オルタナティブスクールってどんな学校?|特徴や種類などを解説

公開日:2024年7月18日

オルタナティブスクールを検討している保護者の方へ、その特徴や概要をわかりやすくご紹介します。また、オルタナティブスクールのメリットやデメリット、教育方針についても詳しく解説します。
オルタナティブスクールについて詳しく知りたい方は必読の内容です!

オルタナティブスクールとは?

オルタナティブスクールは、従来の学校教育とは異なるアプローチで子どもたちの学びをサポートする教育機関です。
ここでは、オルタナティブスクールの基本的な特徴、教育方針、フリースクールとの違い、そしてオルタナティブスクールに向いている子どもについて詳しく解説します。

オルタナティブスクールの基本的な特徴

オルタナティブスクールとは、標準的な学校教育の枠を超えた学びの場を提供する学校のことを指します。
従来の学校とは違い、固定されたカリキュラムに縛られず、子どもたちの興味やペースに合わせた学習プログラムを設計することが大きな特徴です。
そのため、少人数制のクラスが多く、教師と生徒の距離が近いため、個別のサポートが充実しています。また、教室内だけでなく、自然の中や社会の現場など、多様な場所で学ぶ機会も設けられています。
このような学習環境なので、オルタナティブスクールでは、子どもたちが自ら学ぶ意欲を持ち、自分で学びの方向性を決めることができます。

オルタナティブスクールの教育方針

オルタナティブスクールの教育方針は、子どもたち一人ひとりの個性や能力を尊重し、バランスの取れた成長を目指しています。
例えば、子どもの興味や能力に応じた個別の教育プランを作成し、各自のペースで学べる環境を提供します。そして、子どもたちが自ら課題を見つけ、解決策を探る探究型の学習を重視するように促します。さらに、グループでの協力作業を通じて、コミュニケーション能力や協調性を育む活動が行われます。また、勉強だけではなく、心の教育や社会性の育成にも力を入れているのが特徴です。

フリースクールとオルタナティブスクールの違い

本来、オルタナティブスクールとは、フリースクールやホームスクール、無認可校を含む広い意味での教育機関を指しています。しかし、日本ではその定義が曖昧であり、一般的な学校やフリースクールに対する「もう一つの学校」として定義されていることが多いです。

フリースクールとオルタナティブスクールには目的やアプローチに違いがあります。
フリースクールは、学校に行けない子どもたちが安心して過ごせる場所を提供することが主な目的です。これに対し、オルタナティブスクールは、子どもたちの個性を大切にしながら、学びと成長をサポートすることを目指しています。
特にオルタナティブスクールは、通常の学校とは異なる運営方法や教科科目を取り入れており、公立の学校が合わずに途中で転入してくる子どももいれば、最初からオルタナティブスクールを選んで入学する子どももいます。
また、フリースクールはNPO法人や個人によって運営されることが多いですが、一方で、オルタナティブスクールは特定の教育哲学に基づいて運営されており、学習面でのサポートにも力を入れています。

このように、フリースクールとオルタナティブスクールはそれぞれ異なる目的とアプローチを持ちながら、子どもや保護者の多様なニーズに応えています。

オルタナティブスクールに向いている子

オルタナティブスクールは、従来の学校とは異なる教育アプローチを提供し、特に以下のような特性を持つ子どもたちに適しているとされています。

1. 自分のペースで学びたい子

従来の学校では決められたカリキュラムに従わなければならないことが多いですが、オルタナティブスクールでは子ども一人ひとりのペースに合わせた学びが可能です。
学習の進捗を自分でコントロールできるため、自分のペースでゆっくりと深く理解したい子どもには非常に適した環境と言えます。

2. 興味や関心がはっきりしている子

特定の分野に強い興味や関心を持っている子どもにとって、オルタナティブスクールは理想的な環境です。通常の学校ではカリキュラムが広範囲にわたるため、特定の興味を深める時間が限られますが、オルタナティブスクールでは子どもの興味を中心に据えた学習が可能です。そのため、子どもが自分の興味を追求し、専門知識を深めることができます。

3. 集団での学習が苦手な子

大人数のクラスでの学習が苦手な子どもにとって、オルタナティブスクールは最適な選択肢です。
オルタナティブスクールでは少人数制のクラス個別指導が一般的であり、子ども一人ひとりに対する丁寧な指導が行われます。このような環境では、他人の目を気にせず、自分のペースで学習することができるため、安心して学べる場を提供します。

4. 自己表現を大切にしたい子

オルタナティブスクールは、子どもの自己表現を大切にする教育方針を持っています。
子どもが自分の意見や考えを自由に表現できる環境が整っており、自己肯定感を育むことができます。これにより、子どもは自分に自信を持ち、自らのアイデンティティを確立していくことができます。

オルタナティブスクールのメリット5選

1. 子どもが主体となる学びができる

オルタナティブスクールでは、子どもの自発的な学習意欲を最大限に尊重しています。
子どもの興味や関心を中心に、生活のルールや学習プラン、行事などを子どもと大人が一緒に話し合いながら決めることが多く、子どもが主体となる学びの場を提供しています。これにより、子どもたちは自分の意思で学びを進めることができ、学習に対するモチベーションも高まります。

2. 個性を尊重する教育方針である

オルタナティブスクールは、画一的な教育方法を避け、一人ひとりの個性を尊重する教育方針を採用しています。基礎学習からテーマ学習まで、子どもの興味に合わせた学びを提供し、各自のペースで進めることが可能です。これにより、子どもたちは自分自身の特性を理解し、自信を持って成長していくことができます。

3. 体験型学習が多い

オルタナティブスクールでは、実際に体験することを重視した学習が数多く取り入れられています。手芸、工作、絵画、料理、演劇、農業、研究など、さまざまな活動を通じて子どもたちは実際の体験からの学びを得ます。これにより、知識だけでなく実践的なスキルも身につけることができ、より深い理解と経験を得ることができます。

4. 少人数での学習ができる

多くのオルタナティブスクールでは少人数制を採用しており、異なる年齢の子どもたちが一緒に学び、活動することも一般的です。この環境では、子ども同士が互いに助け合い、思いやりの気持ちを育むことができ、年上の子どもが年下の子どもをリードする場面も多く見られます。これにより、自然とコミュニケーション能力リーダーシップが養われます。

5. 柔軟なカリキュラムである

オルタナティブスクールは、従来の学校にはない柔軟なカリキュラムを提供しています。
子どもたちの興味や関心に応じて学びの内容を変更することができ、その時々のニーズに合わせた教育を行います。これにより、子どもたちは常に新しい刺激を受け、自分の興味を追求することで学習意欲を高めることができます。

オルタナティブスクールのデメリット4選

1. 認可校が少ない

現状、日本では文部科学省に認可されているオルタナティブスクールの数が非常に限られています。
そのため、多くのオルタナティブスクールに通う子どもたちは法的には「不登校扱い」になることがあります。特に義務教育期間中の場合、地元の学校で卒業資格を得るためには、「出席扱いとなるかどうか?」を学校側に確認することが重要です。
これは子どもの進学をスムーズに進めるためには欠かせないステップです。

2. 上級校併設が少ない

オルタナティブスクールの多くは小学校や中学校までの教育を提供しており、高校を併設しているところが少ないのが現状です。
そのため、高校進学を希望する場合、一般的な小学校や中学校の卒業資格を得なければならず、学習方法や教育方針の違いに戸惑うことがあります。
進学先の選択肢を広げるためにも、進路について事前にしっかりと計画を立てることが求められます。

3. 学校の数が少ない

日本全国でオルタナティブスクールの数はまだ少なく、近隣に適した学校がない場合があります。
希望しても通学が難しいことがあり、地域によっては選択肢が非常に限られます。通学の利便性や家族の生活環境も考慮する必要があり、慎重に学校選びを行うことが大切です。

4. 費用が高額

多くのオルタナティブスクールは私立で運営されており、学費が高額になる傾向があります。公立学校と比べて費用負担が大きいため、家庭の経済状況によっては選択が難しい場合もあります。
最近では公的支援も検討されていますが、依然として多くの家庭にとって高いハードルとなっています。学費以外にも教材費や活動費がかかることもあるため、総合的な費用計画が必要です。

オルタナティブスクールの種類|タイプ別に解説

オルタナティブスクールと一口に言っても、その教育方法や背景によって大きく異なります。その中にはさまざまな教育哲学や方法論があり、子どもの個性やニーズに応じた学びを提供しています。
学校の理念や設立の経緯をよく理解し、実際に見学や体験に足を運び、お子さんとじっくり話し合った上で、入学の判断をすることが重要です。
ここでは、代表的なオルタナティブスクールの種類について、その特徴をタイプ別にご紹介します。

1. シュタイナー教育

シュタイナー教育は、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーによって提唱された教育方法です。
この教育法は、子どもの心身の発達段階に合わせたカリキュラムを重視し、芸術や音楽、手仕事を取り入れた総合的な学びを提供します。シュタイナー教育の学校では、感受性豊かな子どもを育てることを目指しています。

2. サドベリー教育

サドベリー教育は、1968年にアメリカのマサチューセッツ州に設立されたサドベリーバレー・スクールに基づいた教育モデルです。
サドベリー教育の学校では、子どもたちが自分の興味や関心に基づいて学び、自発的な学習を推奨します。子どもたちが自分の学習内容や活動を自由に選び、主体的に学ぶことができます。

3. サマーヒル教育

サマーヒル教育は、イギリスの教育者A.S.ニイルによって創設されたサマーヒルスクールに基づく教育方法です。
この教育法は、子どもたちの自由と自主性を重視し、自己決定権を尊重します。サマーヒル教育の学校では、授業への出席は自由であり、子どもたちは自分のペースで学びながら、社会的なスキルも身につけることができます。

4. フレネ教育

フレネ教育は、フランスの教育者セレスタン・フレネによって提唱された教育方法です。この教育法は、子どもたちが実際の生活や体験を通じて学ぶことを重視し、実践的な活動や共同作業を取り入れたカリキュラムを提供します。フレネ教育の学校では、子どもたちは協力し合いながら学び、自己表現やコミュニケーション能力を育てます。

まとめ

このコラムでは、「オルタナティブスクール」についてその特徴や選び方を詳しく解説しました。
オルタナティブスクールは、従来の学校とは異なる教育アプローチを提供する「新しい学校」です。これまでにない学校の形態なので、学校選びの際は、実際に訪れてみて教育の雰囲気を感じ取ることが非常に重要だと思います。
また、オルタナティブスクールは、子どもたちが自分らしく成長できる場所として、今後、更に注目度が上がっていく可能性があります。
このコラムがオルタナティブスクールを知るキッカケになれば幸いです。

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