校のお子さんの精神面での大きなサポートが期待できます。

もっと知りたい方はこちら
【不登校コース】について

塾に通うことも選択肢の一つですが、近くの塾では、同じ学校の生徒(顔見知り)が多く在籍しており、特に学校での人間関係が原因で不登校になっている場合は、あまり適していません。また、ほとんどの塾は学校の授業を受けている前提で授業を進めるため、不登校のお子さんには合わない可能性があります。

外部からの支援や連携について

お子さんが不登校になった場合、家族だけで全てを対応・解決するのではなく、外部と連携しながら解決をはかることも、有力な方法です。
専門家の意見や支援を受けることで、よりスムーズに進めることが期待できます。

担任の先生やスクールカウンセラーとの連携

不登校になった場合は、学校の担任やスクールカウンセラー(スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカー)と相談しましょう。
学校生活でのお子さんの様子や学習状況を聞くことで、本人の話とは違った視点での情報を知ることができ、客観的に状況を把握することができます。
また、復学へ向けた方向性なども、専門家の意見を取り入れることで、よりスムーズになります。
また、不登校になると、学習面の遅れがどうしても心配なところです。
お子さんの意思にもよりますが、保健室登校(別室登校)が可能かどうかも相談してみると良いでしょう。
また、別室登校だけではなく、教育支援センターの利用、ICTを活用した学習方法の検討、不登校特例校への転校、なども視野に入れて、相談してみましょう。具体的なアドバイスや新たな解決策を見いだせるかもしれません。

不登校支援をしている公的機関に相談する

各都道府県や市町村には、不登校のお子さんを支援している公的機関があり、学校以外での相談窓口として無料で利用できます。
各機関には不登校に詳しい専門家が在籍しており、お子さんの状況に合ったアドバイスや支援を受けることができます。

子育て相談窓口 全国の市区町村に設置されている相談窓口です。お住まいの市役所や区役所にてご確認ください。
子育て全般について相談を受けており、不登校についての相談もできます。
教育支援センター
(適応指導教室)
教育委員会等が運営する公的機関です。
不登校の児童が学校に通わなくても学習できる環境の支援、児童や保護者との教育相談、心理カウンセラーによる面談等を提供しています。市の施設など、公の建物の中にあることが多く、利用料は無料です。
児童相談所
児童相談センター
児童家庭支援センター
厚生労働省が運営する公的機関です。
18歳未満の子どもやそのご家族を対象として、子育てやしつけの悩み、不登校、発達障害、子どもの行動上の問題などについて相談することができます。
ひきこもり地域支援センターすべての都道府県・指定都市にある、行政が運営するひきこもりに特化した相談窓口です。(NPO法人などに委託しているケースもあります。)
ひきこもり本人やご家族からの相談を受け付け、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって相談支援などを行います。

親のグループやコミュニティ(民営)への参加

専門的な相談ではなく、不登校から生じる不安や将来への心配事などを気兼ねなく話し合う場として、民間の団体があります。ただし、有料であることがほとんどなので、参加する際には確認が必要です。

不登校の親の会 全国の民営団体やNPO法人が運営している「親の会」です。有料である団体がほとんどで、検討の際は確認が必要です。
不登校のお子さんを持つ親御さんが集まり、情報交換やお悩み相談などが行われています。
専門的なカウンセリングというよりは、同じ境遇の親御さん同士で繋がり、気兼ねなく話し合う場として利用されています。

まとめ

小学生で不登校になったお子さん・その親御さんは、現時点での心配事もありつつ、同時に、将来への不安も沢山抱えていらっしゃるケースが多いです。
しかし、多くの対処法があり、様々なサポートの方法もありますので、それらを活かして前向きに進んでいくことを願っております。
家庭教師のマスターでは、不登校のお子さんへの学習サポートを行っております。
ご興味のある方は、是非気軽にご相談頂ければ幸いです。

もっと知りたい方はこちら
【不登校コース】について

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教え方について

マンツーマンで教える家庭教師の強みを活かし、お子さん一人ひとりにピッタリ合ったオーダーメイドの学習プランで教えています。
「学校の授業や教科書の補習」「中間・期末テスト対策」「受験対策」「苦手科目の克服」など様々なケースに柔軟な対応が可能です。

指導科目について

英語・数学・国語・理科(物理・生物・化学)・社会(地理・歴史・公民)の5科目に対応しています。定期テスト対策、内申点対策、入試対策・推薦入試対策(面接・作文・小論文)など、苦手科目を中心に指導します。

コースのご紹介

家庭教師のマスターでは、お子さんに合わせたコースプランをご用意しています。
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無料体験レッスン

私たち家庭教師のマスターについて、もっと詳しく知って頂くために「無料の体験レッスン」をやっています。
体験レッスンでは、お子さんと保護者さまご一緒で参加して頂き、私たちの普段の教え方をご自宅で体験して頂きます。
また、お子さんの学習方法や課題点について無料のコンサルティングをさせて頂き、今後の学習プランに活かせるアドバイスを提供します。
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